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お兄様に食堂の兄姉席に連れて行かれた私は、皇女の前でひたすら食べさせられました

 お兄様は慌てる私を抱き上げて、皆の見守る中、二階のテラス席に連れて行ってくれた。


 というか、こんなところに食べる席あったっけ?

 私の記憶には無かった。確かここは廊下しかなかったはずだ。強引に座席を運ばせたんだろうか?お兄様なら十分にあり得た。


 それに、ここは周りの皆を見回せる席なんだけど、逆に言うと皆から見える席だった。

 私は帝国の皇女からの婚約打診に悪影響を与えてはいけないと思ったからお兄様から離れようとしたのに!

 どこでどうしてこうなった?


 そこには私の兄弟がフルメンバー揃っていたんだけど……


 私の左横にはお兄様が座っていて右横にはフランツお兄様が、そして、お兄様の前はエックお兄様がいて、その横がお姉様っていういつもの家の食堂と同じ席だ。更に何故かお姉様の横にはクラウスがいるんだけど……

 いつもはそれぞれのクラスで食べているはずなのに。

 というか、ここには1年から4年の主席が揃っていた。役職で言うと生徒会長が1、代理が1、各学園のAクラスの委員長が3副委員長が1いた。我が家の兄姉は、学園の生徒達の主流だった。


「何で皆いるの?」

 私が聞くと

「知らないわよ。私はクラウス様に呼ばれて喜んできたらこうなっていたんだから」

 クラウスの横で二人きりでないのが不満そうにお姉様が答えてくれた。

「ユリアが帝国の女に虐められて泣いているって聞いたからな。仕方が無いから集まってやったんだよ」

 エックお兄様が笑って言ってくれるんだけど、ちょっと情報が伝わるのが早すぎない?


「お兄様が煩いから仕方なしに来たんだ」

 フランツお兄様がポロッと本当のことを話してくれた。

 お兄様、何やっているのよ。

 自分の婚約のことじゃない。私を守るよりもツェツィーリア様と一緒にいなさいよ!

 私はそう言いたかった。


 私のせいでお兄様と帝国の皇女殿下の婚約が流れたら嫌だったから、私はお兄様から距離を置こうとしたのに、これじゃあ、台無しだ!


「お兄様! ング」

 私はお兄様に文句を言おうとした。

 しかし、お兄様にいきなり、ブリの照り焼きを口の中に放り込まれたのだ。


「キャーーーー」

「アルトマイアー様が食べさせたわ」

「またあの子よ」

「あの子一体アルトマイアー様の何なの?」

 女達の黄色い悲鳴が上った。


 でも、他のお兄様とお姉様は全く無視して食事しているんだけど。


「リーゼもクラウスに食べさせてもらいなよ」

 フランツお兄様なんてとんちんかんなことを言ってからかっているし、それに合わせてお姉様までが口を開けているんだけど、私は目が点になった。



「アルトマイアー様の妹でしょ。というか、あそこにいるのみんな、ホフマン家の方々じゃない」

「本当だ。私の学年の一番のエックハルト様もいるわ」

「フランツ様は3年生の主席だし、リーゼロッテ様は2年の主席よ。あの一家は凄いわね」

「でも、王太子殿下もいるわよ」

 不思議そうに聞く声が聞こえた。

「殿下はリーゼロッテ様の婚約者でしょ」

「殿下もいずれは義兄弟になるからじゃない」

「というか、ホフマン公爵家って凄いわね」

 皆の声が聞こえるんだけど、いや、これは絶対にまずいって。


 私がお兄様に注意しようとしたら、お兄様は私が何か言いそうになる度に、私の口の中に食べ物を入れてくれて、私が話せないようにしてくれるんだけど……


「アルトマイアー様。少し宜しいですか?」

 ツェツィーリア様の声がした。

 慌てて振り返ると、見た感じ目が憤っているように見えた。

 私が慌てふためいて立上がろうとしたら、お兄様が肩に手を置いて、止めてくれた。


「何だ、ツェッツイ。今兄妹水入らずで食事中なんだが、話なら後で聞くぞ」

 お兄様が迷惑そうに言うんだけど……それで良いのか?


「アルトマイアー様。ツェツィーリア様がお話かけになっていらっしゃるのに、座ったままお答えになるというのはどうかと思いますが」

 やんわりとフローラが注意してきた。


「食事中に話しかけてきた礼儀知らずはそちらの方だろう」

 お兄様が不機嫌そうに反論した。

「な、帝国の皇女殿下になんと言うことを」

「フローラ、黙りなさい」

 文句を言いかけたフローラをツェツィーリア様が止めていた。

「しかし、ツェツィーリア様!」

「いいから」

 なおも言い募ろうとしたフローラを強引に止める。


「アルトマイアー様。側近が無礼なことを申して申し訳ありません。しかし、公衆の面前で食べさせるというのはどうかと思われますが」

 私はツェツィーリア様の言葉に真っ赤になっていた。


「そうだな。俺もマイヤーからはいつも口酸っぱく注意されているのだが、中々止められん。ユリアの反応が可愛すぎるからな」

「きゃあ」

「可愛すぎるですって」

「禁断の愛よ!」

 お兄様が笑って言ってくれるんだけど、何を皆の前で言ってくれるのよ!

 クラスの方から黄色い悲鳴が聞こえた。


「しかし、妹を可愛く思われるアルトマイアー様のお気持ちは判りますが、そのようにお近いとアルトマイアー様やユリアーナさんの婚約に差し障りましょう」

 私の事はどうでもいいんだけど、お兄様とツェツィーリア様の婚約に差し障ったら問題だ。

「おにいさ……ング」

 私が慌てて立上がってツェツィーリア様と席を替わろうとしたのに、お兄様がまた口の中に入れてくれて立上がらせてくれなかった。


「別に俺は何も問題はない」

 お兄様が平然と言ってくれるんだけど、当の相手の前で言うなんて絶対にまずいだろう!

 私は青くなった。


「えっ、アルトマイアー様!」

 ツェツィーリア様はお兄様を見遣った。


「申し訳ないがツェッツイ、今は食事中だ。次の授業まで時間はそんなに無い。話ならば後で聞こう」

 そう言うとお兄様は唖然とする私の口の中にこれでもかと食べ物を入れてくれるんだけど、入れすぎよ!


 ツェツィーリア様はお兄様が相手をしないので引き上げていった。その去り際に怒りの籠もった目で私を見てくれた。

 私は背筋にぞくりと悪寒が走っていた。




ここまで読んで頂いてありがとうございます。

これで帝国の皇女は引き下がるのか?

さらなる手は何か?

続きは明日です。

お楽しみに

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私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

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