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姉視点 自分の目的のために、ユリアを王太子と会わせることにしました

「お姉様、お帰りなさい」

でも怒り狂って帰ってきたら、玄関でユリアがピーちゃんと出迎えてくれたのだ。

ピーピー鳴いて私に手を伸ばす、ピーちゃんに思わず癒やされて、私はユリアには何も言えなかったのだ。

「ピーピー」

ピーちゃんは私の持っていた箱を可愛い鼻でつついたのだ。


王宮から帰る時に王太子殿下から渡されたのだ。

「リーゼの妹はお菓子が好きだったろう」

と言われて。


「まあ、ピーちゃんはこのお菓子が欲しいの」

「ピー」

ピーちゃんが鳴いて、その横でもユリアがニコニコしているんだけど。

なんか、クラウスからユリアへの土産だ思うとむかついたけれど、食べ物に恨みはないし……私は王宮でもらったお菓子だった。



「仕方がないわね」

私がピーちゃんにその箱を預けようとすると

「ピー」

「お姉様ありがとう」

二人して箱を持ってどこかに行ってしまったのだ。


ユリアとピーちゃんは私が持っていたお菓子が目当てだったみたいだ……


何なのよ! もう!




その後でエックお兄様に文句を言ったら、

「お前は馬鹿なのか?」

 と逆に怒られてしまった。


「どこが馬鹿なのよ!」

 私が文句を言うと、

「ユリアは殿下から王宮に来たら毎日のようにこんなお菓子が食べられるよって告白されていたんだろ。食べ物で釣られたんだ。普通は食べ物に釣られやすいユリアは、少しでも殿下に興味があれば頷いているだろう。それをはっきりと断ったんだぞ。王太子には全く興味がないって事だろうが。お前が代わりに持って帰ってくれば何も問題ないだろう」

 確かに食べ物で釣られてユリアが頷かなかった試しはなかった。それを断ったていたのも事実だ。私がこうして持って帰っていればユリアがクラウスと会う機会もない。確かにエックお兄様の言う通りだ。


 まあ、食い物でユリアが釣られなかったのが、奇跡みたいなものだったが……これで良いだろう。




 今回、聖女が出てきた時に、お父様によると私との婚約破棄が取り沙汰されたらしい。聖女は今までの慣例から言って王家と婚約される場合が多いのよ。でも、かたくなに、クラウスはそれを拒否してくれたらしい。

 私は少しだけクラウスに感謝した。


「ユリアにも感謝しておけよ。王太子はお前と婚約破棄したら二度とユリアが話しかけてくれないんじゃないか、と恐れてお前との婚約を破棄しなかったそうだぞ」

 エックお兄様にそう言われてさすがのわたしもむっとした。


「何を怒っているんだ。聖女とただの公爵令嬢のリーゼと比べたら普通は聖女に軍配が上がるのをユリアが阻止してくれたんだぞ。ユリアに感謝こそすれ怒るのは筋違いだ」

 エックお兄様は容赦がなかった。

「でも、このままじゃユリアに婚約者の立場を奪われてしまうじゃない!」

 私が恐れて言うと

「それはない。ユリアは少なくとも今は兄上大好き人間だ。王太子のことは全く相手にしていないのは見れば判るだろう。それに王妃様はユリアを嫌っているだろう。だから絶対にユリアを自分の息子の婚約者にするのにうんとは言わないだろう」

 確かにエックお兄様の言う通りだけれど、何か釈然としないわよ。


「リーゼ、使える者は何でも使え! 少なくとも対聖女戦略において、ユリアは有力な戦力だ。勝手に聖女を攻撃してくれて、皆に怒られているんだから」

「だから、ユリアの味方をしてやれって言ったの?」

 エックお兄様からはユリアがもらってきた化粧水を王太子から王妃に贈らせるように、ユリアと王太子を会わせるように私が手配するように言われたのだ。私が嫌そう言うと、

「お前も公爵家の人間なんだから、いかに周りの人間を自分に有利になるように動かすかが大切だぞ。お前と付き合っていればユリアと会えると判れば王太子もお前を蔑ろにしない。それに絶対に王太子は兄上大好きなユリアに振られるから、その時にいかにうまく王太子の懐に入れるかだ。そのために、今からユリアにも王太子にも恩を売っておくんだ」

「判ったわ。でも、ユリアがお兄様大好きだからって将来的に二人が付き合うことになるの?」

 私は一応聞いてみた。

「さあな、少なくともユリアは今のところ兄上のことは人の良い兄貴分くらいにしか思っていないぞ。それよりは兄上だ。あれは完全にユリアを好いている。でないと自分の色の髪飾りを送ったりしないだろう」

「えっ、あれってお兄様、そういう意味だったの?」

 私はユリアの髪飾りをお兄様が自分の色を送ったとは想像だにしていなかったのよ。あの戦闘狂のお兄様が女の子に自分の色を送るようになるなんて思ってもいなかったわ。絶対に金ぴかだからほしいと言ってユリアがねだったと思っていたのに。


「いや、でも、お兄様がそんなこと考えるなんてあり得ないと思ったのに」

「俺が相談されたんだ」

「えっ、そうなの。また、ユリアが我が儘言ったのかと思ったわ」

「我が儘はお前だろう。俺はわざわざリーゼには王太子の色の髪飾りがいいと言って兄上にお前のを買わせたのに、それを地味だとか言ってけなすか! お前は王太子の婚約者になりたくないのか?」

エックお兄様が怒ってきた。


「えっ、あれってそういう意味があったの? お兄様がそんなこと考える訳はないと思ったからてっきりユリアが嫌みで買ってくれたのかと」

「ユリアがそんなこと考える訳ないだろう。あいつは美味しいデザートさえ食べられていたら満足なんだから」

 エックお兄様の言葉は容赦なかった。まあ、それは完全に事実だ。


「だから、明日はよろしくやれよ」

「判ったわ。エックお兄様。ありがとう」

 私はエックお兄様にお礼の言葉を述べた。

ユリアと殿下のことは少しむかつくけれど、聖女に対抗するにはユリアは重要な戦力だった。力的にも王太子的にも。最後は私が王太子妃になれれば良いのよ。


 今はじっと我慢だと私は自分に言い聞かせた。


ここまで読んで頂いてありがとうございました。

次はユリアを王太子に会わせます。

果たしてどうなるのか?

続きは今夜です。


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私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

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