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神さまのお家 廃神社の神さまと神使になった俺の復興計画  作者: 枝豆子


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5 責任重大

 佐久夜は、社の奥にある神使の部屋を与えられた。


「うわぁ、見事にボロいな」

「うむ?それは仕方ないであろう。我の神力では、この程度じゃ」

「ま、住めば都っていうしな。今までの生活と大差ないし、住むところができただけでもマシだよ。神さま、あんがと」


 焼け出されたアパートから持ってきた荷物は、火事と放水のせいでう、煤だらけでびしょ濡れだった。湧き出る清水を利用して、佐久夜は洗濯を始めた。


 ジャブジャブと清水を大量に使い洗っていく。折れた竹を拾ってきて、洗濯物を干していった。


 洗濯が終わると、次に社の掃除を始めた。竹の小枝を拾ってきて、上から埃を落とした後、持って来たタオルで丁寧に拭いていった。神さまは、佐久夜の近くでじっと様子を見ている。


 佐久夜は、掃除をしながら、違和感を何となく感じていた。洗濯にしろ掃除にしろ、洗剤を使ったわけでもなく、立派な掃除道具を使ったわけではない。


 干した洗濯物は、シミ一つなくなり、タオルで拭いた場所は、床の色が明るくなった。畳も毛羽立っていたのが、少し青みがかった色に変化をした。


「何か予想以上に、綺麗になってない?」


 佐久夜は、首を傾げた。拭き掃除に使っているタオルでさえ、洗えばたちまち汚れが落ちた。


「お主の綺麗にしたいという願いが、我が願った故に、予想より綺麗になった。ただ、それだけじゃ」

「そっか、これが願いを願うてな訳ね」


 願い人(佐久夜)が、綺麗にしたいという思いを、神さまが願う。願い人(佐久夜)は、掃除、洗濯と行動する。結果、過程(掃除、洗濯)が報われ結果的に衣服や社が蘇った。


「積み重ねれば、神社も神さまもレベルが上がる」

「そうじゃ、しかし我は、願われれば全てを願うぞ。我が願う願いが、邪で有れば、我の力も邪に傾く。振り幅が、どうなるかで我は邪にもなってしまうのじゃ」

「だから、神さまは何もしないってそういう事か」

「佐久夜は、聡いのう」


 掃除、洗濯を通じて、神さまの在り方を佐久夜は学んだ。

 縁結びの神は、恋愛を願う。

 商売繁盛の神は、商いの成功を願う。

 子宝の神は、種の繁栄を願う。

 願う方向性で、神さまの神力が誘われる。


「やっぱ、俺、責任重大じゃんか!」

「佐久夜、我を頼むぞい」


 佐久夜は、悪態を吐くが笑っていた。そして、廃神社の名もなき神さまと神使になった佐久夜の神社復興計画が、幕を開けたのだった。



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