表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神さまのお家 廃神社の神さまと神使になった俺の復興計画  作者: 枝豆子


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

51/61

51 朧の尻尾

「佐久夜…オイラの尻尾は、気にする必要ないにゃ」


 朧は、ぐるぐると喉を鳴らしながら、佐久夜に身体を擦り寄せた。


「逢魔さまは、朧さまのことでございましたか。……俺は、何と失礼な態度をしていたか……申し訳ない」


「そういえば、僕がオッチャンのところに駆けつけた時、泥だらけだったもんね」


 佐久夜と京平は、掻い摘んだ説明しかされていなかったため、二人の間でどのような攻防があったかは、見ていない。


 結果として、朱丸が、浅葱を懲らしめたことと、朱丸が、浅葱の長い鼻をへし折ったこと。そして、朧が、浅葱の妖気を奪いとって、幼児体型の可愛らしい天狗になってしまったとしか、聞いていなかった。


「もう良いにゃ。今は、佐久夜と契約した朧という名にゃ。逢魔は、尻尾と一緒に捨てた名前にゃ」


「名前を捨てたって、……朧センセ、どういう事なんだ?」


 佐久夜もスセリビメと朧について、知りたかった。京平の質問に対して、朧が、警戒せずに話しやすいように、背中を優しく撫でながら、様子を伺う。


「逢魔は、オイラが千年以上前に、ある神さまから名付けてもらった名前にゃ」



 朧は、ふぅっと息を吐くと、困った表情をして、話を続けた。


「神さまの名前も顔も、真っ黒なモヤモヤが出て、全く思い出せないにゃ。『ウラ』『根』『スセリビメ』の名前は、記憶として覚えているにゃ」


「じゃあ、…センセ……元々『ウラ』に棲んでいたのか?」


「………悪いにゃ。それも覚えていないにゃ。押さえつけられ、二本の尻尾をだーんってナタでぶった斬られたにゃ。その記憶は、鮮明に残っているにゃ」


 朧は、額に皺を寄せて、話した。出来れば一生思い出したくなかった記憶を思い出したのだ。佐久夜は、朧が、『スセリビメ』の名前を聞いた時、凄く動揺していた事を思い出した。


 『スセリビメ』は、朧にとってトラウマの一つだった。朧の尻尾を奪ったのは、『スセリビメ』なのだろう。


「その後は、佐久夜と出会う頃までは、余り記憶がないにゃ。……早く帰って、ちんちくりんを安心させてやろうにゃ」


 朧は、佐久夜の撫でる掌に、頭を擦り付けた。


「そうだね、早くみんなで帰って、神さまを安心させてあげなきゃね」


「佐久夜兄ちゃん!戻ったら、僕、赤ウィンナーが食べたいな」


「オイラは、ツナの缶詰めにゃ!!」


「ハイハイ、そして、神さまにもおにぎり用意してあげなきゃね」


 佐久夜は、朱丸と朧に、優しく応えた。


「俺は、納豆と卵焼きが良いな」


「京平は、自分の家で食えよ」


「えぇ~!俺も飯食いたい!」


 浅葱は、ソワソワと身体を揺さぶり、会話に参加したくて、うずうずとしていた。


「もちろん、浅葱も一緒に食事をしようね」


「よ、よろしいでござりますか!!是非是非、ご相伴に預からせて頂くでございますぞ!」


 牛車の中で、重苦しい空気だったが、気がつけば、和やかな雰囲気となっていた。


モチベーションにつながりますので、

楽しんで頂けた方、続きが気になる方おられましたら、

評価、ブックマーク、感想、宜しくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ