42 うっかり者
「この人魂の列は、輪廻の列となり、年月をかけて生前の情報を浄化して行くのですぞ。ただ、『ウラ』はあらゆる欲望が渦巻く世界。稀に欲望に当てられ未練が変貌する魂がございまする。それが、あの様な穢れある魂と成りまする」
浅葱が、顎をさすりながら、佐久夜たちに説明をする。幼い姿ではあるが、中年くさい仕草だ。
「穢れある魂は、熟成されると輪廻の列から外れ、妖として生まれ変わるのでございますぞ。さぁ、祭りがう始まりますぞ」
人魂は、膨張していき大きな光りを放ち出した。側に座っていた、青鬼は立ち上がり、鼻息荒く腕を交差させたり、四股を踏んだりと大きな身体をほぐし始めた。
人魂の列は、あいも変わらず、ただ真っ直ぐに進んでいくが、露店に戻っていた妖たちも青鬼を囲むように、たむろし始めた。
「ほほう、今回は八咫烏でございますぞ」
大きく膨張した光が、徐々に形を鮮明に表してくる。大きな人間ほどの大きさの三本足の烏。太く艶やかに光る嘴を大きく開けて鳴き叫ぶ。
大地が揺れるほどの鳴き声に、佐久夜と京平は耳を塞いだ。
青鬼と八咫烏は、睨み合いながら円を描くように回り出した。一色触発。たむろする妖たちから、野次が飛び始めた。
「早く始めろ~!」
「俺が、二人を沈めるぞ!!」
人魂の列が、二人を避けるように二手に分かれ、大きな円で青鬼と八咫烏を囲んだ。
円をとなっている人魂は、赤くなり、列が進み円を抜けると元の色に戻る。円全ての人魂が、赤く染まった瞬間、青鬼と八咫烏が、円の中央でぶつかり合った。
「生まれたばかりの妖が、最初に受ける洗礼にゃ」
「落札した妖と戦い、負ければ妖気を全て喰われ、地を這う。勝てば、落札者の妖気を半分与えられ、格が上がる。妖同士の力比べのお祭りでございますぞ」
「浅葱どん、妖気を喰われたらどうなるんだ?」
朱丸が、浅葱の袖をを引き、尋ねた。浅葱は、自身の両腕を開いて、朱丸に言った。
「朱丸さま。俺のようになりますぞ」
「あ!浅葱どん、ムキムキだったけど、お子ちゃまになった!アレか!!」
「はい。朱丸さま、ご明察でございますぞ」
えっへんと胸を張って正解を喜ぶ朱丸だったが、佐久夜と京平には理解ができなかった。
「なあ?……!!」
周りが、お祭り騒ぎになっていた事で、気が緩んだ京平が、思わず声を出した瞬間、浅葱が、素早く口を抑え、朧が、京平の首の後ろに飛び蹴りをかました。
「誰だ!競に水を差す奴は!」
「殺されたいのか!文句ある奴は出てこいや!!」
妖たちが、一斉に殺気立ち、佐久夜たちの方を向いて罵声を浴びせ始めた。京平は、朧の一撃で、気を失ったため、今は浅葱に支えられている。
「嫌だなぁ、旦那さんたち。俺たちも楽しみにしてるんだから、水を差すわけはないでしょうに」
「そうにゃ!変な奴は、向こうに逃げて行ったにゃ」
最もらしいセリフの浅葱に対して、大根役者の朧。そんなセリフを誰が信じるんだと佐久夜は、思った。ただ、佐久夜も場を収めるために、必死に頭を上下にコクコク何度も頷いて見せるしかなかった。
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