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私に水魔術で嫌がらせをしようとした聖女は私の張った障壁に跳ね返されて流されていきました

 結局、私はマイヤー先生の激怒を買ってしまった。

 それでなくても最近お兄様がらみで顰蹙を買っているのだ。その件含めて延々と怒られてしまった。

 でも私を抱き上げて歩いたり、私に食べさせたりしていたのは全てお兄様なのだ。怒るのならばお兄様に怒ってほしい。今回は私が呼び寄せ魔術を使って、マイヤー先生の後頭部に激突させたから、悪いのは私だけれど、元々私の教科書を盗ったピンク頭が悪いと私は思うのよ。激怒しているマイヤー先生にそんなこと言ったら怒るのが倍になる可能性もあるから黙っていたけれど……


 20分間怒られて、その後の30分間はマイヤー先生に徹底的にしごかれたのだ。

 私はもうふらふらだった。


「大丈夫、ユリア?」

 まだ怒り足りないマイヤー先生が帰った後に、マリア達が私の周りに集まってくれた。

「なんとか大丈夫」

 私は引きつった笑みを浮かべたのだった。



「悪役令嬢、ユリアーナ! あなた良くもやってくれたわね」

 そこに目を青く腫らしたピンク頭が取り巻きを引き連れてやってきた。

「あなた、その目をどうしたの?」

 私は思わず聞いていた。


「どうしたも、こうしたも無いわ! あなたが、魔術で自分の教科書を呼び寄せたから私の目に当たったんじゃない!」

 ピンク頭が文句を言い出してきたんだけど、

「何言っているのよ! そもそも元々私の教科書を盗ったあなたが悪いんでしょう」

 私は反論した。

「私はあなたの教科書なんて盗っていないわよ」

「じゃあ、なんで私の教科書があなたの傍にあったのよ」

「教科書があなたのあまりの我が儘に嫌気がさして私の所に逃げてきたのよ」

 私はピンク頭のあまりの訳の判らない言い訳に唖然としてしまった。


「どこの世界に歩き出す教科書がいるのよ」

「あなたか取り巻きがお昼休みにユリアの教科書を盗んだんでしょ」

「聖女様が窃盗に手を出すなんて、なんてことなの?」

「今に天罰が下るわよ」

 ビアンカ等が私に代わって反論ししてくれた。


「何が天罰よ。見ていらっしゃい。ツェツィーリア様とアルトマイアー様のお二人の仲を妹の特権を使って邪魔している悪役令嬢のユリアーナこそ、今に天罰が下されるわ」

 ピンク頭は自信を持って宣言してくれた。


「はんっ! 何言っているのよ。婚約者であるクラウス様とリーゼロッテ様の間に入って暗躍する淫乱聖女の方が天罰を受けるのは確実よ」

 ビアンカが反論してくれた。


「何ですって、良くも私の事を淫乱聖女なんて呼んでくれたわね。どうなるか覚えてらっしゃい」

 ピンク頭がそう言うのと次の授業の始まりのチャイムが鳴るのが同時だった。

「ツェツィーリア様に言って絶対に罰を与えてもらうわ」

 ピンク頭は自信ありげに胸を反らしてくれた。


「それよりも、早くクラスの帰らなくて良いの? 次はマイヤー先生の授業でしょ」

「ちょっとそういう事は早く言いなさいよ」

 ピンク頭達はマリアの言葉に慌ててクラスに帰って行った。



「アグネスさん。私の授業に遅れてくるとはどういう事ですか?」

「いえ、あのその」

 しどろもどろになったピンク頭の声が聞こえた。


 それから延々とマイヤー先生の叱責する声が聞こえて、私達は思わずにやりと笑ってしまったのだ。



 そして、6限目が終わった時だ。

 またしても私の目の前の空間が揺らいだ。


 私は今日は心の余裕がまだあった。


「ユリア、帰るぞ」

「いや、お兄様。私は歩けるから」

 私がお兄様に逆らおうとしたが、お兄様はあっという間に私を抱き上げてくれたんだけど……何で?

「ちょっとお兄様」

「ユリア、さようなら」

「えっ、ああ、みんな、さようなら」

 私はお兄様に抱きかかえられて移動していた。

 みんな、好奇の目で私達を見てくれるんだけど……

 もう恥ずかしいから、止めてほしい!


「ちょっと、アルトマイアー様。学園内でユリアーナ様を抱きかかえて歩くのはお止めください」

 そんな私達の前にフローラが現れたのだ。


「何を言っている。そもそも貴様等の帝国の魔術師がユリアーナを魔術攻撃するから俺が送り迎えをしなければいけなくなったのだ。と言うか、その方等が連れ去った魔術師をこちらに引き渡す話はどうなったのだ?」

 お兄様がイライラしてフローラに言い放った。


「それは……」

 フローラは何も言えなかったみたいだ。

 おそらく帝国は引き渡すつもりはないのだろう。お兄様がそれを許すかどうかはまた別の話だが……


「ではツェッツイに、その点をきちんと話しておいてくれ」

 お兄様はそう言うと、私を抱いたまま通り過ぎたのだ。



 そして、翌日になった。

 今日も私はお兄様に抱き上げられて、教室に向かった。

 女の子達の白い視線と、

「まあ、なんて図々しいんでしょう。さすが悪役令嬢ユリアーナ。妹であるのをいいことに、アルトマイアー様に送ってもらうなんて、なんて卑怯なの! お可哀想なツェツィーリア様!」

 これ見よがしにピンク頭が私の悪評を立ててくれた。

 お兄様がピクッとしたが、

「お兄様、ほっておいていいから」

 私は暴走しそうになるお兄様を必死に抑えたのだ。



 3時間目は魔術実技の授業だった。私はマリア達と更衣室に向かったのだ。


 ドバーーーー

 その渡り廊下の途中で大量の水が頭の上から落ちてきた。


「ギャーーーー」

 でも、私は障壁を張っていたから私本人には落ちてこずに、周りにいたB組の女生徒達に降り注いだのだ。

 その中心にはピンク頭がいた。


「ユリアーナ、よくもやってくんれたわね」

 ずぶ濡れになったピンク頭は激怒していた。

「もう許せないわ。ウォーター!」

 ピンク頭は私目がけて水魔術をぶっ放してくれたのだ。

 でも、私は障壁を張っていたのだ。

 それも一度攻撃されたので、待ち構えていた。

 ピンク頭の真ん前で。

 ピンク頭の放った水魔術は出たところで私の障壁にぶつかって、そのままピンク頭に襲いかかったのだ。


「ギャーーーーー」

 大量の水に飲み込まれてピンク頭は流されていったのだった。













嫌がらせをしようと色々画策する聖女ですが、悉くユリアに防がれてしまいました。

聖女の次の手は?

帝国の動きはどうなる?

続きは明朝です


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私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

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しかし、フランはそもそも前世は病弱で、学校にはほとんど通えていなかったので、女たらしの王子の事は諦めて青春を思いっきりエンジョイすることにしたのだった。
しかし、その途端に態度を180度変えて迫ってくる第一王子をうざいと思うフラン。
王子にまとわりつく聖女、
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