聖女視点 悪役令嬢のせいで散々な目に合わされたので、絶対に断罪してやると心に決めました
「何で、何で、こうもうまくいかないのよ!」
私は完全に切れていた。
それもこれも全部悪役令嬢のユリアーナのせいだ!
本当に許せなかった。
せっかく大人しいリーゼロッテからクラウス様を奪ってやろうと思ったのに、ユリアーナが邪魔してくれるのよ。本当にもう許せないわ!
クラウス様に大人しいリーゼロッテが話しかけようとして出来ないでいる横からクラウス様に抱きついてやったの。リーゼロッテの顔と言ったらなかったわ。目を怒らせているくせに、気が弱いものだから何も言えずに唖然としていたのよ。
ざまあみろだわ。
「クラウス様。私という婚約者がいながら、別の女性をエスコートしているのはおかしいですわ」
やっと話し出したら小さい声でぼそぼそと言ってきたのだ。どれだけ気が小さいのだ。
それで言うことを聞かないとみると
「そうですか。でも、婚約者以外の女性の胸を手に抱きつかれて喜んでいるとユリアが聞いたらどう思うか」
妹のユリアーナを出してきたのよ。本当に信じられなかったわ。
「ユリアか、まさかどこかで見ているのか?」
周りをクラウス様が気にしだしたんだけど……何故クラウス様がここまでユリアーナを気にするの?
「クラウス様、この傘があればいくら銀髪脳筋女が水魔術で攻撃してきても大丈夫ですわ」
私がそう言ったのにユリアーナを気にして私を離そうとしてその手が胸に手が当たってくれた。
「まあ、クラウス様も大胆です事。私の胸にお触りになるなんて」
私は大声で周りに言ってやったのだ。
相合傘の中で私の胸を揉むクラウス様。これで完全に既成事実は作れたと思ったのよ。
「ギャーーーー」
しかし、次の瞬間私はクラウス様諸共雷撃されたのよ。
聖女様である私がよ! 信じられなかった。
意識朦朧とする私の前で
「天罰よ」
と高笑いする悪役令嬢のユリアーナがいたのよ。
その後ホイットニーが抗議してくれたみたいだけれど、ユリアーナの兄のアルトマイアー様がなんとユリアーナを庇って連れて行ったというのだ。
どういう気事なの?
アルトマイアー様は自分勝手で傲慢で我が儘なユリアーナを嫌っていたはずなのに!
私も二三回アルトマイアー様にこの胸を武器に突撃したんだけど、全く相手にされなかった。
と言うか近寄ることすら出来なかったわ。
私が近付こうとすると何故かあっという間にいなくなってしまうのよ。足の長さが違うからかしら?
アルトマイアー様はシャイなところもあったはずだから、大きな胸の超絶美少女の私を見るのもためらわれたのよ。きっと!
私はその後も諦めずにクラウス様に近づこうとしたのよ。
「クラウス様!」
「アグネス嬢、何かご用ですか?」
でも、私の前にクラウス様の側近のモブ3人組が現れてクラウス様に抱きつくのを邪魔してくれた。
「ええええ! クラウス様の側近のモブさん達が邪魔してくれるなんてあり得ないんだけど」
私はその後ろにユリアーナを見つけたのだ。何と、クラウス様と一緒に会食しているんだけど。
いつの間に!
「ちょっとその後ろにいる悪役令嬢、ユリアーナ、後ろに隠れていないで出てきなさいよ」
「この、お肉、食堂にしては美味しいわ」
なのに、このユリアーナは夢中で食べ物を漁っていた。さすが悪役令嬢だわ。食い意地がとても張っているのね!
「ちょっと、ユリアーナ。あなた耳がないの?」
「本当に煩い男爵令嬢ね。何故、公爵令嬢の私が男爵令嬢風情の言うことを聞かないといけないの?」
出たーーーー!
やっとユリアーナが悪役令嬢になってくれたわ。こうで無くては!
でも、殿下には近寄れない。こうなれば、
「ボニファーツ様。悪役令嬢のユリアーナに虐められました」
私はクラスメートで一番身分の高いボニファーツがこちらを見ているのを見て抱きついてやったのだ。
「まあ、所詮ユリアーナはホフマン家の者だからな。人の心はないのだよ。アグネス嬢」
ボニファーツはあっという間に私の味方になってくれた。
そして、何故か剣術競技でユリアーナをボコボコにしてくれる事になったのだ。
ユリアーナは馬鹿なんだろうか?
剣術競技なんて女が出ても勝てる訳無いじゃない!
私はそう思ったのよ。
でも、私は知らなかった。ユリアーナが六歳の時にフリッツを剣でボコボコにしていたことを。
大会当日、まず我がクラスの強そうなエンゲルベルトがユリアーナと当たった。
私はエンゲルベルトに生意気なユリアーナをボコボコにして欲しいと頼んだのよ。
「お任せ下さい。聖女様。俺の剣に代えてもユリアーナをボコボコにしてやりますよ」
エンゲルベルトは頼もしくもそう宣言してくれたの。
その結果、私諸共テントの下敷きにされたのだ。
どうなっているのよ!
ユリアーナに勝てるって言ったじゃない!
逆にボコボコにされてどうするのよ!
それも私を巻き込むな!
ユリアーナの次の相手は実の兄で何と脅して負けさせていた。さすが悪役令嬢だと私は感心したのよ。私ももっと見習わないと。
そして、本命のボニファーツ様の出番だ。何しろ彼は武のキンメル侯爵家の嫡男なのだ。絶対に女のユリアーナなんかに負けないと思っていたわ。
「ギャーーーー」
しかし、あろうことかボニファーツはユリアーナに吹っ飛ばされたのだ。
そして、更にあり得ないことに担任でイケメンのフリッツを巻き込んで一直線に私目がけて飛んで来たのよ。エンゲルベルトにしてもボニファーツにしても私に恨みでもあるの?
2人のせいで私はまたしても気を失ってしまった!
そして、ユリアーナは信じられないことにクラウス様をも弾き飛ばして決勝まで進んでしまったわ。
どうナっているのよ!
ゲームではユリアーナが剣術が得意なんて設定は無かったわ。
でも、最後は無敵のアルトマイアー様よ。私の分までやっつけてやって!
私は力の限り応援したのよ。
ユリアーナの腕を折ってくれたアルトマイアー様に私は拍手喝采したわ。
ざまーみろよ!
思い知ったか!
今までの恨み辛み晴らしてやるわ。
絶対に看護室に来ても治してなんかやらない!
私が心に決めていたのに、何と私の憧れのアルトマイアー様があろうことかユリアーナをお姫様抱っこしてこちらに突進してきたのよ!
私は何が起こったのかよく判らなかった。
「ぐずぐす言わんとさっさとやれ!」
嫌がる私になんとアルトマイアー様は私の胸ぐらを掴むと大声で叫んでくれたのだ。
私は恐怖のあまり失禁しそうになった。
仕方なしに、癒やし魔術をかけさせられたのよ。
何故、何故、ヒロインの私がこんな目に合わないといけないよ。
絶対に許せない!
私はどんなことがあっても悪役令嬢のユリアーナを断罪して処刑してやると心に決めたわ。
ここまで読んで頂いてありがとうございます。
どうなるユリアーナ。
聖女達の次の手は?
搦め手から攻めてきます。
続きは今夜です。
お楽しみに!
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