フランツお兄様に起こされて目を覚ました私はお兄様を攻撃していた黄金竜を張り倒しました
遅くなってすみません
私は真っ暗な世界にいた。
その暗闇はどこまでも続いていた。
私は死んだのかな?
周りは真っ暗な世界だ。
これは黄泉の世界?
私がそう思ったときだ。
私は巨大なむ洞窟の中にいるのに気付いた。
「ギャオーーーーー」
そして、古代竜の咆哮が響いた。
この声は……私は子供の頃の事を思い出した。
そうだ。私は3歳の時のホフマン公爵家の試練の間だ。
振り返るとそこには巨大な黄金の竜がいた。
竜は巨大な大きな口を開けて私に襲いかかってきた。
私の体の奥底から魔力が上ってきた。
私はそれで巨大竜を攻撃したのだ。
「ギャオーーーー」
古代竜は呻き声を上げて、消滅した。
「わっはっはっはっは! 小娘、気に入ったぞ。その方を助けてやろう」
私が気を失う前に古代竜の声が聞こえた。
場面が変わって私は魔王に攻撃されていた。
何回も弾き飛ばされてボコボコにされていた。
身体中血だらけだった。
もうだめだ。
私がそう諦めた時だ。
「ヒール!」
何故かそこにいたピンク頭に私はヒールをかけられた。
私の体が金色に光る。
傷だらけだった体が元にもどる。
大きなお腹の傷も塞がった。
さすが真の聖女。能力だけは高い。性格は悪いけど……
「さっさと起きなさい! 悪役令嬢! ユリアーナ!」
何故かピンク頭の大きな声が私の脳裏に響いた。でも、私はまだ寝たりない。
「ユリア、ユリア、しっきりしろ!」
この声はフランツお兄様だ。
「お兄様。デザート一年分よ」
私は長年の懸念事項、いや、高々、数ヶ月の事だけど、を要求したのだ。
剣術競技で二回も私との戦いの前に棄権してくれて、デザートをもらい損ねた私は夢の中でもその事に怒っていた。
「判った。起きたらデザートなんていくらでもやるから起きろ!」
「本当に!」
私はフランツお兄様のその言葉にぱっちりと目を覚ました。
そこにはフランツお兄様とピンク頭が心配そうに私を覗き込んでいた。
「しかし、本当にユリアは食い意地だけ張っているのね。あなたのペットと同じよ。デザート一年分にだけ反応するなんて」
ピンク頭が呆れていた。
フランツお兄様とピンク頭は私を起こそうとして必死に話しかけてくれたそうだ。いろんな言葉を話して呼び掛けたけど、全く私は反応しなかったのだとか。でも食べ物の話をしたときだけは眉がピクッとか動いたそうだ。そこでフランツお兄様が最後の手段と思って、デザート一年分を出してくれたんだと。私はその期待に見事に引っ掛かったのだ。
「食い物にしかつられないって何なの?」
私はピンク頭に馬鹿にされた。
「良かった、ユリアが復活して」
しかし、私の目の前には本当にほっと安心したフランツお兄様がいた。
「えっ、そんなにフランツお兄様は私のことを心配してくれたの?」
私は感激した。
「えっ、それはまあ、そうだな……」
なんかフランツお兄様の視線が泳いだ?
「うん?」
私が疑問に思っていると
「本当に良かったわ。あなたが目を覚まして。あなたのペットの面倒を見るのは本当に大変だったのよ。ここからはあんたのペットはあんたが面倒見なさいよね」
「私のペットって、ピーちゃんが来ているの? どこに?」
私は周りを見渡した。
なんか遠くで古代竜と男の人が戦っていた。
男は魔王だろうか?
でも、ピーちゃんはどこにもいなかいじゃない!
私がむっとすると
「何言っているのよ! いるでしょ。あれよ」
ピンク頭が中央の古代竜を指してくれたんだけど……
「ええええ! ピーちゃんはもっと小さくて可愛いいのよ」
「何が可愛いよ! 見た目だけでしょ。あんたと一緒で食い意地しか張っていないし、ご飯作れって煩いし、作るまで私を嘴で突くのよ。飼い主と一緒でとても凶暴なんだけど」
「誰が凶暴よ! ピーちゃんはそんなことはしないことはないか?」
確かにピーちゃんは食い意地は張っている。私がいなかったらフランツお兄様とピンク頭になら、ご飯作るまでは執拗に突きそうだ。
「ほら見てごらんなさいよ」
ピンク頭がそれ見たことかと言ってきた。
「でも、そのピーちゃんはどこにいるのよ」
「何言っているのよ。あそこで戦っているでしょ」
ピンク頭は黄金竜を指さした。
「ええええ! あんな大きくはなかったわよ」
「何言っているのよ。いきなり大きくなって私を咥えてここまで飛んで来たのよ。どんなに怖かったと思っているのよ!」
「うっそー!」
私には可愛いピーちゃんがあんなに恐ろしい古代竜になっているなんて信じられなかった。
でも、元々私が戦った古代竜はこれくらいの大きさだったなと私は思い出した。
で、魔王は?
「ギャオーーーーーーーーーーー」
「死ね!」
二人が戦っているんだけど、戦っている黒い男がお兄様に見えるんだけど……
「ギャーーーー」
黄金竜に蹴飛ばされて男が飛んで来た。
ドカーーーーン!
フランツお兄様とピンク頭が避けた地面にお兄様が激突した。
その顔はお兄様だ。
「お兄様、大丈夫?」
私は慌てて駆け寄ったのだ。
お兄様は血だらけだった。
「ギャオーーーー」
そこに黄金竜がお兄様を追って飛んで来たが、
「あなたね。お兄様を傷つけたのは」
私が睨み付けると
「おい! ユリア、やめろ」
止めようとしたフランツお兄様を無視して、
「喰らえ」
私は杖を振り回したのだった。
バシン
それは物の見事に黄金竜の顔にヒットしていた。
「ギョエエエエエエ」
古代竜は私に顔を張られて吹っ飛んでいた。
ここまで読んで頂いてありがとうございます
ユリアに張られたピーちゃんと魔王に憑依されたお兄様はどうなる
続きは明日です。








