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心配したクラスメート達が取り囲んで私を連れて食堂に行ったら、驚いたお兄様が現れて私を抱き上げて歩き出してくれたんですけど

「では皆さん、また明日」

 チャイムが鳴るとコルネリウス先生は逃げるように去って行った。私が泣き出したのがとてもショックだったんだろう。コルネリウス先生には悪いことをした。私が泣き出した原因と先生は全く関係ないのに。出来たら後で謝りに行こう。


「ユリア大丈夫?」

「どうしたのよ?」

 私の周りに慌ててビアンカ等が駆け寄ってきてくれた。

「はい」

 私のハンカチが私の涙でドボトボになってしまったので代わりにマリアがハンカチをくれた。

「ありがとう」

 私はそうお礼を言いつつ、涙だけでなく鼻水まで出てきてどうしようかと悩んでいたら

「もう、そのハンカチ上げるからすきにして良いわよ」

 マリアの好意に思いっきり鼻水をかんでいた。


「どうしたの、ユリア?」

「授業中いきなり泣き出すなんて、本当に驚いたわ」

「絶対にあの帝国の奴らよね。許せないよね」

「本当に」

 ビアンカ等が憤ってくれた。

 そのまま皆ゲオルクを睨み付けるんだけど

「いや、待て、帝国の人間が全てユリアーナ様の敵ではないぞ! 俺は少なくともユリアーナ様命なんだから」

「貴様何を言う。帝国の人間にユリアーナ様の守りは任せられるか! 俺様がユリアーナ様を守る」

「いや、俺が」

「俺様だ」

 何故か馬鹿二人が更に二三増えたような気がするけれど……


「あなたたち、馬鹿なこと言っていないで、食堂に行ってさっさと場所取りをしてきなさいよ」

「えっ、いや、しかし、ユリアーナ様の傍の守りが」

「何が守りがよ。さっきは侯爵家の令嬢相手に盾にもならなかったじゃない!」

「次は私達が守るわ」

 ビアンカ等が申し出てくれたけれど、帝国に睨まれるのは良くないだろう。

「何言っているのよ。私達の弱小伯爵家なんて帝国は歯牙にもかけないわよ」

 ビアンカが自慢して言ってくれるんだけど、そこは気にするところではないのか……


 私はそのまま食堂に向かった。

 クラスのみんなに囲まれて。

 でも、私が泣きはらした顔が見えたみたいで、


「ああああ! 悪役令嬢のユリアーナが泣いているわ」

 嬉々としてピンク頭が寄ってきた。


「あなた、デリカシーというものがないの!」

「人間として最低ね」

 ビアンカとフィリーネがピンク頭に言ってくれた。


「な、何ですって!」

「貴様等、聖女様に失礼だろうが」

「そうだ、謝れ」

 Bクラスの取り巻き達が叫びだした。


「何が聖女様よ」

「そうよ。人が泣いているのを喜んでいる女なんて聖女でも何でもないわよ」

「そうよ、聖女様の名前の方が泣いているわ」

「名前を淫乱魔女とかピンク頭の山姥に変えれば良いんじゃない」

 ビアンカ等が辛辣に反撃してくれた。


「あなたたち、そんなこと言っていていいの? 私は帝国の皇女殿下のお友達なのよ。属国の高々公爵令嬢の取り巻き達につべこべ言われたくないわ」

 勝ち誇ったようにピンク頭が主張してきた。

「何ですって」

「止めて!」

 私は友人達が私を庇ってくれて泣きたいほど嬉しかったけれど、私はいずれ、平民になる身だ。国が違うとは言っても帝国から睨まれたら少しは影響があるだろう。

 それはよくない。

 私は皆を押しのけてピンク頭と対峙しようとしたのだ。


「あはははは、判った? 所詮、属国の三流貴族どもは皇女殿下のお友達の私に逆らえないのよ」

 ピンク頭は私の前で馬鹿笑いをしてくれた。

 そのピンク頭に私が反撃を加えようとした時だ。


「退け。邪魔だ!」

 ピンク頭は慌てて駆けてきたお兄様に弾き飛ばされて、ゴミ箱に頭から突っ込んでいた……


 えっ?

 皆唖然としてお兄様と弾き飛ばされてゴミ箱に突っ込んだピンクを見ていた。


 でも、私はできる限り離れようとしたお兄様が私の前に飛んできたのでそれどころではなかった。

 そう、皇女の取り巻きにはできる限り距離を取れと言われていたのに!

「ユリア、どうしたんだ?」

 お兄様が心配して私の顔を覗き込んだのだ。

 ええええ! お兄様が私の心配をしている?

 一昔前は泣かした奴を泣かし返さなくてどうする! って怒ってきたくせに!


 どうしたんだろう?


 と言うか、今は私の近くに寄らない方がいいのだ……

 そう思うと少し悲しくなってきた。


 その途端にお兄様がハンカチ出して私の目に溜まった涙を拭き取ってくれた。

 いや、近い、本当に近いんだって!


「ええええ!」

「あれって、女に冷たいアルトマイアー様よね」

「嘘!」

 どこか遠くで女達の声が聞こえた。


「ねえ、あれってどう見ても、ユリア、アルトマイアー様に溺愛されていない?」

「そうよね」

「きゃっ、禁断の愛?」

 最後のはフィリーネの声だと思う。


 私はお兄様に周りに誤解されるから離れてって言おうとした瞬間だ。


 私はお兄様に抱き上げられていたのだ。


「キャッ」

「見てみて」

「絶対に溺愛よね」

 周りの女達の黄色い声に紛れてクラスの女達の声も聞こえる。


「いや、お兄様、降ろしてったら」

「暴れるな!」

 お兄様はそう言うと強引に私を抱き上げて歩き出してくれたのだ。


それを遠くからツェツィーリア様が燃えるような怒りの視線で睨んでいるのを私は知らなかった。

ここまで読んで頂いてありがとうございます

続きは今夜です

お楽しみに

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私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

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