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伯爵の手のものに攻撃されたので、宝剣で逆襲しました

「大丈夫、マリア?」

「ええ、ありがとう、何があったの?」

「攻撃かも」

「そんな」

 私はとりあえず、マリアの無事を確認すると窓から外を見た。


 私達は田舎にいるのでは無くて、当然王都の町並みの中にいるわけでそれもまだ日中だ。

 こんな街の中で攻撃魔術を仕掛けてくるなんて! 

 そんないかれた奴がいるなんて私には信じられなかった。


 外を見ると幸いなことに場所柄人通りは少なかったようで、被害は無いみたいだ。

 馬もあまりの衝撃に暴れるよりも圧倒されてしまったみたいだ。

 その場でうずくまっていた。


 前方にこちらを攻撃してきたと思われる集団がいた。柄の悪そうな者達が50人くらい居る。


「わっはっはっはっは、小娘。俺様の攻撃を障壁で防ぐとはなかなかの腕だな」

 その中の赤い髪をした大柄の男が前に出てきた。


「カスパル様、いきなり攻撃するなど中の娘が傷つけばどうされるおつもりか」

 私はそこに憤るボケナス伯爵を見つけた。こいつは前に懲りずにまたマリアを攫いに来たのか? それも王都の中で魔術をぶっ放させるなど、国に対する反逆行為と取られても仕方がないことをするなど正気の沙汰とは思えなかった。私は許すことが出来なかった。


 私は馬車から降り立ったのだ。


 そして、手を天に向けてこう叫んだのだ。

「我が宝剣よ、来い!」


「ボーケナ伯爵、強い魔術師がいるとのことでしたからまず試させて頂いただけですよ」

 魔術師は笑ってボケナスの言葉をながしていた。

 魔術師に文句を言っても始まらないと諦めたのだろう。伯爵は私を見て話し出した。


「そこの小娘、フルート子爵には伝えてある。素直に馬車の子爵令嬢をこちらに寄越せ」

 何かふざけたことをボケナスが言っている。それはないだろう。おそらくこいつは一方的に子爵に伝えただけだ。子爵がマリアを差し出すなどあり得なかった。


「ボケナス伯爵とその一行に申し渡す」

 私が大音声を発した。

「誰がボケナスだ! 俺様はボーケナ伯爵様だ。いい加減に覚えろ!」

 なんかボケナスが叫んでいるが、私は無視した。王都で魔術を人に向けてぶっ放してきたのだ。そんな非常識な奴はボケナスで十分だ。


「王都の中で人に向けて魔術攻撃を仕掛けてくるなど、国家に対する反逆と同じ。たとえ、ボケナス伯爵が許しても我がホフマンの剣は許さん!」

 私はお兄様の真似をして啖呵を切ったのだ。

 何か少し違うような気がしたけれど、こんな言葉は大体で良いのだ。


「何を言っているのだ。元平民風情が生意気な、我が伯爵家に逆らうというのか」

 ボケナス伯爵が叫んでくれた。


「ユリア、大丈夫なの? 私のことなんて良いから」

 マリアまで言いだしてくれた。

 しかし、私の前で魔術攻撃してきたのだ。ただで返したらそれこそお兄様に怒られてしまう。

 それ相応の対価は払ってもらわないと。


「ふん、生意気な小娘よ。素直にそこをどけ! 我らに楯突くとただではすまんぞ」

 ボケナスが脅してきた。


「はああああ? 何を言っているのよ! このハンブルク王国の剣を任じる我がホフマン家の騎士に対してあなたたちは攻撃してきたのよ。ただで済まないのはあなたたちよ!」

「騎士だと、どこにいるのだ?」

「生意気な小娘が立っているだけでは無いか」

 ボケナス達が皆して笑ってくれた。


 こいつらは私が三歳にして武のホフマン公爵家の試練を乗り越えて騎士になっていることを知らないらしい。そして、ホフマン家の騎士の心得、「国の民のためにその力を使う事」をお兄様に叩き込まれているのよ。


 お兄様曰く

「たとえどのような高位貴族だろうが、我が国の民を傷つけるものには天誅を下せ」

 なのだ。


「そもそも小娘、今回のことは帝国の皇家のお墨付きももらっているのだ。素直にどけ」

 ボケナスが言ってくれた。

「嘘を言わないで。帝国の皇帝が白昼堂々と我がハンブルク王国の王都で魔術攻撃を命じるなどあり得ないでしょ!」

「それはこの男が悪い。文句はこの男に言ってくれ」

「ボーケナ伯爵、問題ありませんよ。私は皇帝直属の魔術師、いざという時は攻撃権はもらっています」

 なんか魔術師の男が言っている。

「ユリア、大丈夫なの? 帝国に逆らうのはまずいんじゃ無いの?」

 マリアが心配してくれたが、私はお兄様から骨の髄まで叩き込まれているのだ。


「大丈夫よ。我がホフマン家の騎士は、たとえ皇帝であろうが、我がハンブルクの民を傷つける場合は天誅を下すわ」

 私は宣言したのだ。何も間違っていないはずだ。


「いいか、ユリア。俺達は天からこの力を授かったのだ。我が公爵家の騎士はその力をこのハンブルクの民の為に使わねばならん。それが例え帝国の皇帝であってもだ。民を守るためにこの力を使うことをためらうな」

 私はお兄様から散々言われてきたのだ。


 王国の貴族だろうが、国王だろうが、それが帝国の皇帝でさえだ。わが国の民が攻撃されたらそれを助けよと。それがホフマン家の試練を乗り越えた我々の役目なんだと!


「なんだと貴様、皇帝陛下に楯突くのか」

 魔術師が前に出てきた。


「我がホフマン家の騎士は民を守るのよ。民を傷つけるものはたとえ皇帝陛下でも許さないだけ」

 私ははっきりと言い切った。


「おのれ、こうなったら反逆罪で貴様から殺してやる」

 男は頭にきたみたいで、私を魔術攻撃しようとしてきた。

「おい、あの中には令嬢がいるんだぞ」

 ボケナスが止めようとしてくれたが

「ええい、煩い」

 魔術師はボケナスを振りほどいた。


「火炎魔術!」

 そして、あろうことかこの男はこの町中で更に強力な魔術を加えようとしてくれたのだ。


 もう私は許せなかった。


 その時だ。待ちに待ったものがやっと現れた。


 ガツン!


 魔術師の後頭部にそれは命中したのだ。


 宝剣ムラサメがやっと飛んで来たのだ。屋敷からここまで私が呼べばどこでも飛んでくるのだ。

 途中にあるものを壊す可能性もあるから普通は呼ぶなと散々言われていたけれど、今日は非常事態だ。

 そんなことは構っていられなかった。


 魔術師はその衝撃でもろに地面に激突して動かなくなった。


 そして、宝剣ムラサメは私の腕にピタリと収まったのだ。


 ボケナス達はぎょっとしてそれを見ていた。



「民を攻撃したこと許さない」

 私は剣を抜いたのだ。


 宝剣ムラサメがキラリと光った。


「者どもやれ!」

 ボケナス伯爵が叫んでくれた。


 よし、これで正当防衛成立だ。私はにやりと笑ったと思う。


「喰らえ、天誅!」

 私は格好つけて叫んで剣を振り下ろした。


 ムラサメから雷撃がボケナス伯爵達に襲いかかった。

「「「ギャーーーー」」」

 雷撃の直撃を受けた男達は叫んでいた。


 そして、後には黒焦げになった男達が転がっていたのだ。


ここまで読んで頂いてありがとうございます。

ブックマーク、広告の下の評価☆☆☆☆☆を★★★★★して頂けたら嬉しいです(*ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾


帝国の魔術師を傷つけて帝国は黙っているのか?

続きは今夜です。

お楽しみに!


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私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

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しかし、その途端に態度を180度変えて迫ってくる第一王子をうざいと思うフラン。
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