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魔術実技の授業で私に暗示の魔術をかけてきた先生に反射で返したら仕草が犬になってしまいました

 日頃は私に対して煩いお姉様が、クラウスとくっつけたら真っ赤になって固まってしまったのは私には驚きだった。この二人は婚約者になってから六年くらい経つし、お姉様は毎月王宮に行って会っていたはずなのに、なんて初々しいんだろう。その点クラウスはそうなっても平然としているんだけど、男ってそんなものなの? 


 一方のピンク頭は再度クラウスに近寄ろうとしたけれど、私が睨んでいたので、クラウスと側近達が恐れて邪魔したので近寄れなくなったから、途中で怒って去っていった。私は清々した。

 最後は「覚えていなさいよ」と捨て台詞を残して去って行ったけれど、

「婚約者のいる王太子に破廉恥にも自分の胸を押しつけていた淫乱聖女として脳裏に刻み込んだから、忘れることはないわよ」

 といっておいてやった。

 その言葉にクラウスとその側近達は何故か青くなっていたけれど……


 その後でクラウスと腕を組んだお姉様はゆでダコみたいにになっていて話せるようではなかったので、仕方なしに、クラウスと放課後会う段取りをしたのよ。


 日頃は私に厳しいお姉様が真っ赤になって役に立たなくて、私は驚きだった。

 クラウスなんて良いのは王太子であるということと顔だけだと思うんだけど、どこが良いんだろう?

 私は後でマリアに聞いたら、そんな反応するのはあなただけよと完全に馬鹿にされたんだけど……

 皆、地位と顔で選ぶんだ……


 段取りだけして、マリアの横に戻ると、

「ユリアーナ様。王太子殿下を顎で使うなんて、さすが私のユリアーナ様です」

 ダミアンが更におかしくなっているし、

「さすが、ユリアだよな。王太子殿下を呼び捨てにして、命令していたし」

 ボンズがあきれていたけど、

「まあ、殿下とは腐れ縁だからね」

 私は平然と流したのだ。


「はっきり言って、私はあなたがこの国の影の実力者に見えてきたわ」

 呆れてマリアが言ってくれたけど、そんなことはないと思う。

 悪巧みならエックお兄様の方が上だし。


 そして、学園ではじめて食事にありつけて私は感激していた。


 でも、何があるか判らないと思って必死にがっついて食べていたら、

「ユリア、あなた、それで本当に公爵令嬢なの?」

 とマリアに呆れられていたし……

 ダンジョンではゆっくり食べる暇もないのよ!


 それからは少し優雅に食べるようにしたけれど……ボンズらに残念な者を見るように見られたのは何か納得がいかない。



 次の五限目は魔術実技で、何故か、男女別でB組と一緒だった。


 魔術実技の先生は私の担任のカール・ブレンダー先生で、私の元家庭教師でもあった。先生は宮廷魔導師でもあって、その実力は王国の中でも際立っていたと思う。お父様は教師は一流の人間を当ててくれていて、その点は感謝しかなかった。

 でも、マリアを助けてくれないから二度と話すつもりは無かったけれど……


 でも、A組とB組の混合で男はブレンダー先生で、女の担当は教会の聖魔導師バルチュ先生だった。

 男前のブレンダー先生に比べればバルチュ先生は真っ黒のローブに胡散臭さ満載だった。

 私が聖女だったら絶対に浄化していたと思う。


「私は教会に3人しか居ない聖魔導師の称号を持つバルチュだ。此度は聖女様がこの学園で学ばれるということで特別に他の面々も教会の最新の魔術を教えさせてもらう。その方共は感謝するのだな」

 話が最初から大上段だった。


 魔術に古も新しいもないと思うんだけど……

 私は授業の前にブレンダー先生に目配せで合図されていた。

 これは問題をくれぐれも起こさないようにと言う合図みたいだった。

 公爵家の面々の中では特に問題児のお兄様と私だけが決められた特別な合図だった。お兄様はいつも無視していたけれど、私は先生が好きだからちゃんと聞いてあげるようにしていた……もっともよく暴走して意味がなくなっていたけれど……


 一応担任のメンツもあるから、私はできる限り問題は起こさせないようにしようと思った。

 まあ、既に何枚反省文を書かされたか忘れてしまったけれど……


「この中には聖女様を尊ばない者もいると聞いているが」

 じろりと私を見てきたのだ。

 ピンク頭がニタリと笑ってくれた。


「聖女様って清廉潔白な方がそう呼ばれるんだと思っていたんですけれど、今回の聖女様は真逆ですもんね」

 私はぽつりと呟いてやった。


「なんだと小娘。貴様は聖女様のお力を信じないのか?」

 バルチュは私を睨み付けてきた。

「信じろっていっても難しいですわ。だって聖女様は日頃は婚約者のいる男を見つけては抱きついて周りから顰蹙しか買っていないんですから」

 私は平然と言い返してやったのだ。

 マリアはオロオロしていたけれど、何人かの女は頷いてくれた。

 そう、何人もの女が泣いていると聞いていたし、B組でも男を侍らして喜んでいる姿しか私は見ていないのだ。


「聖女様をそこまで貶めるとは。そういうものには天罰を与えねばいけないな」

 バルチェがニタリと笑ってくれたんだけど……

「ユリア!」

 マリアが私に注意を喚起するが、私はにこりと笑いかえした。


「犬になれ!」

 あろうことかこの男は私に魔術をかけてきたわ。

 この私に!


 当然、私はミラーで反射したのよ。


 一瞬だった。


「えっ?」

 皆私を見ていた。

 聖女がニタリと笑って私を見ていたけれど、私に何の変化もないので、不思議そうにしていた。

 バルチュは顔がにやついていたが、その顔が歪んだのだ。


 そして、次の瞬間には四つん這いになっていた。


「わんわん!」

 なんと私に向けて吠えだしたのだ。


 ええええ! この男私に暗示の魔術をかけてきたの? 犬になれっていう。

 そんなの私がかかるわけないじゃない。というか、ミラーで返されて自分の魔術にかかるってどういう事よ。


 あまりにも煩く私に吠えるので


「お手!」

 私が命じると、

「バウ!」

 と言って手を差し出してきたんだけど。


「キャーーーーー」

 その時にピンク頭が悲鳴を上げてくれたのだ。

「あの銀髪女が先生に魔術をかけて先生がおかしくなりました」


 何言い出すのよ! 私はミラーで反射しただけなんだから!


「わんわん!」

 慌てる私の前で、バルチェは四つん這いのまま、尻尾を振る勢いで私に媚びを売っていたのだ。


ここまで読んで頂いて有難うございました

続きは今夜です。

続きが気になる方はブックマーク、広告の下の評価☆☆☆☆☆を★★★★★して頂けたら嬉しいです(*ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾

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私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

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