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王宮のお茶会に呼ばれました

 それから私は毎日午前中はお兄様の死の特訓。週3日間はマイヤー先生の礼儀作法で1時間、私だけ補講がプラス2時間。マイヤー先生の授業のある日は本当に死んでいた。それ以外にも他の勉強もちょくちょく入ってきてて、貴族の子供の生活がどれだけ大変か身にしみたのだ。



 そんな中、私ももうじき6歳を迎えようとしていた。

 そんな私達にお父様が王宮のお茶会の招待状を持って来た。


「王太子殿下の婚約者と側近捜しのお茶会だ。高位貴族の中で、5歳以上10歳以下の令息と令嬢が参加するそうだ」

お父様が食事時に話してくれた。


「ええええ、あんまり出たくない。王宮のお茶会って大変そうだし……」

 私はぼそりと呟いた。王宮のお茶会なんてとても疲れそうだ。それに高位貴族のマウントの取り合いや、嫌がらせもありそうだ。前世病弱で学校なんかほとんど通えなかった私が、貴族の令嬢達の中でちゃんとやっていける自信がない。礼儀作法とかも煩そう。それに王宮礼儀作法指南のマイヤー先生も絶対にいるだろう。マイヤー先生にしごかれているからある程度は出来るようにはなったけれど、何故お休みの時まで礼儀作法に注意しなければいけないんだろう?


「本当だよな。皆でサボってダンジョンでも潜るか」

お兄様が提案してくれた。

「あっ、それ良い」

私は即座に頷いたのだ。

「馬鹿もん! 公爵家の人間が出ずにどうする」

お父様が怒り出したんだけど……


「絶対に王宮には来るように」

「「ええええ!」」

私とお兄様の声が重なって

「判ったな」

「……はい」

 お父様の命令にお兄様と私は不満たらたらだった。



「何かいい手はないかな?」

その後、話があるとお父様とお姉様が別室にいなくなった食堂で、お兄様はまだブツブツ言っていた。


「そうだ。王宮の騎士団の訓練所に行こう。それなら王宮に絶対来いという父上の命令には反していない」

 お兄様は良いことを思いついたという顔で発案してくれた。

「いや、でも、それはまずくないですか?」

 何でもそつなくこなすエックお兄様が顔をしかめたけれど、

「王太子の側近を探すんだ。やはり強さも大切だろう」

お兄様が当然のように言うんだけど、

「でも、騎士団の訓練所にはお父様もいるのに行くの?」

 私が驚いてお兄様を見ると、

「当たり前だ。父上と戦って勝てたら王宮のお茶会を免除してもらうのが良いだろう」

「そんなの絶対無理だよ」

 フランツお兄様が反論したが、

「そんなのやってみないと判らないだろう」

 ポジティブなお兄様は全然動じていなかった。


 私も王太子なんかの婚約者になんかなりたくないし、出来たら騎士団の訓練に混ぜてもらおう。

 王太子の婚約者を狙っているお姉様だけがお茶会に行けばいいや。

 私はそう思ってしまったのだ。


 普通に侍女達におめかしされた私はドレスの下にダンジョンに潜る時に着る迷彩服を着ていたのだ。

 最近のお兄様のお気に入りで、私達4人はこれを着て良くダンジョンに潜ったりしていた。


 そして、馬車が動き出して監視役のセバスチャンがいなくなると、お姉様以外はごそごそと服を脱ぎだしたのだ。

「ちょっと、お兄様達、何しているのよ」

 何も聞いていなかったお姉様が慌てだした。


「王太子の婚約者を目指すリーゼはお茶会頑張れば良いだろう。俺達は騎士団の訓練場に行く」

「ちょっとお兄様。お茶会にはお兄様狙いの令嬢達もたくさん来ると思うわよ」

「今日は王太子殿下の婚約者探しだろう。王太子より俺が人気だったらしゃれにもならないからな」

 お兄様が平然と笑ってくれた。まあ、確かにお兄様は見目も良いし、強いし、令嬢達に人気がありそうだ。主役の座を奪う可能性はあった。


「ちょっと、そんなのお父様が許す訳ないでしょう!」

「だから騎士団の訓練場に行くんだ。父上もそこにいるだろう」

 お兄様が平然と言ってくれるんだけど、

「いやでも、というか、ユリア、あなたまで何しているのよ!」

 お姉様がドレスを脱いで迷彩服になった私を見て驚いた。

「だって、私も王太子殿下の婚約者なんかになりたくないし、お茶会なんて肩こるところ嫌だし」

 私はそう言い訳した。

「ちょっとさすがに4人も居なくなるなんて私の立場がないわよ。ユリア、お願い。一緒に来てよ」

「嫌だ」

お姉様の頼みに私は即答した。


「そうだ、王宮のお茶会は食べたこともないお菓子が出るわよ」

「えっ、お菓子?」

 一瞬私は期待に胸が膨らんだ。


 いや待った。この前もお姉様の口車にのって悲惨な目に合ったところだ。

「やっぱり駄目よ」 

 私が首を振ると、

「じゃあ、明日のデザート全部あなたにあげるから」

「一日じゃいやだ。一週間分くれないと」

 私が条件を出すと、

「判ったわ。その代わり絶対に最後までいるのよ。約束ね」

 私はあっさりとお姉様に頷かれて、2週間分にすれば良かったと後悔したのだ。


「相変わらず、食べ物に釣られるんだな」

フランツお兄様に馬鹿にされたんだけど……


 王宮に着くと他の貴族の子供達がおしゃれして馬車から降りてくる中、迷彩色のお兄様達はあっという間に訓練場目指して駆けていった。


 私は仕方なしに、お姉様について行くことにしたのだ。

「ちょっと、ユリア、あなた本当にそんな格好で行くつもりなの?」

 お姉様が呆れて言うけれど、

「だってドレスは脱いでしまったし、お姉様の護衛騎士のつもりで行くから大丈夫よ」

 私は何も考えずに平然と言い切ったのだ。


王太子の婚約者選定のお茶会で迷彩色の戦闘服を着ていく令嬢なんている訳なかったし、めちゃくちゃ目立つ事なんて私は考えてもいなかったのだ。


ここまで読んで頂いてありがとうございます。

次はお茶会です。

王家主催の王太子の婚約者選定のお茶会なのに戦闘服で現場に臨んだユリアの運命や如何に?

続きはお昼です。今日も3話更新します。


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私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

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