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名門伯爵の独り言 簒奪者に出て行くように注意しに行ったら古代竜の咆哮に失神していました

 俺の名前はベンヤミン・フリンツァー、帝国の建国当時からある名門伯爵家の当主である。


 俺様が皇帝陛下の命令で公国に使いに行っている間に、ハンブルクとか言う辺境の属国から賊が押し入り、前々皇帝陛下の孫のユリアーナとかいう小娘を担ぎ出して陛下を弑逆したという話を聞いて、俺は驚愕した。

 そもそも辺境の属国のホフマン公爵家など、帝国で言えば子爵以下のはずだ。その小せがれ共がでかい顔をして宮廷を闊歩しているなど、許されざる事だ。

 俺は田舎者共に、帝国の礼儀作法を教えて、素直に辺境に帰れと申し聞かせるために、わざわざ帝都に出向いてやったのだ。

 俺は来るに当たって同じく名門のモンテグロ伯爵とモーリス子爵を伴って皇宮に乗り込んでやったのだ。


「フリンツァー伯爵。よくぞお戻り頂きましたな。陛下が弑逆されてからこちら、皇子殿下方は離宮に押し込められて、皇宮はハンブルクの田舎者共と獣人が闊歩するようになりまして、我々共も忸怩たる思いをしておったのです」

モーリス子爵が俺に話してきた。

「それは大変でしたな。まあ、帝国の名門の私とこちらのモンテグロ伯爵が戻って参りましたからな。これでハンブルクの奴らも獣人共もでかい顔はさせませんぞ」


俺がそう言った瞬間だった。


ドバーーーー

俺たちは頭の上から大量の水をぶっかけられたのだ。

俺たちは頭の上から足先まで濡れ鼠になってしまった。


俺たちが前を見ると獣人に囲まれた老婆がいた。


「何やつだ!」

「このような狼藉許されると思っているのか!」

「獣人風情めが!」

俺たちは怒り心頭で、老婆を睨み付けた。


「言っておることが数百年前と変わらんの」

老婆は呆れてくれたが、いくらこの婆さんでも数百年も生きるのは難しいだろう。

数百年前? この婆さんはどこかで見たことがあった。確か昔見た教科書に載っていたはずだ。最近の教科書には削除されたはずだが……


「ばばあ、貴様口には気をつけよ。こちらにおはすのは名門伯爵家のフリンツァー伯爵様とモンテグロ伯爵であるぞ」

モーリスが俺たちの前に出てくれた。


「ふんっ、フリンツァーのガキ共の礼儀知らずは相変わらずじゃの」

「な、何だと!」

「貴様、何やつだ」

生意気な婆さんにモンテグロ伯爵等がいきり立っていた。


「控えおろう! こちらにおわす方は賢者ヘルカ様であられるぞ」

獣人の一人が何か叫んでいたが、

「賢者ヘルカ……」

思い出した。初代皇帝陛下を助けた獣人の長だ。

「賢者ヘルカなど数百年前の者ではないか」

「そんなに長生きできるわけはなかろうが!」

「どちらにしろ、獣人など下等生物が皇宮内をうろつくなど許されることでは無いわ」

「何だと!」

俺たちの当然の声に獣人どもは剣を構えたのだ。

「貴様等この皇宮で剣を構えるのか」

俺の周りの騎士共も慌てて抜剣した。


「ふんっ。愚か者よな」

ブス!

そう、ヘルカは呟くと俺の前に立った騎士が一瞬で黒焦げになり倒れ込んだ。


「「「えっ?」」」

俺たちは目を見開いた。俺様の騎士が一瞬で倒された。こいつは相当な腕前だったはずだ。

それが一瞬で倒されるなど相当な者だ。この婆、ひょっとして伝説のヘルカかもしれん。

俺たちが恐怖に顔を引きつらせたときだ。


「ここでゴミ共を燃やし尽くしてやろうか?」

ヘルカはそう言うと手に火の玉を出してくれたのだ。


「おい、待て!」

「伯爵様ここは」

「ヒィィィィ!」

モンテグロが真っ先に後に向かって駆け出した。

「伯爵様!」

それに次いでモーリスも逃げ出してくれた。

「いや、ちょっと待て、熱い、ギャーーーーー」

気付いたら俺の尻に火がついていたのだ。


あの婆、許せん!

俺は必死に駆けて二人を追い抜くと、皇宮の池に飛び込んだのだ。

尻の火が消えてほっとしたときだ。


俺の目の前に黒竜がいた。


ギャーーーーー

何でここに黒竜がいる!

俺は驚きで声も出なかった。


フッ

黒竜が息を吐いてくれた。


それで俺は池から飛んでいたのだ。


バシン!

幸いなことにそこは芝生の上だった。


「おおおお、フリンツァー伯爵、ご無事でしたか?」

モンテグロの声が聞こえたが、こやつ等人を見捨てて逃げやがって、お陰で酷い目に逢ったではないか!

俺が恨みがましい目で睨み付けたら、モンテグロは目を逸らしてくれた。


「どうかされたのですか?」

そんな俺たちに可愛い声がした。


振り返ると銀髪の可愛い女の子が金色のペットを抱いていた。銀髪をたなびかせてペットを抱いている様はとても絵になった。


「いや、老婆に襲われての」

さすがの俺もこのようなこの前で醜態は恥ずかしくて、俺が言い訳がましく言うと、


「その方ども、皇帝陛下の御前であるぞ! 控えおろう!」

後から大音声がした。

そこには金髪なの偉丈夫がいた。


「お兄様。こんな酷い目に逢っている人達にそんなきついことを言ってはいけないと思うわ」

少女がその偉丈夫に注意していた。


「こ、皇帝陛下?」

この女の子が皇帝陛下ということは陛下を弑逆して担がれた小娘か。俺は唖然とした。

「き、貴様が弑逆者のユリアーナか?」

モンテグロ伯爵が思わず声に出していた。

いや、待て、モンテグロ、それをここで面と向かって言うな!

俺の心の叫びは遅かった。


「何だと!」

後の偉丈夫が剣を抜いたときだ。


少女の持っていたペットが突然でかくなったのだ。

えっ?

俺たちは唖然とした。

そこには巨大な黄金の古代竜がいたのだ。


「ギャオーーーーー!」

「「「ギャーーーーー」」」

古代竜の咆哮に、恐怖に駆られた俺たちは溜まらずに気を失ったのだった。


ここまで読んで頂いて有難うございました。

とある伯爵の独り言でした。

この後伯爵達の運命は…………


ぼちぼち閑話等あげていこうと思います。

次回作は鋭意作成中です。今しばしお待ちください。


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