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皇帝の独り言 反逆者共は見せしめの刑に処することにしました

 俺は遠くから騎士団が小娘によって殲滅させられるのを見せつけられていた。


「何故、小娘の雷撃を防げん? 障壁も禄に張れんのか?」

 俺は呆れて聞いていた。

「中央第16騎士団ですな。近頃実戦が少なかったですからな。少し弱いのかもしれません」

 クレーメンスが教えてくれた。

「アーベル、クレーメンスはそう申しておるが」

「そうみたいですな」

 こいつも他人事のように言ってくれるが

「お前がそう指揮官だろうが」

 俺は少しむっとして叫んでいた。

「申し訳ありません」

 アーベルが頭を下げてきた。

 しかし、少し不満そうだ。

 次の騎士団は今度は斬撃にやられていた。

 先日小娘にやられたの辺境騎士団といい、本当に騎士団も弱くなったようだ。


「陛下、大変です。北部の国境の街が魔物に占拠されました」

 エグモントが報告してきた。

「何だと、そちらは北部辺境騎士団が守っていたはずだろう」

 後ろのアーベルが呟いていた。

「それがホフマン家から派遣されていた部隊が手を引きまして、抑える者が少なくなったところを魔物達に突かれたようです」

 エグモントが答えていた。

「北部の騎士共もふがいないことだな」

 俺は後ろのアーベルを見た。

「アーベル、訓練が足りなかったのではないか?」

「いや、北部はエルネスタだろう!」

 俺の指摘にアーベルが反論してくれた。

「何を言っている。貴様が全軍の総指揮官では無いか? それに今更死んだ人間のことを言っても仕方があるまい」

「それはそうだが……」

 俺の指摘にアーベルは不満そうだ。


 まあ、そうなるだろう。そもそも四天王達は組織で動くのが苦手だ。

 四天王に組織を見させるのが間違いなのだ。

 まあ、それをさせている俺が悪いのだが……


 そんな中でアーベルは中央の騎士団をよくまとめているとは言えた。


「申し上げます」

 またそこに別の伝令が駆け込んできた。

「どうしたのじゃ?」

 エグモントが誰何していた。

「はっ、東部のメンデルスゾーン辺境伯が反逆いたしました」

「な、何だと」

 周りの連中は驚愕していた。

「ハンブルクのホフマン公爵と共同して一気に帝都になだれ込んでおります」

「彼奴め。ついに血迷ったか」

 アーベルが歯ぎしりしていた。

「あっはっはっはっは! アーベル。ハンブルクの国境はお前の担当だったよな」

 俺は笑って言ってやった。

「はっ、申し訳ありません」

 さすがにアーベルが頭を下げてきた。

「いかがされますか、陛下?」

 エグモントも少し青くなっていた。

 周りの連中の顔色も白い。こいつらも本当に軟弱になったものだ。


「どうするもこうするも仕方があるまい。まずは目の前の小娘を殺すことだ。それで全てが収まろう」

 俺は余裕の顔で言ってやったのだ。


 どいつもこいつも肝っ玉の小さいことだ。

 小娘さえ始末すれば前々皇帝の子種は全て潰える。

 後は俺に成り代わって皇帝になることの出来る奴はいないのだ。

 反逆すれば別だが……


「旗印さえ殺せば後は自然に瓦解するであろう。まず、ユリアーナの首を取れ! これは責任を取ってアーベル貴様に任すぞ」

「判りました。どんなことをしてもその命取りましょう」

 アーベルが頷いてくれた。

「ふんっ、まあ、生きたまま、余の前に連れてきても良いぞ。さすれば余自らが処刑してやる」

 俺はほくそ笑んだ。


 助けてほしいと泣き叫ぶクラウディアの小娘を処刑してやっても良い。

 そうか、裸に剥いて散々慰み者にして首を刎ねるのも良いかもしれない。

 元々俺の元に来るのを拒んだクラウディアがその護衛騎士と駆け落ちしたのが悪いのだ。


 俺の笑みを見て周りの連中は少し青くなっていた。


「よし、第一騎士団を率いていけ!」

 俺は命じていた。

「はっ」

 アーベルは俺の前から出ていった。


「クレーメンス」

「はっ」

 俺の前に黒い死神が跪いた。

「貴様はその兄を殺して参れ」

「判りましてございます」

「生け捕りにしてきても良いぞ。命乞いする妹の前で惨殺するのも一興だからな」

「陛下も趣味が悪いですな」

 そう言って黒い死神は笑ってくれた。

 こいつも戦場で同様な虐殺を繰り返してきたのだ。

 そういうのは得意だろう。それが黒い死神たるゆえんだ。


 最近、俺も少し甘くなっていたのかもしれない。



 俺がここまで歪んだ性格になったのは、元々俺を虐めてくれた異母兄と義母だが、俺に止めを指してくれたのは俺が心を寄せていたクラウディアだった。

 一生懸命根回しして、やっと婚約できるかと思ったところで、その護衛騎士と駆け落ちしてくれたのだ。

 俺は逃げられた男と周りの大人達から散々馬鹿にされた。もっともその時に俺を馬鹿にした男達は親父が帝位に就いた時に皆処刑してやったし、女達は娼婦に落として娼館に売りつけてやった。その中の見目麗しい女達の一部は側室や愛人にしてやった。


 まあ、俺に反逆してくれたのだ。基本は公開処刑だろう。

 そうか、俺の子供を孕ませてやっても良いが。

 そうすれば死んだクラウディアは歯を食いしばって、悔しがるであろうか?

 アーベルにはクラウディアは生きたまま連れてこいと命じたのに、クラウディアは最後は自害してくれたそうだ。そこまで俺の事は嫌っていたらしい。


 まあ、小娘を捕まえてから考えよう。

 残りの奴らは二度と他の者が俺に反逆しないように懲らしめてやるわ!

 男どもは処刑に女どもは兵士に下げ渡しても良かろう。

 俺はその光景を想像してニタリとほくそ笑んだのだ。


冷酷非道悪逆皇帝の神髄発揮となるか?

ついにユリアとお兄様の前に帝国四天王が立ち塞がります。

続きは今夜。

お楽しみに!


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