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皇帝が魔王になってしまいました

 私は皇帝の攻撃でやられてしまった。


「ユリア!」

 倒れようとしたところをお兄様に抱き留められていた。


「お兄様!」

 私はほっと安心した。

 お兄様の腕の中は安心できる。

 まだ大丈夫だ。


「ちっ、あの攻撃ではその方は死ななかったのか」

 黒い椅子に座った皇帝が舌打ちした。


「貴様、実の母だけでなくユリアの命も狙ったのか!」

 お兄様が激怒したが、


「ふんっ、実の母だと馬鹿馬鹿しい。余を庇うなど1万年早いわ。実の母など余を産んだ道具に過ぎん。今更名乗り出られても迷惑なだけだ」

 皇帝が吐き捨てた。

「貴様、それで実の母を殺したのか?」

「何を言う! 元々此奴は、怒り狂ったそこの小娘に斬り殺される為にここに来させたのだ。『娘の命を助けてほしい』と命乞いする実の母を殺されて仇を討つと叫んでいるこの小娘に、『我が子の命を助けてほしい』と命乞いする女を殺させてやればこれほど良い復讐劇はなかろう?」

 皇帝はニタリといやらしい笑みを浮かべてくれた。


「私はそんなことはしないわ。よくもマイヤー先生を殺したわね」

 私はきっとして皇帝を見た。

「その女の演技が迫真に迫りすぎたのだ。お前が躊躇してしまったからな。これでは使い物にならん。本来我が子を愛する女を殺してしまった事で小娘が悩み苦しめばもっと面白いと思ったのだがな。それを止められた段階でこの女には用が無くなったのよ」

 皇帝はそう言うと足でマイヤー先生を蹴飛ばしてくれたのだ。


 何をするの!

 私はそれを見た瞬間切れてしまったのだ。


 怒り狂った私は杖を皇帝に向けて突きだしていた。


 杖から雷撃が皇帝を直撃する。

「ギャーーーー」

 皇帝が黒焦げになってそのまま椅子ごと後ろに倒れ込んだ。



 私はこれで全てが終わったと思った。

 安心したらまた皇帝に攻撃されたおなかが痛くなってきてお兄様の腕の中に倒れ込んだ。


「ユリア、大丈夫か?」

 心配して叫ぶお兄様に私は大きく頷いた時だ。


 私はとても不吉な予感がした。


「何だ?」

 お兄様も顔をしかめて周りを見た。



 いきなり中空に真っ黒な魔方陣が浮かび上った。


「なんなのこれは?」

 私が呟いたが、誰も判る者はいなかった。


 それは空の光を吸い込んで、周りは夜のように暗くなった。


 そしてその魔方陣めがけて暗黒の何かおどろおどろしい物が次々に集まってきた。

 それはお互いに衝突して合体し大きくなっていく。

 その暗黒の雲のはいつの間にか魔方陣を覆い尽くし、更に大きくなって渦巻いていた。


 そして、ピカッと光ると一条の真っ黒なおどろおどろしい物の奔流が凄まじい勢いで、こちらに飛んで来た。



 ドカーーーーーン

 その黒い奔流は皇帝の遺体を直撃した。


「キャーーーー」

 私達はその爆風に弾き飛ばされた。


 ダンッ!

「うっ!」

 地面に激突するところをお兄様が庇ってくれる。


 バシン、ドシン、ダダン

 お兄様が呻くがそのまま転がっていく。

 私はお兄様に庇われながら何回もぶつかって転がった。

 でも、100%私を庇うなんて出来る訳もなく、私も結構地面に体を打ち付けていた。


 やっと止まった。


 私がほっとした時だ。



 ピシリ!

 空気が変わった。


 それも良い感じじゃない。

 とても悪い奴がいる感じだ。


 黒い渦の中央部に何かいる。


 黒い霧が急激に真ん中に収束した。


 そして、そこにはどす黒い顔をした何かがいた。


「わっはっはっはっは」

 大きな笑い声が辺りに響いた。

 この声は皇帝のダミ声だ。


「えっ、生きていたの?」

 私は驚いた。雷撃の直撃だったのに!


「はっはっはっは、愚かな小娘よ。余は一度死んだのじゃ。貴様の雷撃によってな」

 真っ黒な皇帝はこちらを見た。

 表情もない。でもなんかとても嫌な感じだ。


「じゃあ、あなたは何なのよ?」

「余は魔王じゃ!」

「えっ、魔王!」

 皇帝の口からは初代皇帝陛下と聖女様が倒したと言われている伝説の魔物の王の名前が出てきた。


「き、貴様、皇帝を名乗りながら魔物に体を売ったのか?」

 お兄様が叫んでくれた。

 本当だ。皇帝が魔物になるなんて信じられなかった。


 初代皇帝陛下は初代聖女様と魔王を滅ぼし、この地に国を建てたと伝説があった。

 伝説だと思っていたら実際にいたんだ。

 魔王って伝説上の生き物ではなかったんだ!


「はっはっはっは! 10年前に皇帝を殺してその地位を父が引き継ぎ、余がすぐに引き継いだが、皇帝など、法に縛られて中々好きには出来なかった。

 それよりは魔王になって魔物に世界を支配させる方が余程楽しかろうとこの10年間ずっと研究してきたのだ。丁度貴様等が多くの者を殺してくれたのでな。その死んでいった者達の魂を依り代に魔王を復活させたのだ。

 我がシナリオでは小娘がマイヤーを殺して、殺したことに後悔して涙するその方を取り込もうとしたのだが、そこまではうまくいかなかったがな……最後は妹を殺されて怒り狂ったそこの兄に余を殺させて魔王が復活するという予定だったのだ」

 魔王になった皇帝はそう言うと私達を睨んでくれた。


「もう貴様等も必要はなくなった」

 そう言うと魔王は笑ってくれた。


「死ね」

 魔王が手を私達に向けると真っ黒な奔流が私達に向かって飛んで来た。


 私は必死に障壁を張ったが、そんな障壁は魔王の前には何の防ぎにもならなかった。

 一瞬で障壁を破壊されると魔王の攻撃が私達に命中し、私達はボロ雑巾のようにはじき飛ばされていた。
















ここまで読んで頂いてありがとうございます。

ついに皇帝の奥の手が発動して皇帝が魔王になってしまいました。

ユリア達に勝ち目はあるのか?

続きは今夜です。

お楽しみに

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私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

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