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公爵家三男の叫び 妹のペットに命じられて何故か先頭の弾よけに使われているんだが……

「ピーーーー」

 クッキーを食べるだけ食べたピーちゃんは背伸びをしてくれた。


 とりあえず四天王の一人は倒してくれた。

 でも、ここは帝都だ。

 いつまた、次の敵がやってくるか判らない。

 それにピーちゃんに古代竜が10匹も肢体を投げ出したのだ。

 周りの屋敷も甚大な被害に遭っているみたいだ。

 いつまでもここにいたら損害を請求されるかもしれなかった。


「よし、ピーちゃん、さっさとずらかろう」

 俺は兄上達を追いかけてハンブルク王国に向かおうと提案したのだ。


「ピー」

 でもピーちゃんは首を振ってくれた。

 どうしたいんだろう?


 まだ何か食い足りないんだろうか?


「ピー!」

 俺にはピーちゃんが食い足りないから食い物もってこいと行っているように聞こえた。

「フランツ様。ピー様はユリアーナ様のように上手く四天王をやっつけられたから褒美のデザートを寄越せとおっしゃっているのではありませんか?」

 横から今まで隠れて出てこなかったのに、四天王の一人が退治された途端に出てきたセバスが口を挟んできた。


「ピーーーー」

 ピーちゃんはセバスの言葉に大きく頷いてくれるんだけど。

 これもユリアの影響か……ユリアはそう言えばピーちゃんに仕事を与えて、それができる度にお菓子を渡していたような気がした。

 でも、残っていた非常食はピーちゃんが全て食べちゃったじゃ無いか!


「何か食べ物が残っていたか?」

「左様でございますな。非常食の乾パンならございますが」

「ピー」

 乾パンはピーちゃんのお気に入りでは無かったみたいだ。

 首を振ってくれた。


「そんなこと言ったって、非常食のクッキーはお前が食べたじゃ無いか」

「ピー」

 俺の言葉にピーちゃんは首を振ってくれた。


「食いものはもうないぞ!」

 俺が言うと

「ピー」

 と不満そうにピーちゃんが口を尖らせてくれた。


 本当にユリアそっくりだ。ペットは飼い主に似るって本当なんだな!

 俺が呆れた時だ。


「ピーーーー」

 ピーちゃんが遠くにそびえ立っている皇宮を指さしてくれたのだ。

「うん? また、何か来たのか?」

「ピッ」

 ピーちゃんは首を振ってくれた。

「うん、あそこに何かあるのか」

「フランツ様、ピー様はあそこに行けば食べ物があるとおっしゃっていらっしゃるのではありませんか」

 またしても余分なことをセバスが言い出してくれたんだけど。


「ピーーーー」

 ピーちゃんはセバスに頷いてくれた。


「おいおい、待てよ! 皇宮って言うと皇帝がいるんだぞ。それも帝国四天王に守られてだ。そんなところに行くのは俺は嫌だぞ」

 俺が逃げようとした時だ。

「ピーーーー」

 ピーちゃんがそう叫んでくれて、俺のズボンの裾を踏んでくれた。

 どてッと俺は転けた。

「痛い、何するんだよ!」

 俺は文句を言ったが、

「ピーーーー!」

 ピーちゃんは皇宮を指さして聞かないのだ。

 本当に食い意地の張った竜はユリアと同じでどうしようもなかった。


「こうなってはフランツ様もピー様と一緒に皇宮に行くしかないのでは」

横ですました顔でセバスが言ってくれるんだけど……

「おいセバス、何で俺が」冷酷皇帝の待ち構えている皇宮に行かないといけないんだよ」

「フランツ様。ピー様がそうおっしゃっていらっしゃるからしかたが無いでしょう。不肖このセバスもご一緒させて頂きます。フランツ様に万が一の時はその骨だけでも拾わして頂きますので」

「おいおい、俺はまだ死ぬ気はないぞ」

俺は必死に抵抗したのだ。

しかし、抵抗敵わず、そのまま皇宮に連れて行かされたのだった……



でも、連れて行かされるのはわかるのだが、何故俺が先頭に立って歩かないといけないのだ。


普通はピーチちゃんが先頭に立って歩けよ!

俺はピーちゃんに文句が言いたかった。


「ピー」

しかし、俺が後を振り返って文句を言おうとする度にピーちゃんが怒って前を見ろと言ってくるのだ。


俺、ピーちゃん、そして、セバス、黒竜、赤竜に、茶竜、その後に10匹の古代竜が歩く様は壮大というか、異常というか……

途中にある、検閲所を破壊して、横に広がっていたバルヒェット公爵家の建物を真正面から黒竜が破壊していた。

もう厄災級だ。


「撃てーーーー」

魔術部隊と弓隊が出てきてこちらを攻撃してくれるんだけど、ピーちゃんは攻撃されてもびくともしなかった。

当たっても弾き飛ばすし、なんかバリアか障壁出しているみたい。


でも、俺の所は平気で当たるんだけ……


ドカーン、ドカーン

最初は剣ではじき返していたけれど、だんだん厳しくなって……


ズブ

「痛い!」

避けきれない、矢が左手に刺さった。

ドカーン

しまった。

痛くて気が緩んだら今度は魔術が命中した。

俺は黒焦げになってしまった。


駄目だ。

「もう終わり!」

俺はそう言うとドテッと転けたんだけど。


「ピ----」

俺のそばにピーちゃんが来てくれた。

やっと先頭変わってくれるの!

俺が期待した時だ。

「ピーーーー」

ピーちゃんは俺の尻を叩いてくれたんだけど……

そして、前向けって言ってくれるんだけど……

俺がまだ力が残ってるの判っているの?

いや、もう面倒くさいから……

それに王宮に行く前に逃げ出したいんだけど……

「ピーーーーー」

でも、怒ったピーちゃんの前に俺は逃げ出せなかったのだ。









どうなるフランツ。

捕虜みたいに先頭歩かされて、四天王の前に最初の生け贄にされるのか?

続きは明日です。

お楽しみに!

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