表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
75/230

屋敷に帰ったら帝国の使者が捕まえていた魔術師を連れて行ったとのことで、お兄様が皇女様に抗議に行くのに無理矢理連れて行かれました

 私はお兄様にそんなに高価な物ばかり買ってもらうのは悪いと断ろうとしたんだけど、

「俺が可愛い妹に買う段には問題ない」

 お兄様は私の言うことを聞いてくれなかったのだ。


 私は帰り間際に左手の薬指に、お守りだとお兄様に言われて青いサファイアを着けさせられた。お兄様も自分の左手の薬指に緑のエメラルドをはめてくれたんだけど、薬指に嵌めるのは何か違うような気がするんだけど……

 お兄様曰く、お守りを効率的に作動させるには左手の薬指が一番良いそうだ。確かに初代ホフマン公爵とその妻の聖女様は左手につけていたけれど、そういう理由なんだろうか?

 お兄様は絶対にそうだと主張してくれたけれど、私は少し信じられなかった。



 そして、私達は店の者総出でお見送りされた。


 お兄様は部屋を出るときも私を抱き上げてくれた。

 私が歩けるって言ったんだけど、転移するには抱きあげた方が転移しやすいって言われて、仕方なしにお兄様の言う通りしたんだけど、小さい子供でもないのに!


「世話になったな」

「いえ、こちらこそ、今後ともよろしくお願いいたします」

 全員が頭を下げてくれたときだ。

 お兄様は転移したくれた。



 次の瞬間には今度こそお兄様は公爵家の玄関に転移してくれた。


 でも、公爵家の玄関は何やらとても騒々しかった。

 騎士達が次々に駆けてくるんだけど。


「ギルベルト、一体どうしたのだ?」

お兄様を迎えに来た護衛騎士のギルベルトに聞くと、

「アルトマイヤー様。お帰りなさいませ」

ギルベルトが挨拶した。

「実はアルトマイアー様が捕まえられた帝国の魔術師のカスパルが、帝国の皇女殿下の使者なるものの命令で連れ出されたのです」

ギルベルトが言いにくそうに報告した。


「何だと! 我が騎士達が何故帝国の皇女の言うことを聞くのだ?」

お兄様がブチ切れた。

思わず全員ビクリとした。


「申し訳ありません」

慌ててギルベルトが頭を下げた。


「エックハルトはどこだ?」

お兄様はギルベルトに聞いた。

「会議室にいらっしゃいます」

「判った、すぐに行く。ユリアは部屋に戻れ」

お兄様が抱き上げていた私を下に下ろしてくれたが、

「私が捕らえた魔術師の事でしょう。私も聞く権利があります」

こういう時こそ、連れて行ってほしい。


「いや、しかし」

「なんと言われようとついて行きます」

「勝手にしろ!」

お兄様が早足で歩き出した。

私はそれに駆けてついて行った。



「エック、どういう事だ? 我が騎士が勝手に帝国の言うことを聞くなど言語道断では無いか!」

お兄様は部屋に入るなり、エックお兄様に怒鳴り散らしていた。


「申し訳ない。兄上。俺も聞いたのは魔術師を解放した後だった」

エックお兄様が謝ってきた。


何でもその使者は、公爵家の騎士団の詰め所に、王都騎士団の騎士長と30名の帝国騎士を連れてきたそうだ。

「皇帝陛下の魔術師を拘束するとはホフマン公爵家は陛下に反逆を企んでいるのか?」

と使者は最初から上から目線で、詰問してきたのだとか。

「上に問い合わせると現場間の責任者が突っぱねたのだが、騎士長と使者に詰め寄られて、これ以上、拘束を続けるならば陛下に反逆罪として上奏すると言われて、責任者はやむを得ず解放したそうです」

エックお兄様の説明に、お兄様は舌打ちした。


「帝国の使者に丸め込まれるとは、なんと言うことだ。エックハルト、直ちに王都騎士団に抗議してこい。そして、謝罪文を持ち帰ってくるのだ。ない場合は我が公爵家に対しての敵対行動で攻撃すると伝えよ」

「えっ、兄上、本気ですか?」

エックお兄様は唖然としていた。


「当然だ。我が公爵家の騎士に対する命令権は例え皇帝といえども無いはずだ。それを高々侯爵家の騎士長が命令するなど、我が公爵家に対する敵対行為では無いか! 俺は許さん」

お兄様がそう断言した。


「フランツ、全公爵家の騎士に再度、命令権が誰にあるか徹底させろ。基本は全て父上にある。帝国だろうが国王だろうが、我が騎士に命令する権限は無い」

「判った兄上」

フランツお兄様が頷いた。

「それとギルベルト。カスパルを脱獄犯として直ちに王国の全ての騎士達にお触れを回せ」

「宜しいのですか?」

「当然だ。全責任は俺が取る。どんなことがあっても探し出せ」

そう命令するとお兄様は立ち上ったのだ。


「どちらに行かれるのですか?」

 エックお兄様が慌てて尋ねた。

「ツェッツイのところに行く」

「えっ、帝国の皇女殿下のところですか? しかし、兄上が行くと下手したら外交問題になるのでは?」

エックお兄様はとても心配そうな顔をした。


「既に外交問題になっているわ。帝国は領主の配下の騎士に対する命令権を侵害したのだ。これは重大な問題だ。今回はツェッツイの使者だと帝国側は言ったのだろう。俺がその真意を確かめてくる。元々父に確認するように言われていたのだ。まさか、帝国が休みの間に動くとは想定していなかった俺の責任でもある」

「しかし、兄上」

エックお兄様が止めようとしたが、

「お前にキンメル侯爵家に行かせるのだ。俺がここでのうのうとしている訳には行くまい」

お兄様は行く気満々みたいだった。


「判った。兄上。行くなとはもう言わない。その代わり、ユリアを連れて言ってくれ」

「えっ、私?」

私は驚いた。私は外交には一番不向きなんだけど……それにお兄様と仲の良いツェツィーリア様とあまりお話はしたくないんだけど……


「ユリア、兄上が暴走しそうになったら何があっても止めてくれ」

エックお兄様は私に小声で頼んで来た。


「そんな、エックお兄様。私には無理よ」

「頼むぞ」

エックお兄様が私に拝んできた。

お兄様の暴走なんて止められないんだけど……


「仕方が無い。ユリア、行くぞ」

ええええ! 待ってよ! そんなの私には無理だって!


私の心の声を無視してお兄様は私を抱き上げると転移してくれたのだった。


ここまで読んで頂いてありがとうございます。

ツェツィーリア様のところに抗議に行くお兄様とユリアでした。

果たしてユリアはお兄様の暴走を止められるのか?

お兄様とツェツィーリア様の仲はどうなる?

続きは明日です。

お楽しみに!




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

新作

『モブですらない小さい聖女に転生したので、小説の世界を堪能しようとしたら、何故かヒロインになっていました』https://ncode.syosetu.com/n4848kz/


私の今一番熱い人気の作品はこちら

『【電子書籍化】王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど……』https://ncode.syosetu.com/n9991iq/


表紙画像
1巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど 卒業パーティーは恐竜皇子と恐れられるお義兄様と一緒に』
上の表紙絵はおだやか先生が可愛いエリーゼを守る格好良いお義兄様を描いて頂きました。
このなろうで書いたのに【お義兄様との洞窟探検】2万字の描き下ろしが追加されています。
小さいヒロインのエリーゼはダンジョンに潜りたいとお義兄様に無理やり連れて行ってもらって、巻き起こす大騒動。
後で知ったお義父様(皇帝)が怒るもエリーゼの前に撃沈、更に行ったダンジョンにはなんとあの…………、とても面白いお話になっています。

■【3千字のSS商人の娘の独り言シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/


■【アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/dp/B0DD3SHSJV/


■【楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/86f757d2dd7d3674900eac6783288ad5/

表紙画像

表紙絵はおだやか先生が美しい、お義兄様とエリーゼのキスシーンを描いて頂きました。
2巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… 帝国に帰還しての宮廷夜会、お義兄様にキスされてしまいました』
こちらの新規書き下ろしはセッシーとの出会いです。皇帝一家でセシール湖にお出かけしたエリーゼはお義兄様たちと湖の地下宮殿に冒険に出かけます。
反逆の陰謀と共にそこにいたのは巨大な水竜で…… とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■【3千字のSSドレス工房の主の独り言シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/2/


■【アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/dp/B0DGQ7J6VH/


■【楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/178537d615973d18a4cb8adc53c66c16/

3巻表紙画像

表紙絵はおだやか先生がエリーゼをお義兄様が抱きあげる美しいシーンを描いて頂きました。
3巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… そのお義兄様から「エリーゼ、どうか結婚してください」と求婚されました。』
こちらの新規書き下ろしは学園に出る幽霊竜退治です。学園時代のお義兄様の幽霊騒動にエリーゼが一緒に冒険します
とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■【3千字のSS連れ子様の護衛騎士・シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/3/


■【アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/-ebook/dp/B0DK55BWGS/


■【楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/e9901759f61337b88109b29ff7a5ffb0/

ぜひとも手にとって見ていただければ嬉しいです。

アルファポリスのレジーナブックスにて

【書籍化】

しました!
2023年6月28日全国1200以上の書店にて発売しました。表紙画像は11ちゃんさんです。
表紙画像
表紙絵をクリックしたらレジーナブックスの説明ページに飛びます。


■アマゾンへのリンク

■楽天ブックスへのリンク

■hontoへのリンク


手に取って読んで頂けたら嬉しいです。

なろうの掲載ページ『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! ~学園生活を満喫するのに忙しいです~』https://ncode.syosetu.com/n3651hp/

第一部は書籍化の規約上3分の1残して後は他者視点で繋いでいます
「えっ、ゲームの世界の悪役令嬢に生まれ変わった?」
頭をぶつけた拍子に前世の記憶が戻ってきたフラン、
でも、ケームの中身をほとんど覚えていない!
公爵令嬢で第一王子の婚約者であるフランはゲームの中で聖女を虐めて、サマーパーティーで王子から婚約破棄されるらしい。
しかし、フランはそもそも前世は病弱で、学校にはほとんど通えていなかったので、女たらしの王子の事は諦めて青春を思いっきりエンジョイすることにしたのだった。
しかし、その途端に態度を180度変えて迫ってくる第一王子をうざいと思うフラン。
王子にまとわりつく聖女、
更にもともとアプローチしているが全く無視されている第二王子とシスコンの弟が絡んできて・・・・。
ハッピーエンド目指して書いていくので読んで頂けると幸いです。


私の

3番人気の作品はこちら

『モブですら無いと落胆したら悪役令嬢だった~前世コミュ障引きこもりだった私は今世は素敵な恋がしたい~』https://ncode.syosetu.com/n8311hq/

私の

4番人気で100万文字の大作の作品はこちら

『皇太子に婚約破棄されましたーでもただでは済ませません!』https://ncode.syosetu.com/n8911gf/



最新の短編作品はこちら

『婚約破棄されやけ酒飲んでると軽い男が声かけてきたので張り倒したら、何故か執着されました』https://ncode.syosetu.com/n2191kg/

このお話の前の話

『悪役令嬢に転生させられた地味令嬢ですが、ヒロインの方が強くて虐められているんですけど……』https://ncode.syosetu.com/n7240kb/

新作

『恋に破れた転生王女はツアコンを目指します』https://ncode.syosetu.com/n7707kp/


この前の作品はこちら

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ