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ついに魔王が復活しました

 お兄様を乗っ取った魔王を私は張り倒していた。

 魔王の顔はお兄様だった。

 でも、お兄様もお兄様よ!

 可愛い妹の私が魔王に虐められているのに、何いつまでも乗っ取られているのよ!


 出てきて、魔王をやっつけてよ!


 私の渾身の平手を受けた魔王は黄金竜とフランツお兄様とピンク頭のいる方に吹っ飛んで行った。


 ドカーーーーーン!

 凄まじい爆発が起こる。


 そして、その瞬間、何か黒い者がお兄様から飛び出るのが見えたのだ。


「ああああ! 魔王だ」

 私は叫ぶとそちらに向けて駆け出した。


「おのれ、小娘、良くも!」

 魔王が怒り狂っていたが、

「ギャオーーーーー」

 ピーちゃんが傍に飛び出してきた魔王を食べようとした。

 魔王が避ける。


「ピーちゃん、そんなばっちい物食べちゃ駄目よ!」

「何だと、小娘」

 怒り狂った魔王はこちらに向かって飛んできた。


「喰らえ!」

 私が杖を掴んで雷撃を浴びせるが魔王には当たらなかった。

 雷撃は魔王の体を通過した。


「ふんっ、小娘、そんなものが俺様に効くわけはないだろう!」

 魔王は余裕だった。


 でも、突き抜けたらどうしようもない。

「喰らえ!」

 魔王のパンチが何故か私のお腹に当たって私は吹っ飛ばされていた。


 ドカーーーーン

 地面に叩きつけられる。



 私は頭を振るとお腹と背中の痛みを我慢して立ち上がった。

 私の魔王への攻撃は突き抜けるのに、何故、魔王のは私に当たるの?

 私はそれが不思議だった。

 おそらく魔王は幽体分離している、つまり、幽霊だ。

 そんな奴の攻撃が私に当たるわけは無いのに!


「ユリア、杖で殴れ!」

 遠くから獣人の長老の声がした。

「えっ?」

 遠くを見るとこちらに満身創痍の姿で歩いてくる長老の姿が見えた。

「長老!」

 私が喜んで叫ぶと

「ほら、来たぞ!」

 長老の声に私は渾身の力を込めてバットを振る要領で杖を振っていた。


 ガキーーーーーン

「ギャーーーーー」

 飛んできた魔王の顔面に私の杖がヒットして、私は魔王を山の中に弾き飛ばされしていた。


「えっ、魔王が山の中に吸い込まれたわ」

 私は目を見開いた。

 私が魔王を杖で打ったら魔王は山肌を通り抜けて、山の中に吸い込まれたのだ。


「これはまずいぞ。そこな聖女、直ちに全員に回復魔術をかけよ」

 長老がピンク頭に指示してくれたが

「はああああ! 何で真の聖女様である私が、高々どこの馬の骨とも判らぬおばあちゃんの言うことをきかないといけないのよ!」

 ピンク頭が神をも恐れぬ文句を言った。


「ほおおおお、その方、次の魔王の依り代になりたいのか? 儂は別に構わんが」

「はああああ! 何で私があのむかつく魔王の依り代なんてならないといけないのよ。絶対嫌よ」 

 ピンク頭はそう叫ぶと

「エリアヒール」

 そう叫んで広域癒やし魔術を発動した。


 私もあっと言う間に治る。

 さすがにピンク頭!


 お兄様はどうなんだろう。

 私は心配してお兄様のところに駆け寄った。


 確かにお兄様は魔王に乗っ取られたときに復活もせずに私に酷い事をしてくれたけれど、いつも私を助けてくれたお兄様だし……私はとても心配だった。


 でも、待てよ。

 お兄様が今回私に酷い事をしたのを盾にとって一生涯私にデザートを貢がせる約束させるのもいいかもしれない。お兄様が結婚するまでかもしれないけれど、後二年くらいはあるだろう。


 これは起きがけでお兄様が頭が回っていない今がチャンスだ。


「お兄様!」

 私は目を開けたお兄様に向かって駆け出そうとした。


 その時だ。


 突然、ゴオーーーーーーと山が揺れたのだ。


 私はバランスを崩してよろけてしまった。


「お兄様……えっ?」

 私はバランスを崩したままお兄様の隣にいたピンク頭に突っ込んだのだ。


 ガツン!

「「ギャーーーー」」

 私はピンク頭の石頭に頭を打ち付けていた。

 めちゃくちゃ痛い! ピンク頭は石頭だった。


「ちょっと、ユリアーナ! あんた私に突っ込んでくるってどういう事よ」

「それは私の台詞よ。あんた、なんて石頭しているのよ!」

 私達は頭を押えて睨み合った。


「おい、アグネス、ユリア、それどころではないぞ」

 フランツお兄様の声がした。ピンク頭をアグネスって名前呼びしているんだけど、何が二人の間であったんだろう? でも、私は疑問を向けることは出来なかった。


「出たな、魔王め」

 私達2人を無視して長老が私の後ろを睨み付けていたのだ。



 私も振り返るとそこには山を突き破って、身長が10メートルを超えようかという巨体が現れていた。

体は真っ黒だった。これが魔王なのか?

 目だけが爛々と真っ赤に光っていて、見るからに恐ろしそうだ。周りをその巨体で睥睨していた。



「わっはっはっはっは。ついに俺様は復活したぞ」

 魔王は両手を腰に当ててダミ声で笑ってくれたのだ。


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私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

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