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お兄様に行ってみたかった幻想的なダンジョンに二人っきりで連れてきてもらいました

本日2話目です

 次の日は土曜日、お休みだった。

 昨夜も遅くまでビアンカと話し込んでいたし、私は久しぶりにゆっくりと寝ようと思っていた。

 でも、我が家でそんなことは許されなかったのだ。


「アルトマイアー様、まだ、ユリアーナ様は就寝中で」

「まだ寝ているのか? せっかくの休みの日なのに、ユリア! 起きろ!」

 私を呼ぶお兄様の声で私は飛び起きた。

 今日は早朝訓練するなんてお兄様は言っていたっけ?

 私は寝ぼけ眼で扉を開けたのだ。


「どうしたの?」

 私は寝巻きのまま目をこすりながら迷彩服のお兄様を見たのだ。お兄様の服装は完全にダンジョン仕様だ。


 でも、その私を見てお兄様がぎょっとした顔をしたんだけど、なんで?

 昔は一緒に寝ていたこともあったし、ダンジョンで野宿することもあるから、私の寝起きの顔なんてよく見ているはずなのに……何か変?


「ユリア様! 胸元が」

 ニーナの声に、慌てて見ると昨夜は少し暑かったみたいで勝手にボタンを外していたのだ。

「キャッ!」

 私が悲鳴を上げて慌てて前を隠すのと、ニーナが飛んでくるのと同じだった。

 ああん! ない胸をお兄様に見られた! 私はとてもショックだった。


「大丈夫ですよ。ユリア様。肝心なところは隠れていましたから」

 ってニーナは言ってくれるけれど肝心な所ってどこよ?

 胸が小さいのは完全に見えたじゃ無い!

 ツェツィーリア様は大きな胸していたのに!

 私はもう真っ赤になって固まっていた。

 これもそれも私が寝ている時に起しに来るお兄様が悪い。


「で、お兄様の用は何なの?」

私がニーナに聞くと、

「何でも今からダンジョンに行くとのことで誘いにいらっしゃったんですけど」

「ええええ! もう少し寝たかったのに! ひょっとして今日は野宿?」

私は少しうんざりした。


「いえ、日帰りだそうですよ」

「そう、お兄様があの格好をしていると言うことは朝食食べている時間は無いわよね」

部屋を見たらもう、ピーちゃんはいなかった。

食い意地の張ったピーちゃんはおなかが減ったから寝ていた私を置いて食べに行ったのだ。

誰に似たのやら?


私がそう呟いたら、ニーナは私をまじまじと見てくるんだけど、何なのよ!

私が食い意地が張っているというの?


私がお兄様と同じ迷彩服に着替えたら、ニーナが私にデイバッグを渡してくれた。

「中には食料と水が入っていますから」

さすがニーナは出来た侍女だ。

これがあればおそらく1日は保つはずだ。


私はデイパックを背負うと部屋を出たのだ。


「お兄様、お待たせ」

私が言うと、お兄様は私を見て頷くと私を抱き上げてくれたのだ。

「えっ、何故、私を抱っこするのよ?」

私が驚いたときだ。

「しっかりしがみついていろよ」

お兄様は私に言ってきた。

「えっ、エックお兄様達は」

「今日は二人きりだ」

そう私に言うとお兄様はいきなり転移してくれたのだ。


ええええ!

私は訳もわからずにお兄様にしがみついた。




お兄様が転移したところはダンジョンの入り口だった。

周りには店が並んでいる。

入り口には『ブルーレイク』とでかでかと書かれていた。王都から少し離れているダンジョンだ。中に巨大な湖があるので有名なダンジョンだ。真っ暗な中に土蛍が光ってとてもきれいなダンジョンで一度行ってみたいとお兄様に頼んでいたダンジョンだ。


「「えっ」」

王都から離れているからか、人はまだ少なかったが、私達がいきなり現れたので、周りの冒険者達はぎょっとしていた。


「ちょっとお兄様。いきなり、転移しないでよ。私の心の準備があるじゃない」

デイバッグから食べ物を取り出して食べながら、私が文句を言うと、

「何言っているんだ。ここに連れて来てほしいと散々ねだっていたじゃないか」

「それはそうだけど、前もって説明してよね」

そう文句を言ってお兄様の腕の中から降りようとしたが、お兄様は下ろしてくれなかった。

「えっ、お兄様、私はどこも怪我していないから歩けるわよ」

「あまり時間が無いからな、一気に行く」

お兄様が訳のわからない事を言って私を下ろしてくれないんだけど……


「お疲れ様です」

入り口で警備していた騎士達がお兄様に敬礼した。

公爵家の人間みたいだ。

「ご苦労様」

お兄様が頷いただけなので、私が声をかけた。

「これはユリアーナ様もご一緒でしたか」

私に声をかけてきた騎士は私も見たことがあった。

「そうなの。お兄様に連れてきてもらって」

私が騎士ともう少し話そうとしたときだ。

お兄様が不機嫌そうな顔をした。

「ユリア、しっかり捕まっていろよ」

お兄様は私を左手に抱き代えたのだ。そして、剣を右手に握ってくれた。


ええええ! 何をするつもりよ、お兄様!


私がそう思った時、お兄様はいきなり加速してくれたのだ。

ええええ!

私は振り落とされないようにお兄様の首に必死に捕まったのだ。



お兄様は一気にダンジョンの中に入って、先行するパーティーを次々に抜いて行った。


そして、途中で歩いているオーガとかでかい魔物を次々に叩き斬っていくんだけど……

私はしがみつくだけで精一杯だった。

私を抱き上げてダンジョン内を加速して走るってどれだけ魔力があるのよ!


あっという間に最奥のブルーレイクに到着した。

前には大きな水色の湖が見えていた。


さすがのお兄様もふうふう肩で息をしていた。


「お兄様! 無茶しすぎよ」

私がそう言ってお兄様から降りようとしても、お兄様は離してくれなかった。

「まあ、いい訓練になったからな。途中で倒したものは10体か」

「お兄様、魔石を回収していないじゃない」

結構高く売れる魔石の魔獣も倒したと思ったんだけど……

「まあ、今日はユリアをここに連れてくるのが目的だからな。魔物退治は二の次だ」

お兄様がそう言ってくれた。転移でここまで来れたら来たそうだが、ダンジョンの中での転移は難しいらしいから、入り口から私を抱いて走ってきたのだとか。

なんかむちゃくちゃなんだけど……

お兄様らしいと言えばらしいけれど……


「ゴールはあと少しだ」

「キャッ」

そう言うと、お兄様は私を抱いたまま、傍の丘に駆け上ってくれたのだ。私は落ちないように、またお兄様の首に必死にしがみついたのだ。


着いた丘の上からは湖が一望出来た。

そして、ダンジョンの空があかね色になってきた。

このダンジョンは6時間ごとに昼と夜が逆転するのだ。

「きれい」

夕闇の中のブルーレイクはとても美しかった。

私がそう言って見つめているうちに、今度は徐々に暗くなってきた。

「ここからが本番だぞ」

お兄様がそう教えてくれた。


空が完全に真っ暗になった時だ。


「あっ、光った」

天井一面に群生している土蛍が光り出したのだ。

次々に光がともり、あたかも夜空を見ているみたいで、とても幻想的な世界だった。


お兄様に抱き上げられて私はその素晴らしい光景を心ゆくまで眺めていたのだった。


二人きりのダンジョンの幻想的な世界でした。

ブックマーク、広告の下の評価☆☆☆☆☆を★★★★★して頂けたら嬉しいです(*ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾


次は夜更新予定です。


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