思い
お待たせしました、第二部開始となります!
貴方が応援してくださることで、作者のやる気はめっちゃ上がります。是非よろしくお願いします!
では、ゆっくりとお楽しみください。
はぁ、つまんない。
言い寄ってくる男共は、その時点で私に惚れている。なにそれ? 何にも面白くない。
ーー私は、普通の恋がしてみたい。
私の言うことだけが通るんじゃなくて、時には喧嘩したりしながら、それでも二人で仲良く過ごしていけるような、そんな日々を過ごしてみたい。
この願いが、叶わないこと位分かってる。だって、私達は男を虜にするのが目的の種族、サキュバスなんだから。先輩達は、男から来ることはあっても私達から男の方へ、なんてあり得ない! って言ってたっけ。
主戦場が夢の中だって言われても、知らない奴とエッチなことなんかしたくもない。私がもしするなら、それは好きになった人とだけ。
先輩達は、男の精気が主食になると言っていたけど、私は人間が食べている食事でも栄養を摂れている様で、弱ったことはない。
夢の中に入らずとも、私の力は強いみたいだから、男の方から勝手に寄ってくる。食事とかもご馳走してくれるから、人間の食事から栄養を摂れる私は困ったことがない。
私がいる所は、取り分が無くなるからと、先輩達は皆どこかへ行ってしまった。夢の中では、どれだけ自分に好感があるかが重要らしい。他の女に興味があると、精気の味が不味くなるそうだ。
……そんなこと言われても、出力は上げれても、下げれたことはないんだからしょうがないじゃない。
私の常時出してる力が、先輩達でいう全力らしい。変異種め! と悪口を言われたけど、私が男を取ってしまうからって、僻んでんじゃないわよバーカバーカ。
ーーくだらないこと考えてたら、お腹空いてきたわね。
時間的には、もう昼近くになる。前に言い寄って来た男は、そこそこにお金を持っていたけど、私に貢ぎすぎたせいでお金が無くなっちゃったみたい。でも、私とその間だけでも過ごせたんだから、それで帳消しよね。
そう思いながら、近くにあった酒場へ入る。昼は飲食店としても経営してるみたいで、食欲をそそるいい匂いがする。
私が店内へ入った瞬間、男共は私を見るなり好意の眼を寄せる。女達は、嫌そうな顔をこちらに向けている。まったく、この顔は見世物じゃないわよ。すれ違った男にも、お、美人の姉ちゃんだな。と言われた。知ってるわよ、そんなこと。
女達が、悪態を吐いているのもいつものことね。呆れながら店内を見渡すと、カウンターで食事をしている男が視界に入る。この都市では珍しい、まだ成人していなさそうな男。
黒髪で、風貌だけで言うと冒険者っぽい? 何処かで見かけたーーあぁ、思い出した。この都市で噂になっている、オーガキラーだ。名はカイル、と言ったっけ? 冒険者は稼ぎにバラつきがあって、ターゲットにしてなかったけど、これだけの噂になって一週間程しか経ってない今なら、報酬金とか、お金はそこそこ持ってるだろう。
決めた。しばらくはコイツに色々してもらおう。そう思って、私は男の隣にある椅子へ手を掛けた。
「隣、よろしいですか?」
私を見た瞬間、男は眼を見開いた。
男は皆同じ反応をするわね、ホントつまんない。どうぞ、と促されて、私は笑顔で席に着いた。