表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
62/230

お兄様視点 反抗するユリアに無理矢理デザートを食べさせました

 俺がユリアの世話を喜々としていた時だ。


 エックが昔我が家で預かっていた帝国のツェッツイが留学してくると教えてくれた。

 その時は俺は野山を駆けまわっている子供だった。

 ダンジョンにもあまりもぐっていなかったし、ツェッツイには悪いことをした。

 まあ、ツェッツイはユリアに比べたら体力も無くて、すぐにダウンしていたし……

 今度は出来たらツェッツイもダンジョンに連れて行ってやるか!

 俺はそう楽しみに思ったのだ。


 わいわい言い合っているうちに馬車は学園に着いた。


 俺は最後にユリアを抱いて下ろした。


 そのユリアが可愛くて、見てくる男達を必死に威圧していた。

 そんな中、銀髪の女が近付いてきたが、俺は威圧するのに忙しくて眼中になかった。


「アルトマイアー様、お久しぶりですね」

 その銀髪の女が俺に挨拶してきたんだけど、

「お前は誰だ? 俺は知らないが」

 俺の記憶には無かった。銀髪の女は母とユリア以外は知らなかった。


「えっ?」

 女は驚いてみたいだ。

「お兄様。先程エックお兄様が言われていたツェッツィ様じゃ無いの?」

「はああああ? 何を言っているんだ、ユリア、ツェッツィは男だぞ」

 俺はユリアに反論した。そう、俺は本当にツェッツィを男だと思い込んでいたのだ。

「えっ?」

 女は更に固まっていた。

「エックお兄様!」

 ユリアがエックを呼んで、俺はエックからこの女がツェッツイだと聞いて本当に驚いた。

「いやあ、その時はズボンはいていたし、やたら顔が可愛い男だなと思ってはいたんだが……そういえばツェッツィの面影があるな」

 俺はそう言って笑ったが、女は固まったままだった。


「兄上。ツェツィーリア様と同じクラスですよね。このままでは何ですからツェツィーリア様を教室まで連れて行くしか無いですよ」

「えっ、何故俺が?」

「だって、兄上は同じクラスじゃ無いですか? 俺達には兄上の教室に連れて行って自分のクラスに帰る時間が無いです」

「でも、俺は女を抱いて運んだ事なんて無いんだけどな」

 俺は愛しのユリアしか抱いた事は無いのだ。

 そう言ったのに、何故かユリアが少しむっとしていた。


「やむを得まい!」

 俺はそう言うとツェツィーリア様を荷物のように抱え上げると一目散に駆け出したのだ。

 俺はユリア以外をお姫様抱っこなんてするつもりはなかったから、仕方が無かった。



 ツェッツイはその後ショックからは立ち直ったみたいで、少し話をしてきた。

 俺も男だと間違えていた手前無碍には出来なかった。

 周りの者達が

「キャーーーー」

「アルトマイアー様が女の人と話しているわ」

「妹以外と話しているのを初めて見たわ」

 色々と煩かったが、ツェッツイは女と言うよりは幼なじみなのだ。

 別に話しても何も問題はなかった。



 放課後もツェッツイから話しかけてきた。

 昔のいたずらについてだ。良く二人でいろんないたずらをしては父らを困らせたものだ。


「でも、あの時は本当に驚いたわ。本当にびっくりしたんだから」

「いやいや、あれは絶対にツェッツィが悪かったって!」

「そんなことないわよ。アルトマイアーが余計な事をやるからよ」

 思ったよりも昔話に花が咲いた。そう言えば俺は疲れて動かなくなったツェッツイをよく今日のように荷物見たいに運んで家に連れて帰っていたことを思い出していた。


「何を覗いているんだ?」

 廊下からツェッツイの側近の声が聞こえた。

「ん? 誰か来たのか?」

 そう言えば今日は夜間訓練の日だった。


 俺はツェッツイと別れると馬車に戻ったのだ。



 俺が馬車に戻るとユリアは何故か俺をぎょっした顔で見ると、慌てて今まで座っていた俺の席を空けてフランツとリーゼの間に飛び込んだのだ。


「ユリア、どうしたんだ?」

 俺は驚いて聞いた。ユリアに避けられるなんて思いもしなかったのだ。

「別に」

 ユリアは首を振るばかりだった。

「いつも俺の膝の上にいるのにおかしいじゃないか?」

 俺が文句を言うと

「今までが異常だったのよ」

「はああああ! 何でだ? そんなわけないだろう?」

 俺はユリアに避けられてとてもショックだったのだ。頭の中が大混乱していた。

「ユリア!」

 俺は強引にユリアを掴もうとして


 パシン!

 俺はユリアにその手を叩かれていたのだ。


「えっ?」

 まさか、俺がユリアに拒否されるなんて……そんな馬鹿な……

 俺はショックのあまり固まってしまった。

 そんな、ユリアに拒否されるなんて……今までそんなことはなかったのに!


「何でだ、ユリア、素直にこちらに来い!」

「絶対に嫌!」

 ユリアは俺を拒絶したのだ。

「ユリア!」

 俺はショックのあまり頭が真っ白になってしまった。


「まあまあ、兄上、落ち着いて!」

「しかし、エック」

「兄上、ここは男として我慢するところです」

 俺はエックに窘められたが、理解できなかった。

 何がいけなかったんだ?

 調子に乗って食べさせすぎたからだろうか?

 俺はショックのあまり呆然としていたのだ。



夕食時ユリアは俺の隣に座ってはいた。でも、俺の方を見ようともせずに、

「ピーちゃん、はい、あーん」

 ユリアはペットのピー助に食べさせていたのだ。

「ピーーーー」

 むかつくことにピー助は俺を自慢げに見ると喜んで食べてくれたのだ。


「ピーちゃん可愛い!」

 ユリアの喜ぶ声が聞こえた。

 

 俺は我慢できなかった。横からユリアの差し出したスプーンに食らいついたのだ。

「ピーーーーーーーー」

 ピー助が怒ってきたが

「ガォーー」

 俺は威圧で返したのだ。


「ちょっと、お兄様、何、ピーちゃんのご飯取っているのよ!」

 ユリアが怒ってきたが、

「ふんっ、何を言っている。ユリアから食べさせてもらうのは俺だけの特権だ」

「はああああ! 私、お兄様に食べさせなんてさせたことないわよね」

「いや、子供の時に食べさせてもらったことはあるぞ」

「いつの話をしているのよ」

「ユリアに食べさせていいのは俺だけだし、ユリアが食べさせていいのは俺だけだ」

 俺は自分の意見をはっきりと言ったのだ。


「何言っているのよ、お兄様。そんな規則はないわよ」

「それならデザートをやらないぞ」

「何よ。それ、別に要らないわよ」

えっ、ユリアが食べ物で釣られないなんて……

「何、一生涯のデザートだぞ?」

俺はここぞと一生涯と言うところを強調した。絶対にユリアを離すつもりは無かった。


「別にいいもの」

でも、ユリアはそんなことを言い出してくれたのだ。


「フランツお兄様。デザート」

更にはフランツからデザートを食べさせられようとしてくれたのだ。

俺はフランツを睨み付けた。

「いや、ユリア、絶対に無理」

「フランツお兄様。私にそんなこと言っていいの?」

「昨日、朝の鍛錬の時間に……」

「わああああ、待った、ユリア、それだけは」

「じゃあ、ああん、んぐ!」

 ユリアの口の中に俺は山盛りのケーキを口の中に突っ込んだのだ。

「ングングング」

絶対にユリアを手放すなんて事はしない。

俺はユリアが文句を言う暇も無いほどそのままユリアに食べさせ続けたのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

新作

『モブですらない小さい聖女に転生したので、小説の世界を堪能しようとしたら、何故かヒロインになっていました』https://ncode.syosetu.com/n4848kz/


私の今一番熱い人気の作品はこちら

『【電子書籍化】王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど……』https://ncode.syosetu.com/n9991iq/


表紙画像
1巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど 卒業パーティーは恐竜皇子と恐れられるお義兄様と一緒に』
上の表紙絵はおだやか先生が可愛いエリーゼを守る格好良いお義兄様を描いて頂きました。
このなろうで書いたのに【お義兄様との洞窟探検】2万字の描き下ろしが追加されています。
小さいヒロインのエリーゼはダンジョンに潜りたいとお義兄様に無理やり連れて行ってもらって、巻き起こす大騒動。
後で知ったお義父様(皇帝)が怒るもエリーゼの前に撃沈、更に行ったダンジョンにはなんとあの…………、とても面白いお話になっています。

■【3千字のSS商人の娘の独り言シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/


■【アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/dp/B0DD3SHSJV/


■【楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/86f757d2dd7d3674900eac6783288ad5/

表紙画像

表紙絵はおだやか先生が美しい、お義兄様とエリーゼのキスシーンを描いて頂きました。
2巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… 帝国に帰還しての宮廷夜会、お義兄様にキスされてしまいました』
こちらの新規書き下ろしはセッシーとの出会いです。皇帝一家でセシール湖にお出かけしたエリーゼはお義兄様たちと湖の地下宮殿に冒険に出かけます。
反逆の陰謀と共にそこにいたのは巨大な水竜で…… とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■【3千字のSSドレス工房の主の独り言シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/2/


■【アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/dp/B0DGQ7J6VH/


■【楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/178537d615973d18a4cb8adc53c66c16/

3巻表紙画像

表紙絵はおだやか先生がエリーゼをお義兄様が抱きあげる美しいシーンを描いて頂きました。
3巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… そのお義兄様から「エリーゼ、どうか結婚してください」と求婚されました。』
こちらの新規書き下ろしは学園に出る幽霊竜退治です。学園時代のお義兄様の幽霊騒動にエリーゼが一緒に冒険します
とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■【3千字のSS連れ子様の護衛騎士・シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/3/


■【アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/-ebook/dp/B0DK55BWGS/


■【楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/e9901759f61337b88109b29ff7a5ffb0/

ぜひとも手にとって見ていただければ嬉しいです。

アルファポリスのレジーナブックスにて

【書籍化】

しました!
2023年6月28日全国1200以上の書店にて発売しました。表紙画像は11ちゃんさんです。
表紙画像
表紙絵をクリックしたらレジーナブックスの説明ページに飛びます。


■アマゾンへのリンク

■楽天ブックスへのリンク

■hontoへのリンク


手に取って読んで頂けたら嬉しいです。

なろうの掲載ページ『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! ~学園生活を満喫するのに忙しいです~』https://ncode.syosetu.com/n3651hp/

第一部は書籍化の規約上3分の1残して後は他者視点で繋いでいます
「えっ、ゲームの世界の悪役令嬢に生まれ変わった?」
頭をぶつけた拍子に前世の記憶が戻ってきたフラン、
でも、ケームの中身をほとんど覚えていない!
公爵令嬢で第一王子の婚約者であるフランはゲームの中で聖女を虐めて、サマーパーティーで王子から婚約破棄されるらしい。
しかし、フランはそもそも前世は病弱で、学校にはほとんど通えていなかったので、女たらしの王子の事は諦めて青春を思いっきりエンジョイすることにしたのだった。
しかし、その途端に態度を180度変えて迫ってくる第一王子をうざいと思うフラン。
王子にまとわりつく聖女、
更にもともとアプローチしているが全く無視されている第二王子とシスコンの弟が絡んできて・・・・。
ハッピーエンド目指して書いていくので読んで頂けると幸いです。


私の

3番人気の作品はこちら

『モブですら無いと落胆したら悪役令嬢だった~前世コミュ障引きこもりだった私は今世は素敵な恋がしたい~』https://ncode.syosetu.com/n8311hq/

私の

4番人気で100万文字の大作の作品はこちら

『皇太子に婚約破棄されましたーでもただでは済ませません!』https://ncode.syosetu.com/n8911gf/



最新の短編作品はこちら

『婚約破棄されやけ酒飲んでると軽い男が声かけてきたので張り倒したら、何故か執着されました』https://ncode.syosetu.com/n2191kg/

このお話の前の話

『悪役令嬢に転生させられた地味令嬢ですが、ヒロインの方が強くて虐められているんですけど……』https://ncode.syosetu.com/n7240kb/

新作

『恋に破れた転生王女はツアコンを目指します』https://ncode.syosetu.com/n7707kp/


この前の作品はこちら

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ