クラスの皆の訓練に付き合ってくれたお兄様に間違えて唇にキスしてしまいました
私は私に対して帝国がいろいろ仕掛けているなんて全く知らずに、のほほんと、いや違う、命がけで皆を訓練していたのだ。
「ようし、皆、行くぞ」
ボンズのチーム五人が入ってきた。
「ウォーター!」
ビアンカが水魔術で攻撃した。
「ふん、甘いわ。障壁!」
ボンズが障壁を張って跳ね返した。
「ウォーター!」
「ウォーター!」
「えっ」
次のマリアのは防いだけど
フィリーネのはボンズを直撃した。
ずぶ濡れになったボンズに
「「「ウォーター!」」」
私のチーム全員が水魔術をぶつけたら、ボンズは吹っ飛んでいった。
「おのれ」
「喰らえ」
「「「キャーーーー」」」
剣を抜いて飛びかかってくる他の面々を見てビアンカ等が悲鳴を上げるが
「「「ギャッ!」」」
私の障壁が跳ね返す。
「ちょっと、ユリア」
「それはないんじゃないか?」
男達が文句を言うが、良いのよ。
「「「「ウォーター!」」」」
自分らが私の障壁に守られているのを知って、自分の体勢を立て直したビアンカらに攻撃されて、みんなずぶぬれになっていた。
そう、私は訓練室の一室を押さえて、個別魔術訓練をしたり、チームを組んで対戦させたりしたのだ。
少しでも実戦慣れさせた方が良いと、いろいろ工夫していた。授業では剣術授業はフリッツ先生の嫌がらせか女の子達は素振りだけだったし、魔術授業も的に対しての攻撃だけだった。でも、ダンジョンでは何があるのか判らないのだ。
「ユリア、水魔術だけではあれよね。火魔術を使った方が攻撃力が上がらない?」
ビアンカがそう提案してくれたるが、
「お前ら俺たちを殺すつもりか?」
「そうだ。ユリアの障壁に守られているからって、いい気になるな!」
ボンズとニールが文句を言ってきた。
「火魔術は危険だからね。本番は使って良いけれど、今は練習だから」
火魔術使ったら怪我人が続出しそうだ。
「ようし、次は我が班をお願いします」
ゲオルクが申し出てきた。
「いいわよ」
「行くぞ皆!」
「「「おう!」」」
次の班が走り込んできた。
私達はその日は暗くなるまで練習に励んだのだ。
私達は1週間練習に練習を重ねたのだ。
最終日なんてお兄様とかエックお兄様、無理矢理フランツお兄様に頼んで魔獣役をやってもらったのだ。
「喰らえ!」
お兄様は素振りしながら皆の攻撃を受けてくれた。
でも、素振りの度に衝撃波が出て、それがとても危険なんだけど……
一度、その真正面にゲオルクが出て、一瞬で壁に激突して気絶してしまったのだ。
他の者なら死んでいたと思う。ゲオルクでも、肋骨が二本たたき折られて治すのに大変だったんだから。それ以来お兄様には後ろを向いて壁目がけて振ってもらった。
それでもびくともしなかったけど、。
エックお兄様はそれ以上で時たま火魔術で攻撃してくれるのだ。
「ギャーーーー、熱い!、熱い!」
火だるまになって、ボンズは地面を転がり回っていた。
慌てて、私の班の面々が水魔術かけてくれていた。私の班員は水魔術だけは結構得意になったみたいだ。
「エックハルト様は酷い」
ボンズはブツブツ文句を言っていた。
まあ、お兄様もさすがに女の子には攻撃しなかったし、弱い男にも攻撃しなかった。
「それだけ、ボンズの将来を買ってくれたのよ」
私が適当に褒めると単純にボンズは喜んでいたけれど、お兄様は絶対に女以外はランダムに攻撃していた……
フランツお兄様は兄弟の仲で一番弱いので、
「ようし、今度こそ倒してやるぜ」
ボンズはしゃかりきになって攻撃していたけど……
お兄様は兄弟の中で弱いだけで、一応3歳の時に公爵家の試練を受けているんだけど……
ボンズは反対にボコボコにされてダウンしていた。
フランツお兄様もやり過ぎだって!
私は1週間目一杯クラスの面々と訓練をやり尽くしたのだ。
帰りの馬車の中でお兄様の膝の上で私は満足感に浸っていた。
最近は早朝から自分の訓練もして、放課後皆の訓練を見て、私もちょっと疲れていた。
お兄様の膝の上が暖かくてちょっとうつらうつらしていた時だ。
「ユリア、訓練に付き合ってやったんだからお礼のキスは」
お兄様に言われて、頭がそんなに回っていなかったのだ。
「えっ、いいわよ」
私はそう言うと振り向いてお兄様のほっぺたにキスしようとして間違えてしまったのだ。
半分寝ていた私は私はお兄様の唇にキスしてしまった!
「えっ?」
私はその瞬間大きく目を見開いたのだ。
「ゴメン、お兄様!」
私は驚きのあまり、お兄様から飛び退ろうとして、
「ユリア!、危ない」
お兄様に抱き止められてしまったのだ。
「ちょっと貴方たち何やってくれているのよ」
「馬車の中でキスするなよ」
お姉様とブランツお兄様に注意されたけれど、私はそれどころではなかった。
「完全に間違えてしまったんだって」
真っ赤になって私は言い訳したのだ。
「別に間違えていないぞ」
なんかとても満足そうなお兄様がいるんだけど……
いやーーーーー!
今のは忘れて!
私は心の中で精一杯叫んだのだ!
ここまで読んで頂いてありがとうございます
次は魔物討伐訓練です。
果たしてユリアは切り抜けられるのか?
帝国の罠はどうなる?
続きは今夜です。








