表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
218/230

魔王視点 妹を殺された兄を闇堕ちさせて皇帝を殺させ、その兄に憑依しました

 俺は魔王様だ。

 古より世界を支配していた。

 そう、古から世界を支配していたのだ。

 人間などと言う下等生物がこの世に生まれる遙か以前から……

 何しろこの世界を作り出したのは俺様なのだから!


 昔は余が作り出した魔物達が世界を闊歩していた。

 のどかな時代だ。

 まあ、もっとも弱肉強食の時代で力の弱い人間共は小さくなって生活していた。

 と言うか、人間共を皆殺しにしても良かったのだが、それも面倒と生かしておいてやったのだ。

 それが間違いだった。

 魔物や獣だけでは俺様が不便なので、獣から獣人を作り出して俺様の世話をさせるようにしたのが人間の始まりだ。そうしたら世界は獣人で満ちてしまった。その中から獣になれなくなった劣等種族が人間だった。人間共はいつの間にかその獣人を駆逐して奴隷として扱っていたが。

 

 あまりにも人間がでかい顔をして、神である俺様を蔑ろにするようになったから、俺様が魔王として世界を再び魔物の世界にしてやったのだ。

 大きな顔をして世界を闊歩していた人間共は次々に魔物達に駆逐され、古の世界に戻ったのだ。

 人間共は世界の果てで魔物達に脅えてひっそりと暮らすようになった。

 それから数百年が経った時だ。


 金の剣を持つ騎士と銀の杖を持つ聖女が黄金の竜とともに余にいきなり襲いかかって、俺様を封印してくれたのだ。俺様が寝ている間に襲いかかるなどどれだけ卑怯なのだ。俺様の世話をしていた獣人のヘルカが裏切ってくれたのだ。

 あの婆、今度見つけたらただではおかない。俺様はこの何もない真っ黒な山に封印されてしまった。余は雌伏の時を迎えた。


 元もと世界を作り出した創世の神である俺様を封印するなどとんでもないことだった。

 俺様は怒り狂った。

 でも、この山は魔王を封印している山として恐れられていて魔物さえ近寄って来なかった。

 近寄ってくれさえすればなんとも出来た物を誰一人近寄ってこず、以来数百年、俺様はこの地に封印され続けた。


 そんな俺の前に現れたのがヴィクトールとか申す男だった。この男は自ら兄を殺し、従兄妹を殺し、伯父を殺し、果ては実の父まで殺して皇帝になった、とんでもない男だった。

 ただ、この男は俺様に逆らった獣人共を制圧してくれて、俺様の溜飲を下げてくれた。

 そして、この男は俺様の封印されたこの山にやってきてくれた。


 そして、何をとち狂ったのか、自ら魔王になると宣言してくれた。

 封印されている創世の神でもある俺様に向かってだ!



 俺様に成り代わり魔王になるなど片腹痛い。創世神様に作られた人間が創世神になどなれるわけはなかろう。身の程知らずも良いところだ。

 だが、まあ、この世界を再び魔物の支配する世界に戻すために俺様が憑依してやっても良かろう。


 俺様は此奴の望み通り憑依してやった。


 男はむかつく人間共を沢山殺してくれて余を喜ばせてくれた。

 更に余の力を強大にするためにこの男に余の封印を緩めさせた。

 何万人という愚かな騎士達を殺して、余の力は更に強大になった。


 この男は俺様が示唆するだけで実の親まで殺してくれた。愛する息子に殺されて驚く女は見物だった。そう、その恨むような視線、俺様はそれが見たかったのだ。


 その余の前に愛すべき兄妹が現れたのだ。妹を愛する兄の姿の何と目障りなことか!

 俺様はその目の前で魔王に命じてその娘を殺させた。

 今まで見たくもない愛を見せつけられていた俺は、その兄の心がどす黒い怒りで染まるのを見てほくそ笑んだ。

 そうだ。今こそ、俺様に魂を売るのだ。

 兄は物の見事に俺様の期待にこたえてくれた。

 なおかつ、この兄は魔力も剣の力も強かった。今まで憑依していたヴィクトールとは違う。さすればこの弱いヴィクトールよりも余程強大な魔王の依り代となろう。

 俺様は兄にヴィクトールを殺せと囁いたのだ。

 兄はヴィクトールをあっさりと惨殺してくれた。命乞いするヴィクトールの無様な様。この男は本当に俺様を楽しませてくれた。まあ、今憑依しているこの兄より腹黒さは一枚も二枚も上だったが。その点この兄は単純だった。面白みがない。


「うううう」

 俺様の横でこの男の妹が呻いてくれた。

 なんじゃ。まだ生きておったのか。しぶとい女じゃ。そう言えばこの女も余を封印してくれた一味のあの憎き聖女と同じ銀髪をしておる。この男にこの妹を惨殺させるか?

 その事実を後で知らしてやればこの男は発狂するだろうか?


「殺せ。この女を殺すのだ」

 俺様は兄を示唆した。兄は妹の首に手を伸ばしたが、そこで止めてくれた。

 何という事だ。

 この創世の神である魔王様に逆らうのか?

 余は驚いた。

 それとあろうことかこの兄から妹に対して愛が湧き出るようにあふれ出したのだ。

「待て、止めろ! 俺様が浄化される!」

 さすがの俺様も慌てふためいた。


 そんな時だ。

 顔を上げた俺の目の前に憤怒の形相のヘルカがいた。

「出たな山姥!」

 俺が思わず口に出した時だ。

「誰が山姥じゃ!」

 バシン!

 俺様は激怒した山姥に杖で思いっきり殴られていた。

「「ギャーーーー」」

 俺様は依り代の兄と一緒に吹っ飛ばされていたのだ。

ここまで読んで頂いてありがとうございます。

魔王になったお兄様はどうなる?

続きは今夜です。

お楽しみに

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

新作

『モブですらない小さい聖女に転生したので、小説の世界を堪能しようとしたら、何故かヒロインになっていました』https://ncode.syosetu.com/n4848kz/


私の今一番熱い人気の作品はこちら

『【電子書籍化】王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど……』https://ncode.syosetu.com/n9991iq/


表紙画像
1巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど 卒業パーティーは恐竜皇子と恐れられるお義兄様と一緒に』
上の表紙絵はおだやか先生が可愛いエリーゼを守る格好良いお義兄様を描いて頂きました。
このなろうで書いたのに【お義兄様との洞窟探検】2万字の描き下ろしが追加されています。
小さいヒロインのエリーゼはダンジョンに潜りたいとお義兄様に無理やり連れて行ってもらって、巻き起こす大騒動。
後で知ったお義父様(皇帝)が怒るもエリーゼの前に撃沈、更に行ったダンジョンにはなんとあの…………、とても面白いお話になっています。

■【3千字のSS商人の娘の独り言シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/


■【アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/dp/B0DD3SHSJV/


■【楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/86f757d2dd7d3674900eac6783288ad5/

表紙画像

表紙絵はおだやか先生が美しい、お義兄様とエリーゼのキスシーンを描いて頂きました。
2巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… 帝国に帰還しての宮廷夜会、お義兄様にキスされてしまいました』
こちらの新規書き下ろしはセッシーとの出会いです。皇帝一家でセシール湖にお出かけしたエリーゼはお義兄様たちと湖の地下宮殿に冒険に出かけます。
反逆の陰謀と共にそこにいたのは巨大な水竜で…… とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■【3千字のSSドレス工房の主の独り言シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/2/


■【アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/dp/B0DGQ7J6VH/


■【楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/178537d615973d18a4cb8adc53c66c16/

3巻表紙画像

表紙絵はおだやか先生がエリーゼをお義兄様が抱きあげる美しいシーンを描いて頂きました。
3巻が『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど…… そのお義兄様から「エリーゼ、どうか結婚してください」と求婚されました。』
こちらの新規書き下ろしは学園に出る幽霊竜退治です。学園時代のお義兄様の幽霊騒動にエリーゼが一緒に冒険します
とても面白いのでぜひとも手にとって頂けたら嬉しいです。

■【3千字のSS連れ子様の護衛騎士・シーモア特典付き】
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/vol/3/


■【アマゾンはこちら】
https://www.amazon.co.jp/-ebook/dp/B0DK55BWGS/


■【楽天はこちら】https://books.rakuten.co.jp/rk/e9901759f61337b88109b29ff7a5ffb0/

ぜひとも手にとって見ていただければ嬉しいです。

アルファポリスのレジーナブックスにて

【書籍化】

しました!
2023年6月28日全国1200以上の書店にて発売しました。表紙画像は11ちゃんさんです。
表紙画像
表紙絵をクリックしたらレジーナブックスの説明ページに飛びます。


■アマゾンへのリンク

■楽天ブックスへのリンク

■hontoへのリンク


手に取って読んで頂けたら嬉しいです。

なろうの掲載ページ『悪役令嬢に転生したけど、婚約破棄には興味ありません! ~学園生活を満喫するのに忙しいです~』https://ncode.syosetu.com/n3651hp/

第一部は書籍化の規約上3分の1残して後は他者視点で繋いでいます
「えっ、ゲームの世界の悪役令嬢に生まれ変わった?」
頭をぶつけた拍子に前世の記憶が戻ってきたフラン、
でも、ケームの中身をほとんど覚えていない!
公爵令嬢で第一王子の婚約者であるフランはゲームの中で聖女を虐めて、サマーパーティーで王子から婚約破棄されるらしい。
しかし、フランはそもそも前世は病弱で、学校にはほとんど通えていなかったので、女たらしの王子の事は諦めて青春を思いっきりエンジョイすることにしたのだった。
しかし、その途端に態度を180度変えて迫ってくる第一王子をうざいと思うフラン。
王子にまとわりつく聖女、
更にもともとアプローチしているが全く無視されている第二王子とシスコンの弟が絡んできて・・・・。
ハッピーエンド目指して書いていくので読んで頂けると幸いです。


私の

3番人気の作品はこちら

『モブですら無いと落胆したら悪役令嬢だった~前世コミュ障引きこもりだった私は今世は素敵な恋がしたい~』https://ncode.syosetu.com/n8311hq/

私の

4番人気で100万文字の大作の作品はこちら

『皇太子に婚約破棄されましたーでもただでは済ませません!』https://ncode.syosetu.com/n8911gf/



最新の短編作品はこちら

『婚約破棄されやけ酒飲んでると軽い男が声かけてきたので張り倒したら、何故か執着されました』https://ncode.syosetu.com/n2191kg/

このお話の前の話

『悪役令嬢に転生させられた地味令嬢ですが、ヒロインの方が強くて虐められているんですけど……』https://ncode.syosetu.com/n7240kb/

新作

『恋に破れた転生王女はツアコンを目指します』https://ncode.syosetu.com/n7707kp/


この前の作品はこちら

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ