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王宮のお茶会で王妃様のお気に入りの騎士を吹っ飛ばしてしまいました

 そして、お姉様に連れて行かれた会場には既に多くの色とりどりに着飾った令息や令嬢がいた。

 確かにその中では私の迷彩色は浮いていた。

 失敗したと思った時は遅かった。

 もっとも一度脱いだドレスをもう一度一人で着るのは無理だったし……



 そんな中で最初に一番奥まったところにいる偉そうな人達に挨拶にお姉様が向かったのだ。


 その格好と座る位置から国王陛下と王妃様、それと真ん中に座っているのが王太子殿下だと判った。

 王太子殿下は黒い瞳で黒い髪をしていた。そこは前世の日本人に似ていたけれど、掘りの深い目元、高い鼻は欧米人だ。中々見目麗しい姿形をしていてとてもハンサムだ。私は王宮に行くのが嫌で行っていなかったが、お姉様は何回かお会いしたことがあるみたいで、お姉様が夢中になるのも判った。まあ、私はお兄様の方が好きだけれど……


 でも私がそれ以上に驚いたのは陛下の後ろにお父様が近衞騎士の格好をして立っていたことだった。

 考えたらお父様は近衞騎士団長だから当然と言えば当然だった。

 お父様は私を見て唖然としていた。そして、周りを見てお兄様達がいないことに気付いて拳を握りしめているんだけど……でも、それ以前に、私はその後ろで目を怒らせているマイヤー先生を見つけて青くなったのだ。


「ルードルフ・ホフマンが長女のリーゼロッテでございます」

 お姉様がそう言ってお三方の前でカーテシーを決めてくれた。

「同じく次女のユリアーナです」

 私は騎士の礼をしたのだ。ちゃんと出来たはずだ。もうこうなったら護衛騎士で通すしかない。マイヤー先生にはお姉様に頼まれたことにしておこう。実際にお菓子で釣られたし。

 私に取っては国王夫妻や王太子よりもマイヤー先生の方が気にかかったのだ。


「おお、ルードルフの子供達か? ところで後の3人はどうしたのだ?」

 陛下が聞いてきた。

「いや、一緒に来ているはずですが……」

 お父様が戸惑いながら私達を見た。


「お兄様達は騎士団の訓練場に訓練をしに行きました」

 お姉様が黙っているので仕方なしに私が答えたのだ。

「あいつら、勝手な事を」

 お父様がむっとして唇を噛んでくれたが、

「お父様に勝負を挑んで勝てたらそのまま訓練場で訓練すると兄は言っていました。それに自分が殿下より目立ってはいけないからと」

 私は一応お兄様達のために言い訳してあげたのだ。噛まずによく言えたと思う。

 私の言葉にお父様は頭を抱えていたんだけど……

「ちょっと、ユリア!」

 お姉様が注意してきたけれど、ちゃんと言い訳してあげるのは良いことだと私は思ったのだ。


「中々面白いことを言う子じゃの」

「クラウスより注目を浴びるなどあり得ないのに……」

 国王陛下は喜んでくれたみたいだが、私の言葉に王妃様は少し機嫌を損ねられたみたいだ。王妃様は薄いピンクの衣装を着ていて、指には大きな青い宝石が光っていた。王妃様も黒い髪をしていて、王太子殿下と同じだった。ただ瞳は青くその瞳で冷たい冷ややかな視線で私を睨んできた。


「ユリアーナは何故そのような格好をしているのですか? ダンジョンにでも行く気なの?」

 王妃様が私を見て微笑んで聞いてくれた。

「出来たらダンジョンに潜りたかったんですけど、今日はお姉様の護衛騎士です」

 私は胸を張って答えたのだ。

 後で良く考えたら王妃様は嫌みで言ったんだと判ったけれど、その時の私は判らなかったのだ。


「これはまた、小さい護衛騎士ね。でも、その実力のほどはどうなのかしら」

 王妃様が笑ってくれたんだけど。その王妃様の笑みが馬鹿にしてくれているのはさすがの鈍い私でも判った。

 私はさすがに少しむっとした。


「さすがにお父様には負けますけれど、他の騎士には勝てるかと」

 私は思わず言い返していたのだ。王妃様の後ろにはいかにも顔立ちの良い侍女達に人気がありそうな青い髪の騎士が立っていたが、その形だけの騎士なら勝てると思ったのだ。


「まあ、立派な騎士さんだ事。私の護衛騎士に勝てるかしら」

 王妃様がその騎士を見てくれた。

「殿下、ご冗談もほどほどにされた方が」

 お父様が王妃様を止めようとしてくれた。


「小さなお子ちゃま騎士など片手でやれますが」

 なのに細面の美形騎士が私を挑発してきた。いかにも軽率そうな顔立ちの騎士だ。顔が良いことを鼻にかけた軽い騎士だ。侍女達に声をかけまくっているんだろう。私はそういう騎士が一番嫌いだった。


「私なら小指一本でも勝てますけど」

 私は笑って言ってやったのだ。

 目には目を歯には歯をだ。挑発されたらやり返さないといけない。

 私はお兄様にはそう教育されているのだ。

「何だと、やるのかい、お嬢ちゃん!」

 その騎士も気が短いらしい。




「まあ、フリッツ様が模擬試合をされるみたいよ」

「フリッツ様って」

「王妃様のお気に入りの」

「あの見目麗しい騎士様よ」

「まあ、素敵」

 子供達と付いてきたその親と休み時間なのか侍女達が周りを取り囲んでいた。

 侍女達は仕事は良いのかと思わないでもなかったが……マイヤー先生に睨まれて慌てて去って行った。


 後で聞いたところでは、最近王妃様が見目麗しい騎士を自分の騎士にしたと王宮で話題になっていたそうだ。私は全くそんな噂は聞いていなかった。

 と言うか顔ならばお兄様の方が余程男らしいし、ハンサムだ。それに強いのだ。


 私はいつもお兄様には全く歯が立たなかったが、最近はエックお兄様にはたまに勝てるようになっていたのだ。まあ、この騎士がどれだけ強いか知らないが、そこそこ勝負は出来るはずだ。


「騎士団長。手加減はしますから」

 男は余裕みたいだった。

「お父様、心配しないでください。本気は出しませんから」

 私は心配そうに私を見るお父様に教えてあげたのだ。

「な、何だと小娘。口だけは達者だな」

「フリッツ、本気で叩き潰してやりなさい」

 護衛騎士が怒り出して王妃様も怒り出したんだけど……私はそれよりもその後ろで鋭い目で私を見てくるマイヤー先生の方が気になった。

 明日は4時間くらいの補講かな……もう最悪だ。


「カテリーナ、それはさすがにまずかろう」

 陛下が王妃様を止めようとしてくれた。

「いや、陛下、フリッツには本気を出させないと瞬殺されてしまいますよ」

 横でお父様が何か呟いているのが見えたが、よく聞こえなかった。まあ、こんな余興さっさと終わらせて、私は王宮のお菓子を食べるのだ。


「小娘。でかい口をきいたのを後悔させてやるわ」

 フリッツが構えると私に斬りかかってきたのだ。思いっきり。

「彼奴、子供相手に本気になりおって」

 陛下が頭を抱えているのがちらっと見えたが、私は余裕だった。

 お兄様の剣さばきに比べれば止まっているみたいな感じだ。

 私はその剣を軽く躱すと、身体強化をするとそのまま男の胸元に剣を叩き込んでいた。


 バシン!


「ギャッ」

 男は一瞬で吹っ飛んでいったのだ。


ダン!


そして地面にたたきつけられていた。男は完全に気絶していた。


 陛下も王妃様も王太子殿下も周りのギャラリーも唖然としてそれを見ていた。


 お父様が頭を抱えているのがみえた。


 私はこの2年間お兄様の死の特訓に耐えてきたのだ。顔だけ騎士なんかに負ける訳はなかったのだ。




ここまで読んで頂いてありがとうございました。

一撃でいけ好かない騎士を倒したユリアでした。

ブックマーク、広告の下の評価☆☆☆☆☆を★★★★★して頂けたら嬉しいです(*ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾


明日からは学園編です。

ここからヒロインの聖女も出てきます。

お楽しみに

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私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

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