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姉視点 型破りな妹にはとても苦労させられました

 私はリーゼロッテ、ホフマン公爵家の長女よ。


 もっとも私が4歳になるまでは、末っ子でとても甘やかされて育ったの。それが4歳の時に青天の霹靂で、いきなり妹が出来たのよ。それも一つ違いの……


 お父様の隠し子という話が出て、私には信じられなかった。私はお母様の事はほとんど覚えていないけれど、とても優しいお母様だったそうだ。私を産んでから体を壊して寝込んでいたお母様は1年後に亡くなったそうよ。そのお母様を裏切って、隠し子を作っていたなんて許せなかった。お父様は違うと否定したけど、皆はそんなのは嘘だと言っていた。いくら妹の母が死んだとはいえ、そう簡単に隠し子なんて認めるわけにはいかなかった。


 しかし、妹は人懐っこくってあっという間にあの気難しいお兄様をろう絡したのよ。信じられなかったわ。もっともお兄様はそれに気をよくして、いきなりその子を公爵家の試練に連れていくと聞いて私は開いた口が塞がらなかった。

 その子も馬鹿だわ。お兄様の言うことを聞いて、公爵家の試練に立ち向かうなんて。

 生きて帰ってこれたら良いけど……


 しかしだ。驚いたことにその子は公爵家の試練を乗り越えてしまったのよ。

 可愛い、子竜のペットまで連れて帰ってきたわ。私には信じられなかった。それから、女にも関わらず、お兄様の死の特訓に付き合わさせられて泣いていたけれど……

 もっと泣けば良いのに! と思ってしまったのは秘密よ。


 しかし、その子に懐疑的だったエックお兄様もフランツお兄様もどんどんその子の味方になっていくの。


「エックお兄様は酷いわ。どこの馬の骨とも判らない異母妹のユリアと実の妹の私のどちらが良いと思うの?」

 私は2番目の兄に泣きついてみた。普通は同じ母の私だと答えるはずなのに!


「そんなの、ユリアに決まっているだろう」

 でも、2番目の兄はとても現実主義者だった。


「お前と一緒にいても兄上の特訓が厳しくなることこそあれど楽になることはないが、ユリアといれば楽になるんだぞ。当然俺はユリアを取るに決まっているだろう。フランツなんてユリアを兄上の弾よけに使っているしな。席も兄上の隣でなくなったから、兄上に叩かれることが減ったと喜んでいる始末だし、ユリアよりもリーゼを贔屓にしても良いことは何もないだろう」

 エックお兄様の言葉は私には衝撃的だったわ。


「そんな、エックお兄様は酷い!」

 私は少しは有効かなと思って嘘泣きしてみた。


「何を下らないことをしているんだ。お前も少しは自分のプラスになることを考えたら良いんじゃないか」

 あまりにも私が可哀相になったからかもしれないが、エックお兄様は私にアドヴァイスをくれた。


「ユリアを私のプラスにするの? どうやって?」

「礼儀作法の授業を一緒に受けさせたら良いんじゃないか?」

「えっ、マイヤー先生の授業なんか出ても、あの子が先生に認められる訳ないでしょう」

「お前は認められているのか?」

 エックお兄様に言われて私は絶句してしまった。そうだ。マイヤー先生は幾ら私が頑張っても認めてくれなかったわ。

 でも、ユリアを一緒に受けさせたら私を認めてくれるかもしれない。


 私はお兄様の死の特訓を少し嫌がっているユリアにその話を振ってみたのだ。

「あなたも淑女らしい生活に少しくらいは興味がないの?」

 その一言にあっという間にユリアは食いついてきた。

 文句を言いそうなお兄様はお父様に抑えさせて、ユリアを授業に連れて行ったのよ。

 案の定、ユリアはマイヤー先生にめちゃくちゃに怒られていたけれど、そのお陰で私が褒められることも多くなったわ。延々と補講させられるユリアは可哀相だったけれど、ユリアも公爵家の人間になったのだから礼儀作法も必要よ。


 でも、そうやって、酷い目に合わせたからだろうか、なんと王宮のお茶会で王太子がユリアに興味を抱いてしまったのよ。本当に最悪だったわ。


 王太子殿下の婚約者と側近の選定お茶会に私達兄弟は皆呼ばれていたのよ。もちろん本命は私よ。後の兄妹達は私の引き立て役のはずだったのに! お兄様達は王宮に着くなり騎士団のに訓練場に行くなんて言い出したのよ。まあ、お兄様はいたら何するか判らなかったから、いなくなってくれるのは心配事が減るから良いんだけど、全員いなくなるのはさすがにまずいわよ。仕方がないからユリアだけはデザートで釣って残したのよ。

 でも、ユリアは何と戦闘服で付いて来てくれたのだ。まあ、私の引き立て役だからそれで良いと思ったのが間違いだったわ。なんと、ユリアはいけ好かない王妃の護衛騎士を一撃で倒してくれたのよ。

 顔だけ男をよく思っていなかった陛下やお父様達は拍手喝采していたわ。その中に何故かクラウス様もいたの。ユリアは騎士を倒した後は、王宮のお菓子をそれは幸せそうに食べていて、その無邪気な姿にクラウス様は惚れたんだと思うわ。せっかく私の引き立て役になると思ったのに、主役の座を奪ってどうするのよ!


 事前にお父様からは内々定で私が王太子の婚約者に決まったっていわれていたのに、当日王妃様のお気に入りの護衛騎士を倒して、王妃様に睨まれるわ、クラウスに気に入られるわで、完全にユリアは主役だった。



 そして、王太子の婚約者に私が正式に決まった後で、散々王妃様からユリアのことで嫌みを言われたのよ。

「あなたが可愛げがないから、クラウスはあんな剣術馬鹿女に惹かれるのよ」

 とか、

「もう少し女の魅力を出さないと妹にクラウスを取られるわよ」

 とかもう最悪だったわ。


私は王妃様に散々嫌みを言われて精神をけずられて屋敷に帰ったの。


帰ったら絶対にユリアに当たり散らしてやる。

私は心に決めたのよ!



怒りのお姉様の前にユリアはどうなる?

続きは明朝です

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私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

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しかし、フランはそもそも前世は病弱で、学校にはほとんど通えていなかったので、女たらしの王子の事は諦めて青春を思いっきりエンジョイすることにしたのだった。
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