お父様が帝国に喧嘩を売ったお兄様を叱りつけていました
「アルトマイアー! お前、帝国の皇女殿下に文句を言いにいったそうだな」
珍しく早くに帰ってきたと思ったお父様は帰って来るなりお兄様にを怒鳴っていた。
いきなり怒鳴り散らすなんて余程のことだ。
一緒について行かされた私も怒られないように私は小さくなっていた。
「帝国が我がホフマン家に喧嘩を売ってきたんです。売られた喧嘩は買うしかないでしょう」
「お前な!」
当然のようにお兄様が主張して、お父様は頭を抱えていた。
「アルトマイアー、お前もよく知っているように、我がホフマン家の歴史は古い。元を正せば帝国の皇帝陛下の血筋に到達する」
「良く存じ上げておりますよ」
「しかし、帝国もこの王国の大半の貴族ですら、元をたどれば皇帝の血筋が少しは入っている。だからそれは何の自慢にもならない」
お父様は珍しくお兄様に懇切丁寧に説明し始めたのだ。
「父上、俺はそんなことは100も承知しております」
「承知していて、何故、帝国に喧嘩を売る!」
お父様が完全に切れて叫んでくれた。
「売られたからには買うしかないでしょう」
お兄様はお父様から怒鳴られても平然としていた。さすがお兄様だ。でも、矛先が私に降り注いだら困るんだけど……私は必死に小さくなっていた。
「幾ら貴様が強くても、帝国には四天王と呼ばれる将軍達がいるのだぞ。儂でも一対一ではおそらく勝てないほどの強さだ。その者を相手に戦って勝てるとでも思っているのか?」
「やってみねば判りますまい」
「やる前から結果などわかっておるわ。王国内ならいざ知らず、帝国といざこざを起こすことだけはやめておけ」
お父様が説得するように命じていた。
「喧嘩を売るとまたリーゼとクラウスの婚約が破棄されるですか?」
お兄様がお父様の揚げ足を取るように言いだした。
「それだけですめばいいが、帝国が本気になったら我が公爵家といえども蹂躙されかねん。お前の大切なユリアもどうなるか判らないのだぞ」
お父様が今日は珍しく、本気で心配してくれているようだ。何故私の名前が出てきているのかよく判らないけれど……。
「何でだろうね」
「ピーーーー」
ピーちゃんが鳴いてくれた。
私は久々に一緒に食事しているピーちゃんが甘えて私の膝の上に載ってきたので、私は今日はピーちゃんを食べさせしていたのだ。
ピーちゃんは食欲旺盛で、下手したら私の皿の物まで食べかねなかった。
私はピーちゃんのお世話をするのに大変だったのだ。
「しかし、帝国の方がユリアに攻撃してきたのですよ。黙って見過ごすのですか?」
お兄様がお父様に食らいついていた。
「帝国の皇帝陛下宛に抗議文を既に送った」
「「「えっ?」」」
私達はぎょっとしてお父様を見た。
帝国の皇帝陛下って属国の私達にしたら雲の上の人だと思っていた。その人に抗議文を送るなど、お父様も相当頭にきたみたいだ。
でも、属国の一公爵家の当主が皇帝陛下に抗議文なんて送って良かったんだろうか?
私はとても不安になった。
「だから、これ以上は絶対に手を出すな!」
「しかし、父上」
「いいな! アルト」
お父様はなおも反論しそうなお兄様に有無を言わせない勢いで同意を迫っていた。
「ユリアが納得するのならば」
お兄様が諦めて、私に振ってくれたんだけど……
「私はお父様が皇帝陛下に抗議してくれたと言うだけで十分です」
まさかそこまでお父様がしてくれるとは思ってもいなかった。
「ユリア、しばらく何があるか判らん。お前は行き帰りは必ずアルトと同行するように。他の者もできる限り一緒に行き来するのだ、判ったな!」
「「「はい!」」」
お父様にそう言われれば私は頷くしか出来なかった。
あんな魔術師私一人でどうにもなるんだけど、怒っているお父様に楯突くと碌な事が無い。デザート2週間禁止とかになったら嫌だし……
「それとアルトは食事後俺の執務室に来い」
お父様はそう言うと自分の部屋に入っていった。
「お兄様。また何かしたの?」
私がお兄様に聞いたら、
「ユリアがマイヤー先生に怒られるみたいに、そんなにいつもいつも怒られるようなことはしていないぞ」
「何言っているのよ。私もいつも怒られるときは『アルトマイアーさんの真似を何故いつもするのですか?』って怒られているんですけど」
私がむっとして言い返したら、
「しかし、俺もさすがにユリアみたいに毎日は怒られていないぞ」
お兄様が真面目な顔で指摘してくれたんだけど……
「失礼ね。私も毎日怒られている訳ではないわよ」
私はお兄様に言い返した。
「どっちもどっちだと思うんだけど」
「本当に」
「うんうん」
お姉様の言葉にエックお兄様とフランツお兄様が頷いているんだけど……
「ちょっと外野は煩い」
私が3人を睨むと
「ピーーーー」
ピーちゃんも鳴いてくれた。
「ねえ、ピーちゃん」
私はピーちゃんに食べ物を口に含ませたら
「おい、ユリア」
お兄様が呼ぶのでそちらを見たらデザートをお兄様が私の口の中に放り込んでくれた。
「美味しい!」
私が感激したら
「ピーピー」
ピーちゃんが騒いだので、慌ててデザートをその口の中に放り込んであげた。
「ユリア!」
お兄様がデザートをもう一口放り込んでくれた。
私はピーちゃんとほとんど同時にデザートを頬張ったのだ。
「何か、ユリアはペットみたい」
「ピーちゃんと同じ反応だよな」
「本当に似ているよね。どっちが飼い主か判らないよね」
3人が好き勝手なこと言ってくれるんだけど、どういう意味よ!
言い返そうにも私はお兄様に食べさせられて話せなかったし、ピーちゃんが煩いのでピーちゃんに食べさすので大変だったのだ。
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