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皇帝をやっつけようとしたら礼儀作法の先生が私の前に立ち塞がりました

 私を左手に抱き上げたお兄様は急いで駆けてくれた。

 そのまま、加速してくれた。

 ビューンと一気に加速する。

 騎士達を引き離してどんどん駆ける。

 目の前に見えていた気味の悪い黒い山がどんどん迫ってきた。


 そして、遠くに馬車を守っている騎馬の集団を見つけた。

 その馬車は真っ黒な小山を頂上目がけて登っていた。


「ユリア、雷撃だ」

「判ったわ」

 私はお兄様に頷くと

「行っけーーーー」

 と杖を振り下ろした。


 ピカッ


 ゴロゴロドシーーーーン!

 大きな雷撃が私の杖から飛び出して、集団を直撃する。


 騎士達は黒焦げになって吹っ飛び、馬車も弾き飛んだ。


 壊れた馬車からは血まみれの皇帝が降り立つのが見えた。

 皇帝はゆっくりと頂上に向かう。

 そして、何故かその山頂に置かれていた、黒い椅子に座り込んだ。


「ヴィクトール、ここまでだ」

 お兄様が皇帝の前に立つと剣を構えた。


「ほおおおお、ホフマンのガキか、早くもここまで来たのか」

 皇帝は感心したようにお兄様を見た。

「お前達に負けた役立たずの四天王よりも余程役立ちそうだな。

 どうだ? 余の配下にならぬか?」

 皇帝はとんでもないことを言いだしてくれた。


「余の配下になれば副皇帝にしてやっても良いぞ」

「ふんっ、何を言い出すかと思えば、笑止だな。俺はユリアーナ皇女殿下の部下だ。貴様の配下になることなどあり得ん」

 私はお兄様が胸を張って断ってくれてほっとした。

「ほおおおお、貴様は女の配下になって我慢できるのか?」

 皇帝は馬鹿にしたようにお兄様をみてくれた。

「別に、ユリアは俺の可愛い妹だ。何も問題は無い」

 お兄様はそう言うと私を見た。

「ユリア、お前の両親と祖父、伯父夫婦を殺すように命じた悪逆非道の反逆者ヴィクトールだ。お前が冥途に送ってやるのが良かろう」

 そうだ。こいつは私の両親を殺すように赤い悪魔に命じた張本人だ。

 私自身会ったことはないが、祖父や伯父夫婦も殺すように命じた悪の元凶だ。

 両親の真の仇はこいつだ。

 私は杖を構えた。


「ほおおおお、その方が余を殺すのか? 抵抗も何もできない余を」

 皇帝の声は何故か悲しそうだった。

 そんな声に騙されない。こいつのせいで何万、いや、下手したら何十万人という貴族や獣人が殺されたのだ。

「まあ、良かろう。その方の母が死ぬ間際に赤い悪魔に言っていたそうだぞ。私のからだを差し出すから頼むから娘の命だけは助けてとな」

 そう言われた瞬間、私の怒りは膨れ上がった。

 こいつだけは許さない。

 私は杖を突き出してまさに雷撃しようとした時だ。


「やめて!」

 いきなり目の前に黒い服の女性が現れたのだ。

 女性は私と皇帝の間に大きく手を広げて立ち塞がった。


 私はその人物を見て驚愕した。


「ま、マイヤー先生!」

 何故マイヤー先生がここにいるの?

 何故皇帝を庇う?

 私は全く理解できなかった。


「ユリアーナさん。この子を殺すなら私を殺しなさい!」

「えっ?」

 私は固まってしまった。


「こ、この子って?」

 マイヤー先生が皇帝をこの子って言った! 

 私は訳が判らなかった。


「何をしている、マイヤー、何故その方がヴィクトールを庇う?」

横からお兄様がマイヤー先生に尋ねてくれた。

「何故って、それはこの子が私がお腹を痛めて産んだ子だからよ」

「「えっ?」」

私とお兄様は絶句していた。

「ユリアーナさん。あなたのご両親を殺させたヴィクトールが憎いのは判るわ。でも、この子は私の子供なの。この子が憎いなら私を殺しなさい。お願いだからこの子を許して!」

マイヤー先生は必死に息子の命乞いをしてきた。


「私と前皇帝陛下は恋仲だったけれど、それは叶わぬ夢だったの。でも、私はこの子を身ごもってしまったのよ。人知れず生んで育てようと思ったときに、この子を前皇帝陛下が引き取ってくださったのよ。

 でも、私はこの子に何もしてやれなかった。名乗ることもできずに、この子が異母兄に虐められている時も慰めることさえできなかった。この子は義母とその息子に散々虐められて、性格が歪んでしまったの。私は礼儀作法の教師としてこの子を見ることしかできなかったのよ。お願いユリアーナさん! 憎いなら、この子の代わりに私を殺して! この子を許してあげてほしいの!」

「えっ⁈」

私に向かって必死に息子の命乞いするマイヤー先生の姿は、私の両親の姿と重なった。

私はあっけにとられてしまった。

こんなの何もできない!

どうすればいいの?


私が固まってしまったときだ。


ズブッ

私の前に立っていたマイヤー先生の胸を突き破って真っ黒な悪意の塊が飛んできた。

それは私の障壁を突き破って私のお腹にも突き刺さった。


「えっ?」

「ヴィクトール!」

驚愕した顔のマイヤー先生がゆっくりと倒れた。

それはスローモーションを見ているようだった。

私は何が起こっているか理解できなかった。


私のお腹から血が噴き出した。

頭がクラクラして私はゆっくりと倒れたのだった。


驚愕の事実が判明

皇帝の母はなんとマイヤー先生でした!

しかし、その実の母もろともユリアを殺そうとした皇帝。

皇帝の最後の逆襲が始まります。

ユリアが倒れ、お兄様はそれを救えるのか?

続きは明朝です。

お楽しみに!


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私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

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