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帝国皇弟の娘視点 幼なじみに会う為に属国に留学しました

 私の名前はツェツィーリア・ブレーメン、この大陸を治めるブレーメン帝国の皇弟の娘よ。


 幼い頃は政変に巻き込まれて、大変だったわ。

 お母様のつてを頼って、属国のハンブルク王国のホフマン公爵家に匿われていたこともあるの。その時に出会ったのが、そこの長男のアルトマイアーで、彼は私の一つ下だけど、とても見目麗しくて格好良かったわ。

 私の事も「ツェツィーリア」「ツェツィーリア」と呼んでくれて、野山を駆け回ったのよ。私はすぐに息が上がって、ついていけなかったけれど……

 その時は本当に楽しかった。二ヶ月もいなかったけれど、私には本当に楽しい想い出だったわ。


 彼は私の幼馴染みで、初恋の相手だったかもしれない。


 お家騒動が終わって迎えが来て、私が皇都に帰るとお父様が皇弟になっていたの。私は皇弟の娘になってしまったわ。

 そうなったら自分の都合で勝手に相手を決める訳にはいかなくなったのよ。帝国に戻ってからは、アルトマイアーとは文を交わしたこともないし、当然会ったこともなかった。彼のことは出来るだけ忘れるようにしていたの。


 そんな私がお父様に呼ばれた。

「ツェツィーリア、良ければハンブルク王国に留学してみるか?」

 お父様がいきなり仰った。

「えっ?」

 私は戸惑ったわ。


 帝国に戻った後、ハンブルク王国での事は忘れるようにと言われていたのに!

 なのに、今更、留学しろと言われるなんて! どういうことなんだろう?


「その方に懸想していた公爵家の令息がいたろう」

 お父様は侍女からアルトマイアーとのことは報告を受けていたみたいだ。

「今でも交流があるのか?」

「いいえ、アルトマイアー様とはそれ以降手紙すら交わしたことはありません」

 私ははっきりと否定した。

「そうか、アルトマイアーとか言ったか、その者はハンブルクでは向かうところ敵なしの騎士に育ったそうだ。ハンブルク王国は帝国の属国の中では大きな国だ。皇弟の娘のお前の嫁ぎ先としては最高の縁とは言えぬが、悪くはない所だ。一度会ってみるのも良かろう」

 お父様はそう言い出してくれたけれど、どうしたいのだろう?

 こちらから望んだとしても相手のあることだ。そんなに都合良くはいかないだろう。私は困惑しつつ、お父様の元を下がった。


「お嬢様、良かったではありませんか。ハンブルク王国で、アルトマイアー様と付き合う事を認めてもらって」

 私の言葉に侍女のカルラが喜んでいた。彼女は私の生まれた時からの侍女でハンブルク王国にも一緒に付いてきてくれていた。


「何を言っているのよ。アルトマイアー様と付き合うって、私達が会っていたのは子供の頃よ。いくらなんでももう忘れられているわよ」

 私が反論すると、

「そんなことは御座いませんよ。お嬢様はあの頃に比べて、背も伸びられましたが、更にきれいになっておられます。例えアルトマイアー様が忘れていたとしても、お嬢様を一目見られたら、お嬢様を好きになられるのは確実ですよ」

 無責任な事をカルラは言ってくれたが、そこまで都合良くは物事は運ばないだろう。

 そもそも、アルトマイアーが私を覚えているかどうかも定かではないのだ。


 でも、その日は何故か昔のことが思い起こされて中々寝れなかった。



 この話はこれだけでは終わらなかった。

 翌週に私は皇后様に呼び出された。


「ツェツィーリア、少し見ないうちにますますきれいになりましたね」

 会うなり皇后様は私を褒めて頂いた。

「滅相もございません。私の美しさなど、皇女殿下の美しさに比べれば足下にも及びません」

 皇女は御年20になっていた。私の従妹だ。昔はよく一緒に遊んだものだった。

「そのような事は無いわよ。あの子もきれいだけれど、銀髪の美しさはあなたには到底及びもしないわ」

「そのようなことは無いと思いますが……」

 私は一応否定はしたが、銀髪の美しさだけは誰にも負けないと自負していた。


「あなたはハンブルクのホフマン公爵家の嫡男と面識があったわよね」

「はい。アルトマイアー様とは幼少の頃一緒に過ごしたことがあります」

 私は頷いた。


「陛下と皇弟殿下はあなたとそのアルトマイアーを縁組みすれば良いとかおっしゃるんだけど、私はあなたの意思に任せたいと思うの。1年間、ハンブルク王国に留学して、一度じっくりと自分に合うかどうかみてみたらどうかしら」

「えっ?」

 私は思わずまじまじと皇后様を見た。


「属国の中ではハンブルク王国は大きな力を持っているわ。更にそのハンブルクに聖女様の力が発現したのはあなたも知っている通りよ。帝国の中では今一番熱い国よ。その国の最大勢力のホフマン公爵家と縁を結ぶのは帝国としても必要なことだと思うの。我が娘に婚約者がいなければ娘を嫁がせるのだけれど、娘には婚約者がいるでしょう。それにツェツィーリアは公爵家の嫡男と面識があると聞いたから、もし留学してみて、気に入ったら婚約してくれたら有り難いわ」

「判りました。父からも言われていたので、前向きに検討します」

私は皇后様に頷いたのだ。


私の頭の中は、小さかったアルトマイアーがどれくらい立派になったんだろうとか、私のことを未だに覚えてくれているだろうか、とか、目の前の皇后様の事よりも、アルトマイアーのことでいっぱいになっていったのだ。



ここまで読んで頂いてありがとうございます。

お兄様の前に絶世の美女の登場です。

どうするユリア?

続きは明朝です。

お楽しみに

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私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

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