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子竜を授業に使いたいと言われたから連れてきたら、礼儀作法の先生の怒りをかって廊下に立たされました

今日2話目の更新です。

 お兄様のせいで腕を折ってしまった私にしばらくお兄様はつきっきりになってくれた。


 でも、ピンク頭なんか、

「あんたがいつまでも金魚の糞みたいにアルトマイアー様につきまとうからアルトマイアー様の婚約者が決まらないんだと思うわ」

 とか私に面と向かって文句を言ってくれた。


「マリア、どう思う。なんか酷くない?」

 私がマリアに愚痴を言ったら、

「というか、アルトマイアー様は今の状態を喜んでいるみたいだから良いんじゃ無い?」

 訳のわからない事を言ってくれたし……

 私には意味がわからなかった。


 私は剣術競技に出てから、ホフマン家の一番下のちびちゃんから、怪物アルトマイアーにも恐れずに戦った勇敢な剣士ユリアーナになって、一躍時の人になっていた。

「ユリアーナ様!」

「ユリアーナちゃん!」

 学園に着くと男達から熱烈に歓迎されることになったんだけど……


 そんな中、私を抱き上げてお兄様が馬車から降りてくれた。

「あっ、あれはアルトマイアー!」

「な、何故、悪役アルトマイアーがユリアーナ様と一緒にいるなんだ!」

 何故ってお兄様だからなんだけど……

 お兄様は朝から大ブーイングを受けていた。


「まあ、周りを威圧するのにアルトマイアー様ほどの適任はいないから良いんじゃ無い」

 とか適当にマリアは言ってくれたけれど……


 お兄様にお姫様抱っこされる状態で行きは教室まで連れて行ってもらった。

 さすがに途中で下ろしてもらったけれど。

 お兄様が

「邪魔だ! 退け!」

 と叫んだら、さすがの大勢の男達も退かざるを得なかった。


 帰りもお兄様が迎えに来るとか言ってとても大げさになっていた。


「「「ユリアーナ様」」」

 教室に入るや否や、私は今度はクラスメート達に囲まれてしまった。

 皆との距離も急激に近くなったと思う。


「ユリアーナ様。昨日は凄かったです」

 そんな中慌てて私の前にやってきたダミアンは通常運転だった。


 結局我がクラスは私が剣術大会で2位に入ったので、全18クラス中12位と善戦していた。1年生では当然トップだった。

 クラス委員長としては大役を果たしたと行ってもいいだろう。


 そして、四時間目の魔物学の時間だった。

 これは魔物の生態を知り、いざという時の役に立てようという授業だが、魔物学の先生のフラーケン先生は我が国と言うよりも宗主国も含めたこの大帝国の中でも指折りの魔物の専門家だった。

 3年生の中学年から始まる先生のゼミは有名で、そのために各国から留学生が来るほどだった。


「ユリアーナ君。明日の総合授業の時間は私の担当なのだが、出来たら君の家で飼っている子竜を連れてきてくれないかね」

 授業の終わり際に先生に依頼されたのだ。

「えっ、ピーちゃんをですか?」

 私は驚いて先生を見た。子竜なんて学園に連れてきて良いのだろうか?

「ピーちゃんって、竜の子供をそんな風に呼んでいるのか?」

 先生はとても驚いていた。

「君の家のフランツ君からかねがね聞いていてね。前から見せて欲しいと頼んでいるのだが、中々フランツ君がうんと言ってくれなくてね。よく聞くとその子竜はユリアーナ君のペットだって言うじゃないか。一度でいいから是非とも皆に見せておきたいんだが」

 先生は絶対に自分が見たいだけだと思うけれど。

 明日の総合の時間は六時間目だ。一二年生の合同授業で講堂でやるはずだった。

 まあ、ピーちゃんは静かにしているようにと言えばやってくれると思うけれど、学園に連れてきて良いんだろうか?


「担任のブレンダー先生に聞いたら君が良いというなら、構わないとのことだった」

「でも、マイヤー先生がうんと言いますか?」

 私はそこが疑問だった。

「そこはなんとか私から了解は取るから。頼むよ」

 フラーケン先生が頼んできた。

 まあ、明日は礼儀作法の授業は無いはずだし、他の先生が良いと言ってくれたから問題はないけれど……

 私は一抹の不安があったけれど、フラーケン先生の熱意に負けてしまったのだ。

 それが間違いだった。




 翌朝、私はピーちゃんを抱っこして馬車に乗ったのだ。

「ピッピッ」

 ピーちゃんは私とお出かけでご機嫌だった。


「しかし、ピー助が授業中静かにしていられるのか? 何だったら俺が見ていてやろうか」

 お兄様が心配して聞いてくれた。


「ピッ」

 ピーちゃんはむっとしてお兄様を睨み付けた。

「なんだ、やるのか?」

 お兄様の機嫌が悪くなった。

「ピーーーー」

 ピーちゃんもお兄様をつつこうとし出した。

「やるか?」


「ちょっと私を間にして喧嘩するの止めてよね」

 お兄様の膝の上の私が文句を言うと、

「ピー」

 ピーちゃんが私の胸の中に顔を埋めてくれた。

「お前、ユリアの胸の中に顔埋めやがって」

「ピッ」

 ピーちゃんは自慢そうにお兄様を見てくれるんだけど。

「ちょっと2人とも本当に止めてよね」

 本気でやり出したらガメラ対ギャオスの戦いになってしまうではないか。


 馬車が学園に着いた時、さすがの私もほっとしたのだ。



「キャーーーー、何ですか? ユリアーナ様。その可愛らしい生き物は」

 あまり話したことの無いビアンカ・ヒース伯爵令嬢が飛んで来たのだ。

「えっ、これがピーちゃんよ」

「嘘! 竜の子供だって言うからもっと恐ろしい物だと思ってましたわ。何ですの、その可憐な生き物は」

 ビアンカはピーちゃんを絶賛してくれた。


「そうでしょう。ピーちゃんはとても可愛いのよ」

 私は自慢して抱きしめた。毛並みも良くて犬みたいにもふもふなのだ。

「何なら抱いてみる?」

 私がピーちゃんを差し出すと

「良いんですの?」

 ビアンカはピーちゃんを恐る恐る抱きしめた。


「ピー!」

 ピーちゃんがビアンカの胸の中に収まった。

 ピーちゃんは私と違って大きなビアンカの胸の中でご満悦みたいだった。

「可愛い!」

 ビアンカはピーちゃんを抱きしめてくれた。



「貴方たち、何をしているのですか?」

 でも、そこにマイヤー先生の氷のような声が響いたのだ。

 えっ、今日はマイヤー先生の授業は無かったはずでは?

 私は青くなった。何でも一限目の先生が病欠になって明日のマイヤー先生の授業と交換になったらしい。最悪だ。


 ビアンカは慌ててピーちゃんを私に渡してきた。

「ちょっと、ユリアーナさん。あなた、ペットなど学園に連れてきて、どういう事ですか?」

「えっ、フラーケン先生がマイヤー先生の了解を取るから連れてくるようにって言われたんですけれど」

私が反論すると、

「はい? 先生からは恐ろしい子竜を連れてくるからと言われていましたけれど、それが子竜なんですか?」

「そうです。ピーちゃんです」

私が自慢して言うと

「しかし、ユリアーナさん。学園に連れてくる時は何故ゲージに入れないんですか?」

「えっ、そんな、ゲージに入れるなんて残酷なことは出来ません」

 私が言い張ったのだ。


「危険な竜をゲージにも入れないで放し飼いで持ってくるなんて許される訳無いでしょ」

「ええええ! そんなこと何も言われていませんよ」

私は精一杯反抗したのだ。それが間違いだった。


「判りました。言うことを聞かないというのならば、ユリアーナさんは竜と一緒に廊下に立っていなさい」

 私はマイヤー先生に命じられたのだ。

「そんな!」

 私は抗議しようとしたが、私がマイヤー先生に勝てる訳無かったのだ。

 フラーケン先生のせいで私は1時間廊下に立たされることになったのだった。


ここまで読んで頂いてありがとうございます。

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私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

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