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競技大会一試合目は圧勝して聖女をテントの下敷きにしてやりました

「皆さん、くれぐれも今日一日怪我の無いように頑張って下さい!」

 学園長の言葉は要約するとそういう事だった。

 相も変わらず長かったけれど、毎年、この競技大会はけが人続出で大変なことになるんだとか。貴族の御曹司を預かっている学園長としては気が気でないと思う。


 特に剣術競技と魔術競技が大変なんだそうだ。


「まあ、今回は問題児のユリアとアルトが剣術競技にいるからな。癒やし系の先生も聖女も剣術競技に待機させたし、俺も剣術で待機しているから、問題はないだろう」

 ブレンダー先生はそう言ってくれるんだけど、なんか納得できない!


「と言うか先生は魔術競技を見なくて良いんですか?」

 私は聞いてみた。

「しかし、魔術の出来る2トップが剣術競技にいるのだ。そちらを見るしか無かろう。俺としては魔術競技に出て欲しかったのだが……」

 ブレンダー先生が白い目で私を見てくれた。

「ええええ! そうなんですか? そんな凄い人達が学園にもいるんですね。誰なんですか? 私是非とも対戦してみたいです」

 私が言うと、

「何を言っているんだ! お前とその兄貴だ!」

「えっ、私? 新入生の私がツートップの1人だなんてこの学園も大したことないんですね」

 ブレンダー先生に言われて私はがっかりした。


「ちょっと待った。ブレンダー先生、今ユリアーナがツートップの1人だと言われましたか?」

 B組の担任のフリッツ先生が横から出てきた。

「いや、これはあくまでも魔術の話で」

「剣術の担当はこの私です。魔術の担当のあなたが勝手に決めないでいただきましょうか」

「聞いていないし」

 私達は顔を見合わせた。


「我がクラスは武のキンメル侯爵家の跡取りのボニファーツがいるのです。平民出身の養女風情に負ける訳はないのですよ。なあ、ボニファーツ君」

「お任せ下さい。A組の奴らなど、俺達で一瞬で沈めてやりますよ」

 周りの面お面を見てボニファーツが宣言してくれた。

「女だてらに格好つけて剣術に出るなんてさすがに悪役令嬢ユリアーナね。でも、公爵家の権力はここでは使えないのよ。地べたに這いつくばるところが早く見たいわ」

 横でピンク頭も喜々として叫んでくれたんだけど。

 1年B組の面々は結構面構えも精悍で親が騎士の面々も多いみたいだ。


「何を言うか。貴様等なんかにユリアーナ様は負けないぞ」

 横からダミアンが叫びだした。私も負ける気はしない。


「他人のことよりもダミアン、まず貴方たちが勝ちなさいよ」

 私は剣術競技に出るA組の面々に発破をかけたのだった。


「お任せ下さい」

「絶対にB組の面々なら俺達が倒してやるぜ」

 ダミアンやボンズは威勢が良かった。

「ふん、返り討ちにしてやるぜ」

「特に、女だてらに剣術競技に出てきたユリアーナ様。女だからって手加減はしませんから」

 B組で最近ピンク頭の腰巾着をしているエンゲルベルトだった。背は13の年にしては170くらいあった。確か、父は王都騎士団に入っていたはずだ。

 こいつが私の最初の対戦相手だった。



 そして、競技が始まったのだ。

 私はすぐに出番が回ってきた。


「これはこれはユリアーナ様。先程も言いましたが、公爵令嬢とはいえ、手加減はしませんよ」

 エンゲルベルトが言ってくれた。でも、こいつ、自分のクラスの担任を私が倒したことも知らないんだろうか?

 私は数々の実績があるんだけど……

 まあ、いいや。やれば判るだろう。

 私は剣を構えた。



「ほう、形だけはしっかりしていますな」

 エンゲルベルトは感心してくれた。


「ユリアーナ様!」

「頑張って下さい!」

 クラスの騎士志望の面々達が応援してくれた。


「ふんっ、ギャラリーを連れて良いご身分ですな」

忌々しそうにエンゲルベルトが言い出したが、

「エンゲルベルト、悪役令嬢ユリアーナを成敗して!」

 ピンク頭の黄色い声が救護所から聞こえた。

 余計な事を言わないでお前はちゃんと仕事をしていろよ! 私はそう叫びたかった。


「お任せ下さい。聖女アグネス様」

 エンゲルベルトはそう言うと剣を構えたのだ。


「私のこの剣を聖女アグネス様に捧げます」

 いきなりエンゲルベルトが格好をつけてくれた。


 他人のことが言えるのか?


「いくぞ、悪役令嬢ユリアーナ!」

 そう叫ぶとエンゲルベルトは大上段で私に斬りかかってきた。

 でも、そんな隙だらけの斬り方で私に勝てる訳いなでしょ!

 私はエンゲルベルトの横に飛んでエンゲルベルトの剣を躱すと、横から斬り上げたのだ。


 ダンッ

「ギャッ」

 大きな音ともにエンゲルベルトが飛んで行った。

 それも応援していた聖女のテントに向かって一直線に!


 ドシン

「キャーーーーー」

 ピンク頭が悲鳴を上げてくれた。

 それと同時にテントが崩壊して、ピンク頭はテントとエンゲルベルトの下敷きになっていた。


「いきなりやるか」

 ブレンダー先生が頭を抱えていた。



「なんか、めちゃくちゃちゃちなテントね」

 私の一言に

「お前がわざと余計な事をするからだろうが!」

 ブレンダー先生の叫び声がしたが、私は無視したのだ。


 たまたま飛んでいったところにテントがあったということにしておこう!


 私はまず一勝したのだ。





ここまで読んで頂いてありがとうございます。

余計な事を言った2人に仕返しをするユリアでした。


続きは明日です。

お楽しみに!

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私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

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