真の聖女視点 皇帝に剣で地面に縫い付けられ拷問にかけられていたのをユリアの三兄に助けてもらいました
「ギャーーーー!」
私は私の体を走る激痛に悲鳴を上げていた。
あの皇帝、絶対に許さない!
そう思ったときだ。
「ギャーーーー」
私の体をまた激痛が走った。
私は真の聖女様だ。
当然自らをヒールで治すこともできるし、聖女は自己治癒能力もあるので傷ついても勝手に治ってくれる。
赤い悪魔に斬られたときも、私は即座にヒールした。
当然体はすぐに治った。
「ほおおおお、この女は面白いな。自ら治せるのか」
皇帝がそれを見て笑ってくれた。
「そうよ。私は聖女様なのよ。聖女様を殺すことなんて普通の人間にはできないわ」
私が自慢していってやったのだ。
それが間違いだった。
「ふんっ、そうか。その威勢がいつまで続くかな」
「えっ」
そう言うと皇帝は剣を無造作に抜くと、慌てて逃げようとした私に背中から、突き刺してくれたのだ。
「ギャーーーー」
私は痛さに悲鳴を上げた。
そのまま皇帝は私を押し倒して、私が動けないように地面に剣で突き刺して縫い付けてくれたのだ。
「ギャーーーー、助けて」
私は激痛にのたうち回りたくても地面に縫い付けられて動けなかった。
しかたがないから皇帝に助けを求めのたのよ。
「余に対する言葉が悪かったと認めるか」
「認める!」
「はああああ」?
「認めます。認めますからこの剣を抜いてください」
体に激痛が走るから私は必死に頼み込んだのだ。
「余に謝れ。二度としませんときっちりとな」
「陛下。変なことを言ってすみませんでした。もう二度と逆らいません。お願いですからこの剣を抜いてください」
私は死にもの狂いで頼み込んだ。
でも皇帝は何も言ってくれない。
「お願いします。お願いしますから陛下、抜いてください! ギャーーーー、痛い!」
私は激痛にさいなまれながら、皇帝にお願いしたのだ。
「ふんっ、余が決めた公国の聖女は役立たずなのか」
「いえ、聖女様は真の聖女様です。逆らった私が悪うございました。どうかお許しください」
私はもうなりふりなんて構っていられなかった。
こんな生き地獄のような状態に留めておかれるのだけは嫌だった。
私は靴を舐めろと言われたら舐めただろう。
「あっはっはっはっは、何だ。聖女ともあろう者がプライドは無いのか」
皇帝が笑ってくれた。
本来なら文句を言ってやるところだが、この痛みが酷くてそれどころでは無かったのだ。
「皇帝陛下。お願いします。お願いしますからこの剣を抜いてください。プライドなんてございません」
私は涙目で皇帝を見上げたのだ。
「ふんっ、気付くのが遅かったな」
「えっ?」
私は皇帝が何を言ったかよく判らなかった。
「悪かったと謝ったら許して頂けると陛下はおっしゃられたではありませんか!」
「甘いわ。余は許すこと無い」
「そんな!」
私は絶望が襲った。
「謝ったじゃない!。謝ったから許してよ」
「舐めるな!」
そういった私の顔を皇帝が蹴り上げてくれた。
「ギャーーーーー」
私は悲鳴を上げた。
顔も痛いし剣の突き刺さっている腹も痛い。
「私に一度でも逆らったことを一生後悔するが良い」
「そ、そんな!」
「尤もいつまでその方が我慢できるか判らんがな。自己治癒能力もいつまで続けられるかな」
面白そうに皇帝は言って去って行こうとした。
「ちょっと、お待ちください。陛下、お慈悲を! ギャーーーーー」
私は泣き叫んでいるのに、冷酷非道な皇帝は私をおいて去って行ったのだ。
それから私はずっとこうだ。
突き刺さった剣の周りが自己治癒能力が作用して治癒しても、その度に激痛が走るのだ。
1分間隔でこのようなことになって私はほとんど寝れなかった。
本当に悪魔の拷問だった。次に皇帝にあったら絶対に一寸刻みにして殺してやる。
これで死んだら絶対に皇帝の枕元に立って呪ってやる!
私は誓ったのだ。
どれだけの時間が経ったろうか?
「どうした?」
私の前に剣術大会ではいつもユリア相手に棄権ばかりするユリアの兄のフランツを見つけた。
私はその男が天使に見えた。
「フランツ助けて!」
私はフランツに頼み込んだのだ。
「何でお前この状況で生きているんだ?」
「どうでも良いからこの剣を早く抜いてよ。お願い! ギャーーーーー」
こいつも私に何か約束させてからしかやってくれないのか?
私は絶望しそうになった。
「仕方がないな。抜けば良いんだな」
親切なことにフランツは条件をつけずにそう言うとフランツは私の体に足をかけたのだ。
「えっ、何するのよ?」
「黙ってろ」
「ギャーーーー」
フランツは私の体を踏みつけると、ぐいっと剣を抜いてくれたのだ。
抜いてくれるときに激痛が走った。
でも、フランツは確かに剣を抜いてくれたのだ。
傷が聖女の自己治癒能力で治っていく。
助かった!
私は本当にほっとした。
私はフウフウ息をしていた。
目から大量の涙が出てきた。
「だ、大丈夫なのか?」
フランツは心配して私の体の横にしゃがんでくれた。
そして、私を抱き起こしてくれた。
「フランツ、有難う。本当にありがとう」
私はなりふり構わずフランツに抱きついていた。
フランツはぎょっとしたみたいだが、私は助かった喜びと今までの苦しさに正常な判断も何もできなかった。
「えーん、フランツ、痛かったよーーー」
フランツの腕の中で幼児みたいに声を上げて泣き尽くしたのだった。
最初は驚いていたフランツだったが、最後はよしよしと私の背中を撫でてくれた。
私は安心したのかそのまま寝てしまったのだった。








