お兄様視点 ユリアと結婚すると心に決めました
「何か、言った?」
「えっ?」
俺はユリアの可愛い顔に見惚れていた。
いや、怒った顔を。
怒った顔も可愛い!
でも、次の瞬間だ
パシーーーーーン
「ギャーーーーーーーー」
俺はユリアに頬を思いっきり張り倒されていたのだ。
生まれて初めてユリアに頬を張られた。
でも、俺は幸せだった。
なんか、他のことに目覚めそうだ!
次に俺が目を覚ましたときだ。
「お兄様!」
俺を目がけて可愛いユリアが駆けてくるのが目に入った。
いつ見てもユリアは可愛い!
でも、次の瞬間地面が揺れた。
そして、ドジなユリアはバランスを崩して俺の横にいたユリアの言う所のピンク頭に抱きついていたのだ。
な、なんたる事だ!
俺が完全だったらユリアを抱きしめていたのに、体がまだ完全に復活していなかったから飛び出してユリアを抱きしめられなかった。
俺は舌打ちしたくなった。
「わっはっはっはっは。ついに俺様は復活したぞ」
その元凶が両手を腰に当ててダミ声で笑ってくれたのだ。
こいつが出てこなければ俺の胸の中にユリアが飛び込んでくれたのに!
ピー助が戦ったが、全く相手にされなかった。
ここは俺様の出番だろう。
「おのれ魔王、良くも俺の体を乗っ取ってくれたな」
俺は立ち上って剣を抜いた。
「ふんっ、単細胞な貴様は簡単に闇堕ちしてくれて、乗っ取るのはとても楽だったぞ」
そんな俺を魔王は笑ってくれた。
「あと少しで貴様の妹をその手で殺させてやったのにな。とても惜しかったな」
「おのれ、許さん!」
俺は最大加速で魔王に斬りかかった。
バシーーーーン!
しかし、俺は魔王の右手で一撃の下、地面に叩きつけていた。
何故だ? まだ完全では無いのか?
俺は信じられなかった。
ユリアも戦ったが、吹っ飛ばされていた。
俺は飛んできたユリアを抱き留めた。
ユリア!
ユリアだ。
「大丈夫か?」
俺はなんとか冷静に話せたと思う。
「うん」
ユリアは頷いて笑ってくれた。
天使だ。ユリアは本当に天使だ。
本当に魔王は俺とユリアの仲を邪魔してくれて、許せん。
しかし、もう一度攻撃しても上手くいかなかった。
少し調子が悪いみたいだ。
「何をしているのだ。バラバラに攻撃して、その方等は馬鹿か! やるなら何故一斉に攻撃せん!」
長が注意してくれた。
確かにそうかもしれない。
俺はユリアを再び抱きしめられて浮かれているのかもしれない。
長が魔王を拘束してくれた。
よし、今度はユリアと一緒に攻撃だ。
「死ね!」
「喰らえ!」
俺はユリアとタイミングを合わせて魔王に剣を突き刺した。
ユリアは杖を魔王に同時に突き刺していた。
二人一緒の作業なんて初めてかもしれない。
こんな討伐も良い物だ。
ピー助はおまけだな。
俺とユリアの仲を邪魔した魔王は抵抗してくれた。
今度はユリアと二人で手に手を添えて同じ剣を持って突き刺すか?
何か新郎と新婦のウェディングケーキへの初めての共同作業みたいだな。
幸いなことに宝剣はもう一刀ある。
「おのれ、貴様等」
魔王が最後のあがきをしていた。
俺が提案しようとしたときだ。
「魔王、よくも私にやってくれたわね」
やらなくても良いのに、ピンク頭が魔王を成敗してくれた。
俺とユリアの初めての共同作業が…………
「ギャーーーーーーーーー」
魔王が俺の叫び声を代行して浄化された。
本当にピンク頭も余計な事をしてくれた。
俺は地上に落ちる前にユリアを抱き留めながら舌打ちしたくなった。
「お兄様。私、魔王に乗っ取られたお兄様に酷い事されたの」
「何だと、魔王の奴、俺が知らない間にユリアに手を出したのか」
俺は一気にいきり激怒モードになった。
「ユリア、変なこと兄上に言うなよ」
「やったってお兄様よ」
「やったって何をやったんだ!」
俺は完全に頭に血が上っていた。
「な、何かお兄様怖い」
ユリアが怯えてくれた。
別に怯えさせたいわけでは無いが、魔王の奴何をしたのだ!
「兄上、落ち着いて、魔王はユリアを攻撃しただけだから」
「フランツお兄様、攻撃しただけって本当に痛かったんだから」
むっとしてユリアが言ってくれたが、攻撃しただけなら、まだいいのか?
「いや、すまない」
俺はユリアに頭を下げた。
「でね。お兄様。その罰というか、お詫びというか、してほしいことあるんだけど」
ユリアがおねだりしてきた。
「ああ、何でもいいぞ。何をしてほしいんだ?」
俺はユリアに尋ねていた。
俺におねだりしてくるユリアも可愛い!
「ユリアにお兄様のデザートを一生涯譲ってほしいの」
俺はユリアの一生涯という言葉が頭の中をリフレインした。
「お兄様」
「ほら口をあけろ」
「ええええ! 自分で食べられるから」
「ほら、はい、あーーーーん」
少し嫌がるユリアの前にデザートを持っていくとぱくっと食べてくれるのだ。
「上手いか」
「うん、美味しい」
ユリアはとても幸せそうな顔をして頷いてくれるのだ。
俺の頭の中はユリアと結婚して食べさせている自分の姿しか見えなかった。
「ユリア!」
俺は思いっきりユリアを抱きしめていた。
「えっ、お兄様、いきなりどうしたの?」
「俺は嬉しいぞ」
俺は困惑しているユリアを思いっきり抱きしめていた。
そして、心に決めたのだ。
皇帝となるユリアの横に座るのは誰がなんと言おうと絶対に俺だ!
俺は王配、いや、皇帝ないし女帝になるユリアの配偶者は皇配か、に絶対になってやる。
邪魔する奴はこの剣で成敗してくれると心に誓ったのだった。
ここまで読んで頂いて有難うございます。
ユリアーナ帝に逆らう奴らはお兄様に征伐されるのは決定しました。
まあ、元々決まっているけど……恋のライバルも征伐されるのは決定?
二人の恋の行方は?
閑話まだまだあげていきます
お楽しみに!








