お兄様視点 教会関係者から妹を守ってやったら、お礼にキスしてくれました
「いやあ、アルトの妹はとてもユニークだな」
「さすがアルトの妹だ」
級友達は好きに言ってくれたが、俺は見なかったが、ユリアは昼休みに更にやってくれたみたいだった。
「ユリア、王立学園はどうだった?」
「とても楽しかったです」
「そうか、何も問題は起こさなかったんだな」
「はい……」
夕食の時にユリアは誤魔化していた。
「嘘つけ!」
フランツにいきなり全てばらされていた。
「私は何も悪いことはしていないと思うのに、マイヤー先生ったら殿下と同罪だっていうのよ! 酷くない?」
ユリアが父に言うと、
「普通頭からいきなり水はかけないでしょ。友達から『あなたの妹は凄いわ』って言われて本当に恥ずかしかったんだから」
リーゼがユリアを睨んでいるが、ユリアがやばい奴だと思われるのはライバルが減るからいいことなのだが、少し腑に落ちない。
「酷いお姉様。私はお姉様の名誉のためにやって上げたのに」
「あなたはやり過ぎなのよ」
「そんなことないわよね。ねえ、お兄様」
そこで俺に振ってくれたのだが、
「まあ、そうだな。ユリアはよく水で我慢したと思うぞ。俺なら殿下を燃やしていたかもしれないからな」
「でしょう」
俺の言葉にユリアは喜んでくれた。
「ああんもう、我が家の二大トラブルメーカーで褒め合わないでよ。クラウス殿下は私の婚約者なんだから、私がやるわ」
リーゼがそう言うが、あのピンク頭の聖女は中々しつこそうだった。
「でもお姉様。あのピンク頭、優しくするとつけあがるわよ」
「そうだ。リーゼ。殿下がこれ以上そのピンク頭なるものを近づけるなら、俺からも釘を刺しておこうか」
ここは兄の出番だろう。クラウスにお灸を据えるくらい大したことはない。
せっかく俺がそう言ってやったのに、
「えっ、もう、余計な事をしないでよ」
「しかし、我が公爵家が舐められることになってはまずいだろう?」
「そうよ、お姉様」
俺とユリアは正論を言っていると思うのだが、
「まあ、2人ともあまり動いてリーゼを困らせるな。陛下には俺からちゃんと話をしておくから」
父が更に上に掛け合うと言い出してくれたのだ。俺もそれが良いと思ったのだが、リーゼはあくまでも自分でやると断ったのだ。
リーゼも俺やユリアに対するように毅然とした態度をクラウス相手にすればいいのに、何故かいつも曖昧な態度しか取らないのだ。それが問題だと思ったのだが、
「恋する女は仕方が無いんですよ」
エックが訳知り顔で教えてくれたが、そういう物なのか?
俺にはよく判らなかった。
しかし、やはりリーゼには無理だったようだ。
ユリアにつけていたA組の騎士志望の男からユリアがクラウスと聖女を雷撃して職員室に連行されたと生徒会室で報告を受けた。クラウスと聖女のみを連行すればいいのに、と不満に思ったが、俺が職員室に顔を出すと却って話がこじれるだろうと行くのを我慢した。
しかし、そこに別の騎士志望の生徒が飛び込んできた。なんでも、血相変えて教会のホイットニーがやってきたというのだ。
これはユリアが危ない。
俺は皆が止めようとするのを振り切って職員室に飛んで行ったのだ。
教会は聖女の味方だ。どんな難癖をつけられるか判ったものではなかった。
そのユリアを守るのは俺しかいまい!
職員棟の応接室の扉の前には何故か聖騎士が護衛していた。
「通せ!」
「いえ、ここは」
聖騎士達も俺が現れて驚いたのだろう。
俺の後ろには俺の配下の騎士見習達が五人いたから、聖騎士等はこいつらに任せても良かろう。
「退け!」
俺は威圧で騎士達をはじき飛ばすと、
「ユリア、無事か!」
ドカーン
大きな音とともに俺は扉を壊していた。
でも、中にはホイットニーと学園長らしかいなかった。
「アルトマイアーさん、何をしているのですか!」
マイヤーの怒り声がしたが、
「すみません。ユリアが教会関係者に虐められていると聞いたもので!」
俺は平然と答えたのだ。
「これはホイットニー殿、お久しぶりですな」
俺はついでに物言いたそうなホイットニーを睨み付けた。
「あなたはアルトマイアー殿……」
ホイットニーの声が緊張しているのが判った。
「教会は王太子殿下の婚約者が我が妹、リーゼだと知っているにもかかわらずわざと淫乱聖女を王太子に抱きつかせたとか。それも一度ならず二度もしたそうだな。これは我が公爵家に対して宣戦布告したと同然と取っていいな!」
俺はホイットニー相手に大上段から牽制したのだ。
「アルトマイアーさん。いきなりなにを言うのです。少し落ち着きなさい」
マイヤー先生が止めようとしたが、そんな一言で俺が引き下がる訳はなかった。
「マイヤー先生。我が公爵家としても、ここまで売られた喧嘩は買うしかあるまいと父も怒っておりました。教会から明確な謝罪がないというならば、今ここでホイットニー殿の首を頂いても良いのですが」
ドシン!
俺は模擬剣を床に突き刺したのだ。
「ヒィィィィ」
ホイットニーはもう真っ青だった。
「お兄様。何をしているんですか?」
そこで慌ててユリアが入ってきた。
「何ってお前を助けに来たに決まっているだろう」
俺が答えると、
「お兄様。私は無事ですし、取りあえず、聖女とクラウス殿下には私から雷撃を浴びせましたから」
「そんなのは当然であろう。俺は教会からの明確な謝罪が欲しいのだが」
「まあまあ、お兄様。教会もすぐに謝るというのは難しいものがありましょう」
ユリアは俺の手を引いて外に連れ出そうとしてくれた。
「しかし、謝罪が……」
「まあ、お兄様。教会を攻撃するのは後でも大丈夫でしょう。その前に当然ホイットニー様が謝罪文を我が公爵家にいただけますよね」
ユリアの強引な一言にホイットニーは頷いてくれた。
まあ、それならば良かろう。
仕方なしに俺はユリアに手を引かれて帰ったのだ。
馬車の中では強引にユリアを膝の上に座らせた。
ユリアは少し驚いていたが、これが普通になればいうことが無いのだが……
「まあ、でも、ユリアが無事で良かった」
そう言うと俺はユリアを思わずぎゅっと抱きしめていた。
「心配してくれてありがとう」
ユリアはお礼を言ってくれたのだ。
「それにわざわざ助けに来てくれて、嬉しかった」
ユリアはそう言うと、俺の頬にチュッとキスをしてくれたのだ。
俺は目を見開いた。
俺には信じられなかった。
「ユリア!」
俺はもう一度ユリアを思いっきり抱きしめていた。
俺はユリアを腕に抱きしめながら心に誓ったのだ。
絶対に主席になって父を破り、ユリアを婚約者にすると!
ここまで読んでいただいてありがとうございます
キスされたお兄様は天にも昇る気分でした……
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