6 電気もない
超絶落ちこぼれの神さまと、社会の底辺に位置するただの人間である佐久夜は、神社の復興を願ってお互いの拳を突き出し決意を固めた。
ぐおぉぉぉぉぉぉぉ
「………腹減ったな」
シャケのおにぎりを食べた後、やれ洗濯、やれ社の掃除と働きづくめだった佐久夜は、豪快に鳴く腹の虫に空腹を気付かされた。
衣食住の内、衣と住は解決したが、生命線である食だけは、未解決のままだった。
「神さまも食うか?」
「うむ、にぎりめしじゃな。是非是非、相伴に預かるぞ」
昆布のおにぎりのビニールを剥き、先ずは千切り神さまに手渡す。
米粒を受け取ると、礼をして神さまは佐久夜の隣に座り、面を上にずらして米粒を頬張った。
「美味いのう~。美味いのう~」
美味しそうにおにぎりを食べる神さまを見て、佐久夜もおにぎりに齧り付いた。所持金3,547円。密かに金運アップを佐久夜は願った。
「おぉ!佐久夜の願いを感じたぞ。我も主の金運向上を願うとしよう」
「……よろしくお願いします」
佐久夜は、願いが瞬時にバレてしまったことに、恥ずかしさを感じてしまった。
この後買い出しに出かけた佐久夜は、商店街の福引きで米10キロが当たった。これで食事情も当面改善したのだが、同時に神さまの力の怖さも感じた。
改めて佐久夜は、あの小さな名もなき神さまを邪な道から守ろうと心に誓った。
「やっぱ、心優しい神さまになって欲しいからな」
買い出しを終え、神社に戻る頃には日が傾いていた。街灯も無く暗闇化としようとする竹林が続く参道は、風で揺れる笹の葉が擦れる音が、侘しさを醸し出す。
「戻ったら、神さまに即相談だな」
足早に竹林を抜け、社に戻り目の前の風景に愕然とする。
「うむ、佐久夜戻ったのか?」
日が暮れて、暗闇から聞こえる神さまの声。流石、廃神社。電気もガスも通ってないと予想はしていたが、目の当たりにして見ると、意気消沈もする訳で、佐久夜はゆっくり声の聞こえる暗闇からへ顔を向けた。
「どうしたのじゃ?その様な顔をして何があったのじゃ?」
「……真っ暗で何も見えない」
神さまは、さも今気づいたかの様にポンと手を叩いた。
「明かりか、明かりじゃな……明かり…」
「マジかぁ、その感じじゃ、夜は明かりが無いってことか?何とかする方法は無いのか?」
「今までは、暗闇でも困らんかったからのう。気がつかなんだ、ちと待っておれ」
神さまは、社の中に戻ると、棚をゴソゴソ漁り出す。その間に、佐久夜は買ってきた物を手探りで収納していった。
空になったペットボトルに清水を注ぎ、社の前に腰掛けて、神さまが戻ってくるのを待った。
空を見上げると満天の星空が目に入る。
「フッ…この景色、悪くないな」
ガスも電気もない、不便極まりない生活しか予想出来なかったが、佐久夜は今以上にワクワクと胸を高鳴らす自分を感じていた。
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