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また、王太子に聖女が抱きついていたので王太子にお姉様をくっつけました

 私は翌日も元気良く登校した。今日はお姉様が王太子殿下と面会を設定してくれる事になっていた。おそらく放課後になるとの事だった。

 お姉様は今日も目一杯、おしゃれしていたけど、また、ピンク頭に邪魔されたらどうするんだろう?

 まあ、その時は私が助ければ良いか! あまり、ピンク頭とやりあうなって言われているけれど、お姉様を助けるんだから許されるよね?




「おはようございます。ユリアーナ様」

 教室に入ったらいきなり、昨日倒したダミアンが頭を下げて迎えてくれたのには驚いた。

「えっ、どうしたの? ダミアン? 昨日はあんなに生意気だったのに!」

 私が驚いて、ダミアンを見ると、


「若気の至りとお許し下さい」

 ダミアンは丁寧に頭を下げてくれた。

 一体どうしたんだろう? 頭を強く打ち過ぎた? いや、頭はうっていないはずだけど……私にコテンパンにされたから心を入れ替えたんだろうか?

 でも、別に私はダミアンに頭を下げさせたいわけではないんだけど……


 それに今はダミアンよりもマリアだ。

私は自分の座席に向かうと、席に座る前に後ろを振り向いた。


「マリア、ごめんなさい」

 私は最初にマリアに謝ったのだった。

「えっ、いきなり頭を下げられても、困ります。頭を下げるということは公爵様に反対されたんですよね? いえ、ユリアーナ様、私の前で頭を下げるのはお止め下さい。ユリアーナ様のせいでこうなったわけではありませんし」

 マリアはそう言ってくれるけど、それでは私の気が収まらない。


「本当にお父様はどうしようもないわ。私とお兄様が珍しくお願いしたのに聞いてくれないんだから。絶対に許さないわ!」

 そうだ。怒った私は今朝からお父様とは一切口を聞いていないのだ。

 お父様はおろおろしていたけれど、今回の件、私としては許すつもりはなかった。


「代わりにお姉様にお願いして、王太子殿下にお願いするから、それで許して」

私はマリアに交換条件を出したのだ。


「は、はい? いや、ユリア、それってやってくれることが上がっているんだけど……なんでそうなるの?」

 マリアは驚いたみたいだったけど、クラウスには言いたい事も色々あったから、丁度良いのだ。まさか、クラウスまで私のお願い聞かない事はないだろう。うーん、でも、あのお父様も聞いてくれなかったし、教会の力はそれだけ凄いのかもしれない。


「それで、ダメだったら、今度は陛下に頼むからね」

「えっ、いや、それって普通逆でしょ。そんなことしても却って恐縮するだけだから」

 マリアが慌てて、そう言うんだけど……

 陛下は私には甘いのだ。陛下には色々貸しもあるし大丈夫だと思うんだけど。

「クラウスはひっぱたいてでも言うことを聞かすから大丈夫よ」

 私の言葉に周りの皆は一斉に引いてくれたけど、私は断らせないつもり満々だった。



 お昼休みになった。

私はマリアと食事をするために食堂に向かった。クラスメートととる食事ははじめてだ。何故か、金魚のふんよろしく、ダミアンとその友人たちが取り巻きよろしくついてくるんだけど。少し、鬱陶しい。



側近達と並んでいるクラウスが見えた。ちゃんと王子といえども並んでいるみたいだ。


そして、その少し後ろにお姉様が見えた。

お姉様はお昼にクラウスに話してくれるみたいだ。

私はほっとした。


今日は話せなかったからまた明日ねって先延ばしにされたらどうしようと少し、危惧していたのよ。お姉様は私に対する時とクラウスに対する時とでは全然反応が違うから。クラウスに対する時は何故かとても頼りなくなるのよ。

恋する乙女って皆こんな風に駄目駄目になるんだろうか?

私が驚くくらいに……

まあ、そんなお姉様も可愛いけれど……


「クラウス様!」

そんな時だ。またピンク頭がクラウスの横から現れたのだ。

「やあ、アグネス」

「良かったですわ。クラウス様がここにいらっしゃって」

そう言うとピンク頭はクラウスの腕にまた、胸を押しつけてくれたのだ。

私は目が点になった。


お姉様はと言うと、後ろで怒髪天で怒っているのは見えたけれど、絶対にこれは何も言えないパターンだ。


王太子の側近達も注意しそうにないし。

このままでは今日、私とクラウスが話せるようになるかも判らなかった。


「ちょっと、何よ、あれは」

このままでは、やばい!

と思った時には私は飛び出していたのだ。

「ちょっと、そこのピンク頭。あなた何を横入りしているのよ。教会は順番も守らないの?」

私は言ってやったのだ。

「はああああ! 何を言っているのよ。自分が横入りしようとしているんでしょ。姉の婚約者を取るだけでなくて、横入りまでするなんて最低ね」

また、ピンク頭が、訳の判らないことを言ってくれた。


「何を言っているのよ。クラウスの婚約者は我がお姉様よ! クラウス、あなたもお姉様が婚約者なのに、何故、ピンク頭に胸を押し付けられて喜んでいるのよ。男として、最低ね!」

私が軽蔑して、やると、

「いや、ユリアーナ、それは誤解だ」

「誤解だって言うのなら、せめて、お姉様といちゃいちゃしなさいよ」

私はそう言うと、良いことを思い付いたとばかりに、後ろにいてヒートアップしているお姉様を無理やり引っ張って来たのだ。

「えっ、ちょっと、ユリア、私は良いのよ」

お姉様は慌てて、私から逃れようとしたが、私は逃さなかった。

「それでなくても淫乱聖女は遠慮なんてしないんだからここはお姉様が、はっきりと態度で示さないと」

私はそう言うと、

「キャーーーー」

強引にピンク頭を弾き飛ばすとお姉様をクラウスに押し付けたのだ。

お姉様は、真っ赤になっていたけど……


「あなた達も判っているわよね。淫乱聖女を王太子殿下に近づけたら、私から陛下に側近どもが仕事をしてないって言いつけるわよ」

私はクラウスの側近達を睨み付けたのだ。

「えっ、それは困ります」

側近達は青くなった。私はやると言ったらやるのだ。側近達もそれをいやと言うほど理解しているはずだ。

「クラウス、あなたも分かっているわね」

真っ赤になって固まっているお姉様はほっておいて、私はクラウスに確認したのだ。


「ちょっと、あなた、退きなさいよ」

そんなときだ。あろうことか、ピンク頭はお姉様を退かそうとしたのだ。信じられなかった。お姉様もお姉様で私がクラウスと仲良くしていたら怒るくせに、真っ赤になって反論もしないんだけど……

「クラウス!」

私はクラウスを睨み付けたのだ。

「すげえ、さすがユリア、王太子を顎で使っているぜ」

ボンズが余計なことを言ってくれるので睨み付けたら、とたんに静かになった。


「アグネス、申し訳ないが、今は俺は婚約者のリーゼと一緒にいるんだ。遠慮してくれるかい」


おおおお!


王太子がやっと断った。私は感激したのだ。


「ちょっと、銀髪の悪役令嬢が、何を邪魔してくれるのよ」

ピンク頭は今度は私に文句を言ってきてくれたのだ。

「邪魔なのはあなたでしょ。教会の聖女風情がお姉様達の間を邪魔しないで」

私は言いきってやったのだ。

私良くやった。

胸がスッとした。

私は聖女が逆襲してくるなんて、思いもしなかったのだ。



ここまで読んで頂いてありがとうございました。珍しく、先生が飛んでこないので、ご飯が食べられる?

続きは明日です

お楽しみに!

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私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

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