47 朧は、覚悟を決めた
参道には、幾つもの店が並び、人や妖で賑わっている。
佐久夜たちは、本来の目的である『オモテ』へ戻るため、浅葱の誘導を頼りに【スセリビメ】の奉られる神社へ向かっていった。
「朧、大丈夫か?」
「にゃにも、ないにゃ」
参道に入ってから、徐々に口数が少なくなっっているにも関わらず、ツンっとそっぽを向いてしまう朧。
「オッチャン、オッチャン!あっちに僕と同じ鬼火っぽいのがいる!!」
「……にゃー」
「……アレは、狐火でございますぞ。可愛らしい耳が特徴でございますぞ」
朱丸の質問に対して、生返事の朧。それを見兼ねた浅葱が答えると言う流れが、何度も繰り返されていた。
朱丸が、心配そうな顔をして、気を紛らわそうと頑張っている姿が、佐久夜と京平は、いじらしく思った。
佐久夜は、そっと朧を抱き上げ、背中を撫でた。
「ハァ、やっぱり猫は良いな」
佐久夜は、ぐりぐりと朧を撫でまわす。
「にゃにするにゃ!」
言葉では、拒否を示すも、朧は大人しく佐久夜の胸に抱かれている。
「大丈夫!何とかなるよ!朧だけじゃない、朱丸も浅葱もいる。俺だって、京平だっている。最悪、すぐに帰れなくたって大丈夫!」
「そうだな。俺としては、いろんな妖と友達になりたいし、当分ここにいても問題ないぞ」
京平も、腕を伸ばし朧の背中を摩った。
「神さまだって、長い間ぼっちだったんだし、俺たちが遅くなっても文句言わないよ。何処かでゆっくり休もうか?」
「やや、俺は、スッカラカンになったでござるから、野宿になるでございますぞ?」
「今更、構わないよ。な、京平」
「そうだな。どこかで、バイト探すか?」
朧の心が不安定な状態なのが、一番の不安であった。朧も、佐久夜と京平の言葉を理解したらしく、小さくため息を吐いた。
「にゃ~。ガキンチョに心配されてしまうにゃんて…オイラもまだまだだにゃ。フ~ッ!もう、本当に大丈夫にゃ。このまま行くにゃ」
佐久夜の胸から飛びおりると、朧はスタスタと前を歩き始めた。
「意地っ張りめ、朧センセ待ってよ!」
京平が、朧を追いかけて行く。佐久夜、朱丸、浅葱は、小さく笑って、二人を追いかけた。
「佐久夜兄ちゃん!アレ見て!」
朱丸が、前方を指差す。その方向に呆然と立ち尽くす京平と朧がいた。
その目の前に、面をつけていない女性が立っていた。
朧は、京平の前で身体を弓形にしならせ、全身の毛を逆立てている。
地面まで真っ直ぐ伸びた白髪を下の方で結い、目尻に乗せた赤いシャドウ、薄い唇に引かれた紅がなんとも神秘的で美しい。女性の両腕には、黒く艶やかなファーのリング。白を基調とした和装に赤と黒のラインが美しい袴姿に女性が、威嚇する朧を嬉しそうに見つめていた。
モチベーションにつながりますので、
楽しんで頂けた方、続きが気になる方おられましたら、
評価、ブックマーク、感想、宜しくお願いします!




