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馬車の中で兄が暴れようとしたのを次の兄が必死に抑えていました

 はっと後ろを振り返るとそこには帝国の学院の高等部の制服を着た男と女が立っていたのだ。


「いえ、何でもないです」

 私は慌てて駆け出したのだ。


「どうしたんだ?」

 何かお兄様の声が聞こえたような気がしたが、私は振り返ることもなく駆け出した。


 なんか信じられなかった。お兄様は他の女の人と話す時はとても塩対応なのだ。私がいつも気を使って代わりに話してあげないと、女の人が泣き出しかねないのに。

 それがあんな優しい顔をして話しているなんて、私は信じられなかった。

 私は階段を飛んで降りた。途中で会った人たちは驚いていたが、それどころではなかった。

 お兄様が他の女の人と親しくしていた……


 本来なら女ッ気がなかったお兄様に女が出来たって事でとても喜ばしいことのはずなのに、何故か、私は素直に喜べなかった。


 私はその勢いのままに馬車に飛び乗ったのだ。

「どうしたのよ、ユリア?」

 いきなり飛び込んできた私を見て、お姉様が驚いて聞いてきた。

「お兄様がマイヤー先生に捕まっていたのか?」

 エックお兄様が聞いてきたが、

「違うの。お兄様がツェツィーリア様と仲良くしていたの」

 私が衝撃の発言をしたはずなのに……

「えっ、お兄様ってツェツィーリア様の事を男だと間違えていたのよね?」

 お姉様が信じられないって顔で聞いてきた。

「仲良くって、本当かよ?」

 絶対にあり得ないって顔でフランツお兄様までが言ってくれるんだけど……

「本当よ。いつもはお兄様が女の人と話す時はあの不気味な笑みか愛想笑いかそうか邪魔物を見るような冷たい目で見るのに、さっきは蕩けるような笑顔で話していたんだから」

 私がそう言い張ったのに、

「それはお前が側にいるときだろ。お前と一緒にいる時は、兄上にとって他の奴は邪魔な石ころだからな」

 エックお兄様が言い出したんだけど……

「兄上はお前が傍にいないときは女の子とも普通に話しているときもあるぞ」

 フランツお兄様が教えてくれた。

「えっ、そうなの?」

 私は知らなかった。


「でも、そう言うときは相手を女だと見ていないからな」

 エックお兄様が言ってくれるんだけど、

「ツェツィーリア様の事も相変わらず女とは見ずに、幼馴染みとしか見てないんじゃないか?」

 エックお兄様が更にそう言ってくれたんだけど、あれは絶対に愛しい女を見る目だって!

 私が言ったら、

「お前の言うことは宛にならん」

 エックお兄様に一顧だにせずに否定されたんだけど……何で?

「ユリアにお兄様の気持ちが判るの?」

 お姉様にまで言われてしまったんだけど、私の方が判るわよ!

 一緒にいる時間が長いから!

 私はそう言ったのに、

「ユリアの言うことは当てにならないからな」

「本当に」

「お兄様がたまに可哀想になるわ」

 なんか三人ともめちゃくちゃ言ってくれるんだけど……


 そこへお兄様が入ってきた。

 私は慌てて、フランツお兄様とお姉様の間に飛び込んだのだ。

「ギャッ」

「ユリア、狭いわよ」

 二人が叫ぶが、そんな事は知ったことではなかった。二人が痩せれば良いのだ。

「ユリア、どうしたんだ?」

 お兄様が驚いて聞いてきたが、

「本来はこれが普通でしょ。お姉様もフランツお兄様ももう少し痩せれば良いのよ」

 私が言うと、

「失礼な、私は十分に痩せているわよ」

「俺も太っていないぞ」

 二人して言ってくれるんだけど、私に比べたら太っているわよ!

 私は口にしなかったけれどそう思った。


「ユリア、どうしたんだ?」

 お兄様が聞いてきたけど、

「別に」

 私は首を降ったのだ。

「いつも俺の膝の上にいるのにおかしいじゃないか?」

「今までが異常だったのよ」

 お兄様はそう言いきった。お兄様が他に好きな女が出来たかも知れないのに、その人の手前、お兄様の膝の上に座るなんて、出来るわけないじゃない!

「はああああ! 何でだ? そんなわけないだろう?」

 お兄様が不機嫌そうに言うんだけど、13にもなって、兄の膝の上に座っているほうが可笑しいのよ!

「ユリア!」

 お兄様が何故か怒り出したんだけど、私が悪いの?

 私は無視したのだ。


 パシン!

 私を無理やり掴もうとした、お兄様の手を思いっきり私は叩いていた。

「えっ?」

 驚いたお兄様の顔に私の心は少し痛んだけど、何で傷ついたような顔をするのよ?

 お兄様の彼女のためにしているのに!

 私の方が悲しいのに!


 その周りで驚いた兄姉の顔を見ても、意味が判らなかった。皆してお兄様を注意してよ!

「何でだ、ユリア」

 お兄様が怒り出したんだけど、何で?

「素直にこちらに来い!」

 お兄様が言うけど、そんなの行けるわけないじゃない!

「絶対に嫌だ!」

 私はお兄様に宣言したのだ。

「ユリア!」

 お兄様がショックを受けたような顔をしたが、私は明後日の方を向いたのだ。

「まあまあ、兄上、落ち着いて!」

 エックお兄様がお兄様を落ち着かせようとしてくれた。

「しかし、エック」

 お兄様が反論しようとした。

「兄上、ここは男として我慢するところです」

 エックお兄様が必死にお兄様を落ち着かせようとしてくれたんだけど、それを聞いて吹き出した、フランツお兄様の頭をエックお兄様が叩いていた。

「お前は王都壊滅の危機を招きたいのか?」

 エックお兄様の言葉にフランツお兄様が慌てて首を振るんだけど、どういう意味よ?

 私は暴れないわよ!

 意味が判らなかった。


 私たちの馬車は珍しくまともに走ったのだった。

ここまで読んで頂いて、有り難うございました。

噛み合わないお兄様とユリアでした。二人はどうなる?

続きは明朝の予定です。

続きが気になる方はブックマーク、広告の下の評価☆☆☆☆☆を★★★★★して頂けたら嬉しいです(*ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾

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私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

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