閑話 古代竜のピーちゃんの叫び ガキのペットになってしまいました
俺は初代皇帝と初代聖女に帝国を建国させてやった黄金の古代竜様だ。
決して元々ピーちゃんやピー助などという軟弱な名前ではないわ!
俺様が住んでいるこの世界は元々魔物が支配していた。史上最強の力を誇る俺様もその魔物の仲間と言えばそうなるかもしれない。というか、ちっぽけな人間どもも魔物の一種と言おうと思えば言えた。何しろ奴らも魔力が使えるのだから。俺の認識では魔力が使える者が魔物と言えるのだ。
そんな世界で人間共は小さくなって暮らしており、俺様や力の強い魔物が大きな力で世界を支配していた。
そんな中で魔物の殴打と名乗る魔王などと言う輩がでかい顔をし出した。
俺から見るとちっぽけな人間と同じだ。史上最強の俺様の前でもでかい顔をするのが気に入らなかった。
そんな時に俺様の前に助けを求めてきたのが、初代皇帝と聖女だった。
二人は俺様の前にひれ伏してなんとか魔王を倒すのに協力してほしいと宣ってきた。
まあ、そこまで頼むのならば致し方ない。俺様は2人が魔王を倒すのに協力してやったのだ。
魔王を退治してやった後、初代皇帝と初代聖女は俺様に泣いてお礼を言っておったわ。
まあ、後はこの二人の子孫共に任せて置けば良いだろうと俺様は昼寝と決め込んでいた。
そんなある時だ。
俺はいきなり誰かに呼ばれたのだ。
心の準備も何もなかった。本当に信じられなかった。
気付いたら洞窟の中にいた。
「ギャオーーーーー!」
俺様を呼び出すなどというキチガイじみたことをした者は誰だ?
俺様はとても機嫌が悪かった。
目の前にあった石ころを蹴飛ばしてやったのだ。
「ギャーーーー」
ドカーーーーン
悲鳴とともにそれは洞窟の壁に当たって大きな音を立ててくれた。
よく見るとそれは人間の子供だった。
だが、俺様の一撃を食らっても生きているなんて信じられなかった。
まあ、そこは褒めてやろう。しかし、こんなガキが古代竜の頂点に立つ俺様を呼び出したというのが気に食わなかった。俺はそのガキを許すつもりなどなかった。
でも、俺様は本当に油断していたのだ。
こんなガキに何が出来る?
何しろ俺様は史上最強の黄金の古代竜様なのだ。
それまで我が物顔で地上をのさばっていた魔王ですら一撃で倒したのだ。
俺様が負ける訳はなかろう。
寝起きの俺様は機嫌が悪かった。
俺様がそのガキを食べてしまおうとした。
その瞬間だ。
「いやあーーーー!」
そのガキが魔力を放出してくれたのだ。
その量は凄まじい量だった。
「ギャオーーーーーーーー」
ドッカーーーーン
俺はその魔力の渦の中に巻き込まれたのだ。
「わっはっはっはっはっ」
俺は魔術師のばあさんのしわがれ声を聞いた気がした。
この声は獣人のばあさんの声だ。
あの婆、この洞窟に何か仕掛けをしていやがったな!
俺がそう気付いた時は遅かった。
俺はあっという間に渦の中に巻き込まれて気を失っていたのだ。
気付いた時は俺様は古代竜の雛になっていたのだ。
信じられなかった。雛ってなんだ? 雛って!
あの婆、変な仕掛けをしてくれおって!
俺は
「ピーピー」
としか鳴けなくなってしまった。
本当にもう最悪だった。
「ピーちゃん!」
その上、あのガキが俺様を抱きかかえてくれたのだ。
今まで史上最強の古代竜の俺様をだ。
俺はむかついたが、何故か、俺様自体がこのガキから離れられなくなってしまったのだ。
獣人の婆何をしてくれた?
「ピーちゃんは私のペットね!」
しかし、俺様が確認する間もなく、このガキは宣言してくれたのだ。
ちょっと待て!
俺様は黄金の古代竜で、初代皇帝や聖女ですら「黄金竜様」と様付けだったんだぞ!
何で貴様のようなガキのペットにならないといけないのだ!
しかし、俺の心とは別に
「ピーちゃん」
「ピー!」
このガキから呼ばれると何故か返事してしまうのだ。
「ピーちゃん、このデザート美味しいわよ」
「ピー!」
俺様はデザートと言うものを初めて食したが、本当に美味しかった。
ケーキなんてほっぺたが落ちるかと驚いたくらいだった。
そう、俺は完全にこのガキユリアに食べ物で餌付けさせられてしまったのだ。
まさか史上最強の黄金竜様である俺様がこんな小さなガキのペットに成り下がる日が来るとは……
「ピーちゃん! このアイスとても美味しいよ」
「ピー!」
俺は今日もユリアのペットとして美味しいアイスで餌付けされていたのだった。
ここまで読んで頂いてありがとうございます。
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『モブですらない小さい聖女に転生したので、小説の世界を堪能しようとしたら、何故かヒロインになっていました』
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