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お兄様視点 学園に入る妹が可愛すぎて周りを牽制するのに大変でした

 ユリアが学園に行く年になった。

 ユリアはとても可愛くきれいになっていた。

 背も高くなってきて、胸も出てきた。

 本人はリーゼや侍女達に比べて無い無いと喚いているが……


「お兄様!」

 俺を呼んでくれる時の笑顔が本当にきれいだ。


 でも、最近は大人びてきたのか、俺の膝の上に乗ってくることも無くて、俺は悲しかった。

「そんなの当たり前でしょう。12歳の女の子が膝の上に乗ってくるなんて普通はあり得ませんから」

 エックに一顧だにされなかったが……


 でも、オオカミどもが群がっている学園なんかにこんな可憐なユリアを行かすのはとても心配だった。

「こんな可憐って、兄上、気にしなくてもクラスの男ども全員に襲われてもユリアなら一撃で撃退しますから」

「本当だよ。俺は見た目で騙された男達の方を心配するよ」

 エックとフランツは全く気にしていないみたいだったが、

「お前らは妹が心配では無いのか?」

「リーゼですらちゃんとやれているんですから」

「そうだよ、兄上、ユリアの心配なんてするだけ無駄だよ」

 この二人に相談したのが間違いだった。


 俺はオオカミどもを牽制するためにユリアに物を贈ろうとエックに相談したのだ。

 そして、俺の色の髪飾りを贈ることにした。

 いざという時はお守りとして作動するように防御魔術をふんだんに付与したのだ。


「あれならなんとかなるよな」

 俺は少しほっとした。

 位置情報もつけておいたから何かあれば即座に駆けつけられる。


 我が公爵家は武の名門だが、学力は今ひとつのものも多い。公爵家貴下の貴族や騎士の令嬢や令息でユリアと同い年のものも多いのだが、大半はCクラスだ。ユリアと同じAクラスに配属されたものは数人しかいなかった。同じAクラスに入る者達にいざという時は影から見守るように、と指示を直々に出したのだ。


 俺は父に言われたように生徒会はちゃんとやっていた。五年生なのに生徒会長をさせられることになって面倒だと思ったのだが、ユリアが、主席になってくれたので、迎える側として俺が挨拶できると思うと少しだけ頬が緩んだ。

 結局俺が恐れていたように弟妹たちはエックからフランツ、リーゼ、ユリアと四年連続主席だった。

 フランツは弱いところがあるから、少し揺さぶれば逆に主席になれないと思って、絶対に取れと脅したのに、何故か懸命に勉強して、俺の予想に反して取ってくれた。

 フランツさえ取れれば、リーゼとユリアは楽勝だった。

 俺は未だに主席になれていない。このままでは本当にまずかった。


 当日の準備は副会長に任せて俺はやっとユリアと一緒に登校できると喜んでいた。

 でも、エックは五人で一つの馬車は狭いのでは無いかと懸念を表してきた。

 確かに俺とユリアが一つの馬車を使えばそれはそれで良いのだが、公爵家の兄妹として、全員揃って登校するのも良いだろう、と俺は思ったのだ。

 他の生徒達に対する牽制にもなる。


 でも、三人で座った弟妹は喧嘩を始めたので、俺はユリアを俺の膝の上に乗せることにしたのだ。

 我ながら良い考えだった。


「えっ、ちょっと、お兄様!」

 ユリアは俺の膝の上で真っ赤になっていたが、俺は久々にユリアを膝の上に乗せられて嬉しかった。

 エックとフランツとリーゼは白い視線で睨んできたが、そんなのものは何のそのだ。

 俺は鼻歌を歌いたい気分だった。



 その勢いで、馬車溜まりで馬車から降りる時に俺はユリアの手を引いて降りた。

 男達は可愛いユリアを見て目の色を変えていた。

 やはりユリアを連れて来るんじゃ無かった。俺はこのまま連れて帰りたい気分になった。

 でも、そういうわけにもいかない。


 俺はそいつらを怒りのオーラ満載でにらみ返したのだ。

 生徒会長であり、四年連続騎士競技の勝者である俺の視線を返せる奴なんていないはずだ。


 俺は周りを睥睨しながらユリアの手を引いて講堂のユリアの席まで連れて行った。

 十分に周りに対しての牽制になったとは思う。

 Aクラスの男連中もついでに牽制しておいた。


 俺は生徒会長特権で今年から剣術の授業を必須にしていた。

 先生等は反対したが、女とはいえ、自らの身を守らないのでは武のハンブルク王国の名が泣くとの名目で先生達を説得したのだ。

 まあ、俺の真の目的はユリアの強さを周りに見せつけるためだけにそうしたのだが……

 ユリアがいかに強いか思い知れば男達はユリアに邪なことを考えるのは諦めるだろうと思ったのだ。


 俺は剣術が必須になったことを全員に挨拶で話しておいてやった。

 悲鳴が上がっていたが、まあ、高々授業だ。



 次に壇上に立ったユリアは、紙を広げて何故か固まっていた。

 少し心配になった時に、話し出したんだが、事前に練習に付き合わされて聞いていた内容と全然違っていて俺は面食らった。

 触れなくても良いのに、家族の中で俺だけ主席で無いことをこれでもかと触れてくれたのには少しむっとしたが……


 ユリアは絶対に紙を忘れたのだ。俺はありふれた先生賛辞を延々10分間話すユリアに周りも興味なんてわかないだろうと安心していたのに、ユリアは面白おかしくアドリブで挨拶してくれたのだ。


 ユリア、やめてくれ! 

 それで無くても見た目は可愛いのにこれでウィットに富んだ女だと更に人気が出たらどうするんだ?


 俺は更に周りを牽制しようと心に決めたのだった。


ここまで読んで頂いて有難うございました。

続きは今夜です。お楽しみに


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私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

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