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王太子とお姉様の食事セッティングしたら聖女が来てその取り巻きの侯爵令息と剣術で勝負することになりました

「どう思う? 『化け物』だなんて、絶対にフランツお兄様は酷いと思うわよね!」

 私は翌日の休憩時間にマリアに文句を言っていた。

「うーん、でも、この前、フリッツ先生を瞬時に吹っ飛ばしていたユリアを見たら、あながち嘘とは言いきれないかな」

 マリアは酷い事を言ってくれた。


「そうです。ユリアーナ様は『化け物』様なんです」

「誰が化け物なのよ!」

 横で余計なことを言ったダミアンを私は張り倒していた。


「ギャッ」

 ダシーン!

 ダミアンは壁に激突していた。


「おい、ダミアン、大丈夫か?」

 慌てて、ボンズが駆け寄ったが、

「す、素晴らしい! 素晴らしいお力です」

 そう言って、嬉々としてダミアンは気絶してくれたんだけど……



 その日の昼はもっと大変だった。

 王妃様が化粧水を欲しいと言われたので、どうしたら良いか考えたのだ。

 今回、王妃様の庇護を受けるために無償でもう少し譲渡しようかなとも思っていたんだけど、折角だからお姉様とクラウスの二人のことを考えて、毎日クラウスがお姉様とお昼を食べてくれたら、上げても良いと条件をつけたのだ。そうしたら私まで、一緒に食べさせられる羽目になってしまったんだけど……


「なんでこうなるのよ?」

 私が文句を言うと、

「それを言いたいのは私よ。子爵令嬢にすぎない私が、何が嬉しくて、王太子殿下や公爵令嬢様達と一緒に、後ろに侯爵や伯爵令息を侍らせてお昼食べないといけないのよ」

 横でマリアが小声で文句を言ってきた。

「何言ってるのよ、それもこれも全てはあなたの化粧水のためじゃない!」

「それはそうだけど、さすがに子爵令嬢に過ぎない私は胃が痛いわよ」

「何言っているのやら。私もあなたも転生者だから同じじゃない。何も問題ないわよ」

 私は言いきったのだ。

「それは違うと思うわ」

「それよりも昨日は帰りがけにランドルフに何を言われていたのよ?」

マリアの言葉は無視して、こそこそランドルフが言っていた言葉が気になったのだ。


「マリアンネ嬢も大変だな。ホフマン公爵家の一番の問題児の相手をさせられて、ってとても同情していただけたわ」

「何言っているのよ! 我が家の一番の問題児は絶対にお兄……!」

 私が思わず大きな声で叫ぼうとしたら、マリアに口を押さえられた。

「頼むから、ここで叫ばないで!」

「マリアンネ嬢もこいつのお守りは大変だな」

 後ろから今回の原因のランドルフが更に余計なことを言ってくれた。

「何言ってるのよ!……」

私が反論しようとした時だ。


「クラウス様!」

甲高い声が食堂に響いた。

そして、ピンクの頭がこちらに駆けて来るのが見えた。

私が後ろの3人に顎で合図をすると


「凄い、殿下の側近を顎で使っている」

驚くマリアを無視して、再度合図をする。


さっと、ピンク頭の前に3人が並んでくれた。

「アグネス嬢、何かご用ですか?」

ランドルフが両手で通せんぼうをしつつ聞いてくれた。


「ええええ! クラウス様の側近のモブさん達が邪魔してくれるなんてあり得ないんだけど」

ピンク頭は驚いたみたいだった。

「ちょっとその後ろにいる悪役令嬢、ユリアーナ、後ろに隠れていないで出てきなさいよ」

ピンク頭が叫んでくれた。


私は全く無視してやったのだ。


「この、お肉、食堂にしては美味しいわ」

私はお肉に舌鼓をうったのだ。

「ちょっと、ユリアーナ。あなた耳がないの?」

「本当に煩い男爵令嬢ね。何故、公爵令嬢の私が男爵令嬢風情の言うことを聞かないといけないの?」

そう言ってやったのだ。

「凄い、ユリア、それって悪役令嬢ユリアーナの台詞そのままよ」

「えっ、それってまずいんじゃないの?」

マリアの言葉に私はやばいと思った。


「ボニファーツ様。悪役令嬢のユリアーナに虐められました」

アグネスが隣の侯爵令息に抱きついているのが見えた。

こいつ男なら誰でも良いんだろうか?

私は呆れた。


「まあ、所詮ホフマン家の者だからな。人の心はないのだよ。アグネス嬢」

ボニファーツが決めつけてくれるんだけど。


「まあ、これはボニファーツのお坊ちゃま。こんなところにいるよりも、剣術の稽古をした方が良いんじゃないの? この前騎士団の訓練所でお兄様にコテンパンにされてたんじゃ、なかったっけ?」

私が馬鹿にしてやった。


「何だと、小癪な。リーゼロッテといい、ユリアーナといい、ホフマン家の女どもは口だけが達者だな。剣術勝負なら負けないのに!」

悔しそうに、ボニファーツが顔をしかめた。


「えっ、別に剣術でも問題ないわよ」

私はそう言うと立ち上ったのだ。

「何だ、ユリアーナも剣術に出るのか」

何故か嬉しそうにクラウスが立ち上ってくれたんだけど。

「えっ、別にまだ決めていないけれど」

「おおおお! 我らのユリアーナ様が剣術に出ていただけけるぞ。これで我がクラスの優勝は決まった」

近くで食べていたダミアンが大声で叫んでくれるんだけど。


「ボニファーツ様。この礼儀知らずの悪役令嬢に鉄槌を下してください。神はあなた様に祝福を与え給うでしょう」

なんかピンク頭が言ってくれるが、ピンク頭の神って悪魔か何かなんだろうか?

「そうだな。ユリアーナ、覚えていろよ。絶対に俺の前に跪かせてやるわ」

ボニファーツが何か言っている。


「まあ、せいぜい頑張るのね。私は絶対に負けないと思うけれど」

私は余裕だった。

「な、何だと、覚えていろよ。こうなったら情け容赦はせん。1分で沈めてやるわ」

ボニファーツが宣言してくれた。

「余裕で10秒で沈めてあげるわよ」

「ならば俺は一瞬で沈めてやるわ」

「好きにすれば」

私は馬鹿らしくなって席に着いたのだ。


「おのれ、ユリアーナ。絶対に目にもの見せてくれるからな」

「ボニファーツ様格好良いです」

「そうか」

ボニファーツはピンク頭に褒められて、ニヤけていた。

「良かったの? キンメル侯爵家は武の名門なんでしょ」

マリアが聞いてきたけれど。

「関係無いわ。お兄様に勝てる算段がないから出たくなかっただけだから。お兄様以外には負ける気はしないもの」

私は呟いたのだ。


「そうか、ユリアーナが出るのならば俺も剣術に出るかな」

王太子が何かニコニコしているんだけど……

その横ではお姉様が静かに座っていた。そちらの方が不気味だったんだけど……


ここまで読んで頂いてありがとうございます。次は競技大会です。お楽しみに!

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私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

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