楽しそうに話しているお兄様と皇女を見て何故か胸が痛くなりました
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ご了承ください。
結局、また、フリッツとゲオルクを保健室送りにしてしまった。
そして、私はマイヤー先生の呼び出しを食らってしまったのだ。
最悪だった。
「判っているのですか、ユリアーナさん? 相手は我がハンブルク王国の宗主国のブレーメン帝国の伯爵家の御曹司なんですよ。今までとは勝手が違うのです。今までは我がハンブルク王国内のことでしたから、最悪は学園長が首を覚悟すれば済んだ話なのです」
「ちょっと待て、マイヤー先生。そんなの、ユリアーナ君が暴れる度に首を覚悟しなければならないのならば、いくつ首があっても足りんぞ」
学園長先生が笑い事ではないという顔で抗議してくれたが……
「ものの例えです。それに国内であれば最悪の事態でも、陛下が最終判断を下さればそれで済んだ話です。でも、帝国が絡むとそういう訳には参りません。外交問題になりますし、陛下といえども帝国から無理難題を向けられたら、それを飲まざるを得なくなるんですよ」
「しかし、ゲオルクはハンブルクに騎士がいないと言ってくれたのですよ。私が出ざるを得ませんでした」
私の言葉に学園長とマイヤー先生が頭を抱えていた。
「いや、まあ、ユリアーナ君。君らホフマン公爵家は別格だからな。帝国といえどもそうそう君たちに太刀打ちできる者はいないだろう。何しろ我が国の全軍が公爵家に攻め込んでも勝ち目はないのだからな」
学園長がとんでもないことを言ってくれたけれど、そこまで我が公爵家は強力ではないと思う。
「学園長、今は話題はそこではありません」
学園長はマイヤー先生に注意されていた。
「でも、先生。私達はまだ学生です。学園長も大いに喧嘩しろと最初におっしゃられたではありませんか」
私が言うと、
「いや、待て、私はそのような事は言っていないぞ」
学園長が即座に否定してくれたんだけど、
「最初にお互いに切磋琢磨して励めとおっしゃいました」
「切磋琢磨のどこが喧嘩なんだ?」
「お兄様の死の特訓では切磋琢磨タイムは剣術の無制限の乱打時間なんです」
「それは公爵家だけの独自ルールだろうが!」
「それに剣術は喧嘩ではないではありませんか」
「私も剣術で弾き飛ばしただけですよ」
私は当然の主張をしたのだ。そうだ。普通にやっただけなのだ。ちょっとやり過ぎただけで……
「あなたがやるといつもけが人が出るでしょう。だからフリッツ先生はあなたには素振りしかさせないと宣誓していたのに」
「でも、私はフリッツ先生の前で戦いましたよ」
「戦わせたフリッツ先生が悪いのです」
よし、マイヤー先生が断言してくれた。これで大丈夫のはず。
「でしょう。私はフリッツ先生の指示に従っただけです」
私はしたり顔で頷いた。全ての責任をフリッツに取ってもらおうとしたのに、
「でも、もう少し手加減は出来たでしょう」
「でも、ゲオルクは手加減していませんでしたよ」
「だからってあなたが手加減しないと大変なことが起こるでしょう」
マイヤー先生が怒って言ってくれたけれど、
「先生、私十分に手加減しています。しなかったら死人が出ていますから」
私は当然の事を言ったのだ。
「もう少し手加減しなさい!」
しかし、マイヤー先生に叱責されてしまった。
マイヤー先生にはそれからまだ30分延々と怒られて、結局お昼を食べる時間はなかった。
本当に最悪だった。
でも大丈夫、マリアがお菓子を持ってきてくれていて、五時間目の授業の前にくれたのだ。
それでなんとか空腹をだましだましした。
留学生も五限目の前には戻ってきてくれて、私はほっとした。
ゲオルクはそれからの授業中は今までの反応が嘘みたいに大人しくなったんだけど……私が少しやり過ぎたと私なりに反省した。
そして、放課後になった。
今日は週に一度の夜間の訓練デイだった。
お兄様は朝から張り切っていたので、私達はさっさと帰ろうと馬車に乗ったのに、その肝心のお兄様が全然戻って来なかった。
「ユリア、少し見てきてくれる?」
お姉様が私に頼んで来た。
一番下はこういう時は雑用係になるのだ。
「判ったわ」
私は仕方なく、お兄様の教室に向かった。
お兄様がすぐに出てこないなんて余程のことだ。
また何か問題を起こしたんだろうか?
朝から皇女様を丸太のように運んでいたから、他の先生に注意されているんだろうか?
マイヤー先生がラッキーなことに1年の学年主任を離れて5年A組の副担任になったと聞いたから、絶対にマイヤー先生に立たされるか何かしているに違いない。
あれっ? としたら見に行くのはマイヤー先生に受けの良いお姉様の方が良かったのでは……
私は5年生の教室に上がる階段の途中で止まってしまった。
下手に私が顔を見せると今日の件もあるし、先生のお叱りが倍になる可能性がある。
お姉様に変わってもらおうか?
でも、そんなことしてお姉様の機嫌を損ねるのもあれだし……もう教室は目の前だ。
ようし、こうなったら、そっと覗くだけ覗いてみよう!
私はお兄様の教室の前に立つと中をそおっと見ようとした。
「でも、あの時は本当に驚いたわ。本当にびっくりしたんだから」
あれ?
中からは楽しそうな女の人の声がしていた。マイヤー先生はいないみたいだった。
私はほっとした。
そして、中を覗いた時だ。
「いやいや、あれは絶対にツェッツィが悪かったって!」
「そんなことないわよ。アルトマイアーが余計な事をやるからよ」
なんと、そこでは女の人といる時はいつも不機嫌そうな顔をしているお兄様がにこやかな笑顔でツェツィーリア様と話していたのだ。
私は唖然とした。
あんな優しそうなお兄様の顔を見る事は今までほとんどなかったのだ。
何故かとても胸が痛くなった。
私は唖然として廊下に立ち尽くしたときだ。
「何を覗いているんだ?」
その時に後ろから大きな声がした。
私はビクッとした。
後ろを振り返ると帝国の制服を着た男が私を睨み付けていたのだ。
ここまで読んで頂いてありがとうございます。
男と間違えていたお兄様もきれいな皇女に態度を変えたのか?
続きはできる限り早めにするよう努力します
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