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クラス委員長になって出た競技大会準備委員会でピンク頭のクラスに勝つと宣言しました

 翌朝、私はまたもお姉様のせいでギリギリで学園に着いたのだ。

 もう、お姉様もいい加減にして欲しい。化粧なんてしてもそんなに変わらないのに……

 そう思ったけれど、マリアの件を頼んでいるからそういう訳にもいかなかった。

 毎日クラウスと会えるとお姉様はますます気合いが入っているんだけど……


「ユリア、色々やっているが、うまくいっているのか?」

 お兄様が馬車の中で私を膝に乗せた状態で聞いてくれた。もういい加減にこの格好止めてほしいんだけど……お姉様もフランツお兄様も狭くなるのが嫌で、黙認していた。

「なんとかなると思うけれど、今日またお姉様とクラウスと会うから、その時に聞いてくるわ」

 私が答えると、

「ならば良いが、何かあればすぐに言えよ。教会なんぞ、一撃で崩壊させるのは簡単だからな」

 確かにお兄様の言う通りなんだけど、それやるとまた後が大変だから、できる限りクラウスには頑張って欲しかった。


「判った。お兄様。何かあればお願いするわ」

 そう言って、馬車が止まったのを良いことに、時間がないから馬車から飛び降りようとしたのよ。

 でも、お兄様が離してくれなくて……

 お兄様がそのまま抱き上げたまま、抱えて馬車から降りてくれたのだ。

「えっ? ちょっとお兄様」

 私は完全に固まってしまったんだけど……

 さすがに始業ギリギリで馬車たまりにはほとんど人がいないから良かったけれど……お兄様はいつまで私を子供扱いするのよ!


 馬車を降りるとさすがにお兄様は下ろしてくれたので、私は真っ赤になって慌てて一年A組の教室に駆けだしたのだ。




「遅いですよ!」

 私はいきなりマイヤー先生の叱責を受けてしまった。

 一瞬礼儀作法の授業だったかと慌てたんだけど、ブレンダー先生を見てほっとした。

 その日は一限がホームルームだったはずだ。担任のブレンダー先生だけでなくて、マイヤー先生までいたんだけど、何で?


「よし、全員揃ったな」

 ブレンダー先生の言葉に私達は頷いた。私が最後だったらしい。


「学園が始まってそろそろ一週間が経とうとしている。今日はクラス委員を決めようと思う」

 ブレンダー先生が話し出した。

 これから春の競技大会などクラス対抗でやっていく事も色々あるので、クラス委員と各種委員を選ぶんだそうだ。


「よし、ではまず、クラス委員だ。立候補はいるか?」

 先生が全員を見渡した。


 さすがにすぐに手は上がらない。

 クラス委員を進んでやるという者はいないみたいだ。私は前世も含めてそのようなものになったこともなかったので、そのような大それた事などしたいとは思わなかった。


「はい、先生」

 ダミアンが手を上げた。

 さすがダミアン。言うことだけがでかい男ではない。自ら立候補かと私はダミアンを見直した時だ。


「俺はこの学園である意味一番有名な聖女と王太子殿下に対して、いきなり水をぶっかけた勇気のあるユリアーナ様を学級委員長に推薦します」

「えっ?」

 私はまさか私の名前が出るとは思ってもいなかったのだ。


「異議なし!」

「俺もユリアーナさんが良いと思います」

 ボンズとニールも言ってくれるんだけど、いやちょっと待ってよ!

 私はやるなんて一言も言っていないわよ。

 私は断ろうとしたのだ。


「他に立候補者はいないか?」

 ブレンダー先生が皆を見回して聞いてくれた。

「えっ、あの私、立候補していないんですけど」

 私が反論したが、誰も聞いてくれなかった。


「「「異議なし」」」

 皆頷いてくれるんだけど、何故に?


 私はあれよあれよと今にクラス委員長になっていたのだ。





 そして、放課後になった。

 今日はいきなり第一回春の競技大会の準備委員会に出席させられたのだ。

 我がクラスはクラス委員長の私と副委員長のマリアが出席することになった。


 副委員長はダミアンも立候補していたが、事務仕事が苦手な私はそれが得意そうなマリアを推薦して、なんとか数票差でマリアがなってくれたのだ。


 私が会議室の中に入ると、壇上にお兄様がふんぞり返って座っていた。その横で小さく六年生の侯爵令息が座っているんだけど、絶対に逆だと思う。

 周りを見ると4年A組のクラス委員長はエックお兄様だったし、3年A組のクラス委員長はクラウスで、その横にフランツお兄様がいたし、2年A組の席にはお姉様までいた。我が兄姉オールキャストが揃っているんだけど……生徒会長のお兄様は仕方がないとして、何で全員いるかな。目立ちすぎだ。


「クラウス様。お会いしたかったです」

 いきなりピンク頭がクラウスの所に行こうとして、私の横を無視して通り過ぎようとした。

 そこに私が足を出したので、ものの見事にピンク頭は転けてくれたのだ。


「痛い!」

 ピンク頭が悲鳴を上げた。

「大丈夫ですか」

 慌ててB組のクラス委員長らしいボニファーツ・キンメル侯爵令息がピンク頭を助け起こした。

「ちょっと、あなたね。今足出したでしょ。銀髪の悪役令嬢!」

 ピンク頭は私に食ってかかったんだけど、

「何のことかしら、足が長いから勝手にあなたが引っかかったのではなくて」

 私がそう言ってやると、

「酷い。ボニファーツ様。こんな事言うんですよ」

 クラウスまでたどり着けなかったので、一番近くの男にピンク頭は抱きついていた。

「本当に酷い奴ですね」

 ボニファーツは私を睨み付けてくれるんだけど。

「何のことやら」

 私は平然と流してやった。


「ふんっ、どうせあなたの事だから、権力で委員長の座を奪い取ったのでしょうけど」

 ピンク頭が言ってくれた。

「あなたじゃあるまいし。何でそんなことをする必要があるのよ。推薦されて満場一致で私になったのよ」

 私が言い返すと、


「そんな訳ないでしょ。どれだけ脅したの? バルチュに使ったみたいに暗示でもかけたんじゃないの」

「あなたじゃあるまいに」

「何を言っているのよ。私達B組はB組で一番偉大な私と一番爵位のたかいボニファーツ様が満場一致で決まったのよ」

「また、男達に抱きついて票でも買ったんじゃないの?」

 私が言ってやると、

「何ですって。あなたと一緒にしないで」

 私達2人はにらみ合ったのだ。


「そろそろ始めます」

 六年生の副会長が宣言してくれた。


「絶対にA組になんかに負けないから」

「それはこちらの台詞よ」

「見てらっしゃい!」

 私はピンク頭とにらみ合っていたが、マリアに引っ張られて席に着いたのだ。


 絶対に競技大会ではB組に勝ってやる。私は心に決めたのだ。

ここまで読んで頂いてありがとうございます。

ついにA組対B組の争いが勃発しました。

続きは明日です。

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私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

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