キャラクタークリエイト
少女は台座から降りると、蹌踉けた。
力が入らなかった? 感覚が麻痺している。足裏からジンワリした緩慢な感覚が脚を制御仕出す。緩慢と体勢を直して辺りを見渡す。部屋は薄暗い。少しふらつくも歩き出す周りを見れば、物体だけが、仄かに光って居る。少女は大きな瞳を絞れば、今迄迄朧にしか見えなかった景色が、明瞭見瞠得るようになった。縁だけが淡く赤い物体に目星を付ける。少女が歩くと小君味良い電子音と青白い足跡が着いた、なんだか楽しくなりスッテップで目星まで進んだ頃には、感覚もいつもと変わらなくなっていた。
人間は慣れる生き物だとは誰の言葉だったか。
。そこは三面鏡になっており、備え付けられた椅子に腰を掛ける。少女は容姿こそが、自己を形成している一番の要因だと思っている。個人が尤も外に現れるのが容姿であり、容姿は目に見える個人の証である。ヒトはそれを媒体にして眼に見えない内的な人となりを推測する。勿論、其れは間違っているがあながち、的外れともいい難い。
一面にはsStr10
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との載ってあった。name『朝日奈朝日(仮)』これらの数値は自分の初期の設定だと直感的に理解した。
もう一面は姿見になっていた。切れ長の眼頬骨が高い一番の魅力はプルンとした唇、鼻筋が通っていて左右対称パーツは整っているフェイスラインは緩やかで顎はマル美を帯びている。
謂れなく、美人である。少女は椅子に腰を掛けた際に、無意識にここまで誘導されていたことに気づいた。
───ナッジ理論か。
─── 何処までが自分の意思での行動だったか?
何時からわたしは私になったのだろうか?
私は小さい頃、もっと泣いて笑って感情豊かだったと記憶している。両親に溺愛されていた。勿論、少女も両親のことが大好きっだ。父様が帰ってきたら、小さな手足をバタつかせて玄関前まで出迎えて片足にしがみつき「『高い高い』を強請った。母様に関しては言えば、ソファに休んでる姿を見つければチョコンと隣に座り抱きつき一緒に休んだ。。
少女は母親の匂いが大好きなのだ。
様々な習い事をさせてもらった。少女は両親の期待に応えるべく一生懸命に頑張った。周りの大人たちはこの子は完璧だと大に褒めた。周りの少女に対する期待値は異様に高くなった。常に、失敗できないと云う圧力に日々苛まれた。ある大きな大会のピアノコンサートで2位になった。少女は圧力に負けたのだ。周りの大人達は環境が悪かっただの相手の調子が良かっただけだのと同情の余地を残したのだ。その対応に、少女の背筋が粟立つのを感じた。他人の価値観で自己を形成されるそんな恐怖だった。とくに周りの大人達に奇怪しい言動等なかった。合理的な判断ではない。少女はこの現象に心当たりがある──── 暗黙知だ。言語化出来ない経験知の領域。
────感や直感少女のそう云った類の感覚への嗅覚は────。
────鋭い!
何かが奇怪しい!
少女が愛して止まない───。
実の両親で有る。それでも少女は、何故か胸が締めつけられる想いに駆られるのだ。
少女はすかさず、エウクレイデスの五公理を参考にして確固たる自己を形成しようとした。
これはエウクレイデスが幾何学を論じる上で最も基本的なこととして五つの命題、
つまりは、証明不用の前提条件」のことだ。
公理1、───いつでも冷静であれ!
公理2、───自由であれ!
公理3 ───凡てを疑え!
公理4、───客観的であれ!
頭の中にポンと浮かんだのが《自由》であった。特に不自由と感じていた訳でもない、勿論、雑多な習い事のせいで時間的な制約はあったが、っ全くの自由がなかった訳では無かった。少女の云う自由とは普通に云われているものとは、厳密には違っている。自由とは、他に原因が無く純粋に自発的・自律的であると云うことです。もし人が共同体に規範に従おうとすると、それは他律的で自由ではない。また、従うと云う意識さえなくそれを当たり前のようにそうしているとしても同様である。自由は純粋に自発的な行為でなければならない。一方功利主義的な考え的では、行為は身体的な欲求や他者の欲望に規定されていれるのだから自由ではない。では、我々は純粋に自発的と云う意味での自由であることができるのか、と云うと、少女は本当はできないと思っている。と云うのは私が自由に選択したと思っていることでも、実際は意識出来ない諸原因に基づいているからです。即ち、それは自律的でなく、他律的です。例えば、「自由な社会」と呼ばれている所で、人が自由に振る舞っているよう見えても、実際は、様々な教育や宣伝で刷り込まれた欲望を満たしているだけです。自由に考えると云っても、結局すでに知られたパターンをなぞっているだけです。そう、私と云う個人失敗しようが成功しようがお構いなく、周りは自分を褒め称えるのだそれはパターンだ。そう、パターンなのだ。それは他律的だ、と少女は思うと途端、周りの大人達が何か大きな流れや力によって制御されている。両親のことが解らなくなった。
周りの大人達は何時から居た?
全く記憶に無い!
───小さい頃から育てて貰った両親だ。
───実の親である。
端的に云えば得体の知れない大きな力に操られていると感じた。アサヒは狼狽た。
それではまるで─── 。
───自由意思の無い人形ではないか!
アサヒの瞳には疑念の火が未だ点って居た。この五公理を少女は胸の奥底にに留めて生活を送った。処女が十歳になった日に、両親から畳みの間に来るように言わた。襖を開けると二人はすでに背すじを伸ばして鎮座してた。
畳みの間は薄暗かった。其れは当然で、窓は重いカーテンで陽が遮断されていた。光源は四隅にある蝋淡い光の蝋燭のみだった。少女は厳かな雰囲氣に唾を飲み込み部屋這入へった。
羽音がした。蝋燭の火が大きく暴れた。
───ジュっと音がした。焦げた臭いがした。
───閑寂。羽音はもう聴こえない。
「アサヒココへ倣え」と母親は低く透き通った声で白い扇子を指して云った。
「アサヒよよくお聞き。聖書『創世記の冒頭の一節に「ひ光あれ!そして世界は光に包まれたとある」』。
つまりは「最初に言葉有りきなのじゃ」と母親は力強く云った。
「しかし強い言語的タブーは真に社会的な価値をもっている。
「生と死に関する語は───わずかに其れを暗示する語であっても───感化的内包をともなっている。例えば、『《四》」」は(四)と話し言葉と代わりに使われた。
「文明人であろうと野蛮人であろうと世界中の人々は、神の名は余りにも神聖であり、悪魔の名も余りに恐ろしいので、軽々しくくちにすべきでないと云う気持ちを持っている。」
「言葉とモノ、また記号と其れの指している者との素朴な混同は、世界の一部の地域では次のような信仰となって現れる。即ち、人の名は、その人の一部分である。と云う信仰になって、それ故、ある人の名前を知る事は彼を支配する力を持つことになる。この信仰の為に、ある人々の間では子ども達が産まれると、ニックネームや社会的に公に使われる名前と並んで両親だけが知っていて他には決して使わないような《《本当の名》をつけると云う慣わしがある。こうして子ども達は他人に支配されることから護られるのであるこれは朝日奈家代々から伝わる伝統で有りシキタリであった」
「お前の真の名は───」
「⚪︎△※=じゃ!」
母様が真名を告げた瞬間、風もないのに蝋燭の火が一斉に消えた。世界は暗転した。
そう、そして場面は転換する。
「」
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