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神さまのお家 廃神社の神さまと神使になった俺の復興計画  作者: 枝豆子


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24 探し物は見つかりましたか?

 ちゃぶ台一面に並べられた、様々な鏡。


「うわぁ、僕がこっちにも、あっちにもいるよ」


 朱丸は、無邪気に鏡を覗き込んで、くるりと身体を回している。


 朧は、天井に乱反射している鏡の光を見つめていた。髭が前面に出ていて、目をキョロキョロさせている。


「朧センセは、やっぱりニャンコだな」


 京平が鏡の一つを手に取って、反射した光を壁や天井に向けると、朧の顔が、右に左にへと動いていく。


「ほ、本能に抗えにゃいにゃ…」

「ほらほら~こっちだよ~」


 朧のお尻がフリフリっと左右に動き、光を追いかけて部屋中を駆け回る。


 緩い雰囲気が緊張気味の神さま気分を和らげてくれるだろうと思い、佐久夜は京平達に感謝していた。


「神さま、アイツら遊んでるね」

「うむ、だが、ありがたい」


 佐久夜と神さまは、顔を見合わせて、口角を上げた。佐久夜は、すうっと息を吸い込むと手のひらを二回パンパンっと打った。


「お前ら、本来の目的忘れてないか?」


 三人が、三人とも佐久夜と神さまを見て静かに首を垂れる。


「悪い、神さま待たせちまったな」

「うむ、構わんぞ」


 京平が、ハンドタオルを四つ折りにして、ちゃぶ台の上に置いた。どうやら、神さまの座布団を用意したつもりらしい。


「神さま、どうぞこちらへ」

「うむ、苦しゅうない」


 神さまも文句一つ言わずに、ハンドタオルの座布団の上に座った。


「では、第一回、神さまの鏡はどーれだ選手権を始めまーす」


 朱丸は、パチパチと手を叩いて盛り上がる。朧は、興味が無いのか大きなあくびをして、丸くなった。


「最初は、西高の購買部で唯一販売されている手鏡さん。男子生徒も恥ずかしがることなく購入される一品です」


 京平の司会進行の元、選別が始まった。

 神さまは、差し出された鏡を受け取り覗き込む。じっと見つめた後、首を左右に振った。


「残念!では、お次は、うちの母親に修学旅行のお土産として買ってあげたは良いが、趣味に合わないと押し入れの奥に仕舞い込まれた一品です。俺としては、安く適当に買ったお土産だったため、あまり喜んでもらえなかったと言う悲しい思い出のある鏡です」


 可愛らしさのかけらも無い真四角の鏡を、京平は神様の前にずいっと押し出した。京平の母親に不評だった理由は、背面に刻印された関西のホテルの名前だろうと、佐久夜は予想した。


 神さまは、京平の馬鹿馬鹿しい前振りがあるにもかかわらず、真面目に鏡を吟味する。


「これも、ちと違うのう」


 佐久夜達も、直ぐに鏡が見つかるとは、思っていない。


「神さま、こういうのは、楽しみながら探すもんだぜ。しょんぼりしなさんな」


 しょんぼりと肩を落とす神さまを京平が励ました。


「うむ、そうじゃな。何事も楽しくじゃな」

「そうそう、じゃあ、次の鏡いくよ」


 神さまが、背筋をピンと伸ばす。それを見て京平はにっこり微笑んだ。


「今度の鏡は、佐久夜が可愛らしいお店で見つけてきた一品だ。店員さんに彼女へのプレゼントですかと聞かれ、顔を真っ赤にさせていました。後ろにキラキラしたラメの石が貼りめぐらされているハート肩の鏡だ」

「へぇ、佐久夜兄ちゃんなんて答えたんだ?」

「彼女とかじゃないですけどって真面目に答えてました!」

「おい!聞いていたのか」


 狼狽える佐久夜に神さまも笑った。

モチベーションにつながりますので、

楽しんで頂けた方、続きが気になる方おられましたら、

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