表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
40/230

魔物学者視点 史上最強の古代竜にたてついた聖女は古代竜に咆哮されて失禁してしまいました

今日2話目です。

 私はフラーケン、我がハンブルク王国出身の生物学者だ。

 我がハンブルク王国は巨大なブレーメン帝国にある20ある属国の一つだ。

 人口は1000万人を超えるので属国の中では一番大きい部類に入る。

 帝国本国自体が人口3千万しかないので、大きいと言えば大きい。帝国はこの大陸の大半を支配しており、総人口は属国も含めて1億強いた。


 私はこのハンブルクの学園を首席で卒業して、帝国本国にある大学という所で、生物学を専攻した。

 私の専門は魔物で、特に竜を研究していた。ただ、竜はダンジョンや大陸でも高原にしかいずに、中々本物に出会える機会は無かった。それでも、書物や実物を見に方々を旅したのだ。そして、多くの竜種のいる魔の森で5年間、研究もした。母校の大学でも教鞭をとりもした。


 そんな私が、母の様態の悪化で母国の生物学の教授になってもどってきたのは50を過ぎてからだった。

 母は喜んでくれたが、ハンブルクには竜の住む場所はあまりなく、私は少し気を落としていた。


 そんな私に、私のゼミに入ってきたフランツ・ホフマンが竜の子供がペットとして公爵家にいると教えてくれたのだ。

 私は最初は信じられなかった。


 そもそも竜種は警戒心が強くて中々人間に慣れるということはしないのだ。

 ペットにするなんてとんでもない。若い生徒が周りに誇示するための眉唾物だと思った。


 しかし、ホフマン公爵家に出入りしていた教師達も見たことがあると教えてくれたのだ。

 私は慌ててフランツに連れてきて欲しいと頼んだのだ。見れるならば実物を見たい。


 でも、中々フランツは連れてきてくれなかった。

 何でも、一番下のユリアーナのペットなのだそうだ。

 一番上の剣士として有名なアルトマイアーのペットならまだ知らず、女のそれも一番下の妹のペットで竜を飼っているなど信じられなかった。


 ところがその妹が剣術競技で第2位になったのだ。それほど強いならば竜を従えているのもおかしくないかもしれない。

 私は思い直してそのユリアーナに連れてきてくれるように頼んだ。



「ピーちゃん。フラーケン先生に挨拶して」

「ピッ」

 ユリアーナは子竜を抱いて連れてきてくれたのだ。


「えっ」

 授業の前に連れてきた竜を見て私は目が点になった。

 恐ろしい竜ではなくて、見た目は本当に可愛いペットだった。

 私は間違えたと思ってしまった。


 しかし、鋭い手足の爪は確かに竜、それも最強の古代竜の物だ。

 色も金色だった。金の古代竜は竜の中でも頂点に立つ竜だった。

 そんな地上最強の竜がユリアーナの言うことを聞いて、犬のようにお手をしたり、お座りをしたりするのだ。私は呆然とするしか無かった。

 子供の時から飼っているから、私に慣れてしまったのかもしれないとユリアーナはいうが、いやいやいやいや、竜は特に古代竜は絶対に人に慣れないのだ。

 それが世界の常識だった。

 それを易々と手なずけているユリアーナの方が私には化け物に見えた。

 まあ、見た目は本当に可愛い十二歳の女の子なのだが……

 私はユリアーナに抱いてもらって傍で見させてもらった。

 女の子達は抱かせてもらったと言っていたが、私からしたら子竜といえども人間など一瞬でぼろ布のように切り裂けるのだ。そんな危険なことは出来なかった。


 しかし、本当にその子竜は大人しかった。


 でも、金色の羽毛は室内灯の光の中でも燦然と輝いていたし、そのつばさもとても美しかった。

 その牙はこんな小さくても人間の喉笛など一瞬でかみ砕いてしまうだろうと思えるほど鋭かった。


「なんか竜がペットになるなど信じられませんな」

 何故か、聴講生として教会のホイットニー大司教代理がいた。

「本当に私も信じられません」

 私はそのホイットニーの言葉に頷いた。


「先生。ユリアーナさんは、何か別の魔物を改造して古代竜と言い張っているんじゃ無いですか」

 聖女がいきなり叫び出した。

 その言葉に古代竜がむっとして睨み付けていた。

 これは良くないだろう。こんな子竜でも人を殺そうと思えば簡単にできるはずだ。


「アグネスさん。信じられないかも知れませんが、ユリアーナさんが抱いておられるのは古代竜で間違いありません。昔遠くから私が見たことがありますが、そっくり同じです」

「でも、こんなに大人しいなんておかしくないですか?」

なおも聖女は反論してきた。

「それは私もそう思いますが、ユリアーナさんの薫陶が行き渡っているのでしょう」

 私は話題を変えようとした。

「でも、絶対におかしいです。ユリアーナさんが薬付けにして静かにさせているんじゃ無いですか」

「ちょっとアグネスさん。何を根拠にそんなことを言うの」

「ピーーーー」

 ユリアーナが少し怒って、それに便乗して古代竜も唸ってくれた。


「先生、私、ユリアーナさんから邪悪な物を感じます。ユリアーナさんは絶対に闇魔術を使って竜を大人しくさせているんです」

 なおも聖女が言い立てるのだが、

「何と、聖女様それは誠でございますか。闇魔術を使うとは言語道断ですな」

 ホイットニーがそれに便乗してはやし立ててくれた。

 こいつらは馬鹿なのか。こんなところで古代竜が暴れてくれたら学園が壊滅するぞ。

 私が危惧した時だ。

「何言っているのよ。私は何もしていないわ」

 ユリアーナが反論しても聖女は聞かなかった。


「元に戻れ!」

 聖女が自らの聖魔術を子竜にかけようとした。

 信じられなかった。古代竜に魔術をかけるなど完全に敵対行為だ。

 横のホイットニーは何故止めない!

 私が慌てた時だ。



「ガォーーーー」

 目の前に一瞬巨大竜が現れたのだ。


「ギャーーーー」

 聖女の声が講堂に中に響き渡ったのだ。


「ピーちゃん。静かにしなさい」

 ユリアーナの声がして、ポカリと音がした。


「ピー」

 後にはユリアーナの腕の中で頭を涙目で押さえて鳴いている古代竜と、恐怖のあまり失禁でもしたのか、水たまりの中に呆然としているへたり込んでいる聖女がいたのだった。


 皆唖然としていたが、ユリアーナだけは平然としていた。

 私はどちらが強いかその瞬間悟ったのだった。


ここまで読んで頂いてありがとうございました

続きは明朝です。

お楽しみに

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

新作

『モブですらない小さい聖女に転生したので、小説の世界を堪能しようとしたら、何故かヒロインになっていました』https://ncode.syosetu.com/n4848kz/


私の今一番熱い人気の作品はこちら

『【電子書籍化】王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど……』https://ncode.syosetu.com/n9991iq/


表紙画像
1巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど 卒業パーティーは恐竜皇子と恐れられるお義兄様と一緒に』
上の表紙絵はおだやか先生が可愛いエリーゼを守る格好良いお義兄様を描いて頂きました。
このなろうで書いたのに【お義兄様との洞窟探検】2万字の描き下ろしが追加されています。
小さいヒロインのエリーゼはダンジョンに潜りたいとお義兄様に無理やり連れて行ってもらって、巻き起こす大騒動。
後で知ったお義父様(皇帝)が怒るもエリーゼの前に撃沈、更に行ったダンジョンにはなんとあの…………、とても面白いお話になっています。

■【3千字のSS商人の娘の独り言シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/


■【アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/dp/B0DD3SHSJV/


■【楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/86f757d2dd7d3674900eac6783288ad5/

表紙画像

表紙絵はおだやか先生が美しい、お義兄様とエリーゼのキスシーンを描いて頂きました。
2巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… 帝国に帰還しての宮廷夜会、お義兄様にキスされてしまいました』
こちらの新規書き下ろしはセッシーとの出会いです。皇帝一家でセシール湖にお出かけしたエリーゼはお義兄様たちと湖の地下宮殿に冒険に出かけます。
反逆の陰謀と共にそこにいたのは巨大な水竜で…… とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■【3千字のSSドレス工房の主の独り言シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/2/


■【アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/dp/B0DGQ7J6VH/


■【楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/178537d615973d18a4cb8adc53c66c16/

3巻表紙画像

表紙絵はおだやか先生がエリーゼをお義兄様が抱きあげる美しいシーンを描いて頂きました。
3巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… そのお義兄様から「エリーゼ、どうか結婚してください」と求婚されました。』
こちらの新規書き下ろしは学園に出る幽霊竜退治です。学園時代のお義兄様の幽霊騒動にエリーゼが一緒に冒険します
とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■【3千字のSS連れ子様の護衛騎士・シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/3/


■【アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/-ebook/dp/B0DK55BWGS/


■【楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/e9901759f61337b88109b29ff7a5ffb0/

ぜひとも手にとって見ていただければ嬉しいです。

アルファポリスのレジーナブックスにて

【書籍化】

しました!
2023年6月28日全国1200以上の書店にて発売しました。表紙画像は11ちゃんさんです。
表紙画像
表紙絵をクリックしたらレジーナブックスの説明ページに飛びます。


■アマゾンへのリンク

■楽天ブックスへのリンク

■hontoへのリンク


手に取って読んで頂けたら嬉しいです。

なろうの掲載ページ『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! ~学園生活を満喫するのに忙しいです~』https://ncode.syosetu.com/n3651hp/

第一部は書籍化の規約上3分の1残して後は他者視点で繋いでいます
「えっ、ゲームの世界の悪役令嬢に生まれ変わった?」
頭をぶつけた拍子に前世の記憶が戻ってきたフラン、
でも、ケームの中身をほとんど覚えていない!
公爵令嬢で第一王子の婚約者であるフランはゲームの中で聖女を虐めて、サマーパーティーで王子から婚約破棄されるらしい。
しかし、フランはそもそも前世は病弱で、学校にはほとんど通えていなかったので、女たらしの王子の事は諦めて青春を思いっきりエンジョイすることにしたのだった。
しかし、その途端に態度を180度変えて迫ってくる第一王子をうざいと思うフラン。
王子にまとわりつく聖女、
更にもともとアプローチしているが全く無視されている第二王子とシスコンの弟が絡んできて・・・・。
ハッピーエンド目指して書いていくので読んで頂けると幸いです。


私の

3番人気の作品はこちら

『モブですら無いと落胆したら悪役令嬢だった~前世コミュ障引きこもりだった私は今世は素敵な恋がしたい~』https://ncode.syosetu.com/n8311hq/

私の

4番人気で100万文字の大作の作品はこちら

『皇太子に婚約破棄されましたーでもただでは済ませません!』https://ncode.syosetu.com/n8911gf/



最新の短編作品はこちら

『婚約破棄されやけ酒飲んでると軽い男が声かけてきたので張り倒したら、何故か執着されました』https://ncode.syosetu.com/n2191kg/

このお話の前の話

『悪役令嬢に転生させられた地味令嬢ですが、ヒロインの方が強くて虐められているんですけど……』https://ncode.syosetu.com/n7240kb/

新作

『恋に破れた転生王女はツアコンを目指します』https://ncode.syosetu.com/n7707kp/


この前の作品はこちら

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ