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公爵家の力を使って友人を助けようとしたのに、お父様に反対されたので、2番目の兄に知恵を借りました

「マリア!」

 破落戸どもが倒れた後でマリアもゆっくりと倒れそうになって、慌てて私は支えたのだ。

 転生者であってもお兄様の威圧は耐えきれなかったみたいだ。



 それからが大変だった。


 騎士団が飛んで来て、破落戸どもを捕まえていったし、気を失ったマリアを介抱したり、慌てて出てきた当主のフルート子爵に助けてもらったお礼を言われたりしたのだ。


 その後、館で聞いたところによると、どうやらマリアは前世で記憶のあった化粧品を商品として開発したらしい。それを知り合いのお嬢様達に使ってもらっていたらボーケナ伯爵に見つかって強引にその化粧品を寄越せと言われて、断っているうちにあの手この手で伯爵家が手を回してきて今に至るそうだ。


「せっかく娘が開発してくれた物ですから。出来れば領地の利益のために貢献しさせたいのです」

 フルート子爵が話してくれた。今時代どこともに領地の経営は大変だ。ボーケナ伯爵のところの商会の契約書を見たら利益はほとんどなくなるそうだ。それは認められないだろう。

 断ってからボーケナの嫌がらせが増えて、果ては息子との婚約まで匂わせてきたのだとか。

「商品だけ手に入れたら、後は娘を婚約破棄してくるのは目に見えているので断っているのです」

 誠実そうなマリアのお父様はそう言って苦笑いしてくれた。でも、嫌がらせは日を増して酷くなっていて、手を焼いているのだとか。


「もう大丈夫ですよ。我がホフマン公爵家がフルート子爵家を守りますわ」

 私が喜んで申し出たのだ。マリアからはもっとゲームの事を聞かないといけないし、我が公爵家の傘下に入れば問題ないと思ったのだ。

「ねえ、お兄様」

「そうだ。そのような卑怯な手段に出るボケナス伯爵など気にすることはない」

 お兄様も言い切ってくれたのだ。鬼に金棒だ。

 もう私達の間ではボケナス伯爵に決まったのだ。


「しかし、相手は教会をバックに勢力を拡大しているのです。ホフマン公爵家にご迷惑をおかけする訳には」

「フルート子爵。教会が世俗のことに関与するなど、元々許されないことだ。奴らは神にさえ祈っていれば良いのだ。それを悪事に荷担するなど、許されることとではない。いざという時は天に代わって成敗するまでだ」

 お兄様は平然と言いきってくれた。お兄様なら本気でやりかねない。何しろ我が公爵家で一番の問題児なのだ。本当に教会を潰しても良いのかと私なら少しは躊躇するが……

 何しろお兄様は3歳の何も判らない私を公爵家の試練の間に連れて行ったくらいだ。怒り狂ったお兄様が暴走すれば、教会の聖騎士団なんて一撃で壊滅させられるし、怒り狂ったお兄様の前に王家も既成事実を認めざるを得ないだろう。


「いえ、しかし、公爵様も教会を敵にするのは戸惑われるのではないですか?」

「大丈夫です。今まで、お父様は私のお願いを聞き届けていただかなかったことはないので」

 そう、お父様に上目使いでお願いすればなんとかなると思う。駄目だったら、あとは頼りないけれど、クラウスを使えば良いだろう。最悪は陛下に頼んでもらえば問題ないはずだ。


 そのための付け届けは……

「マリア、その化粧水、申し訳ないけれど、2つくれない」

「それは問題ないけれど。何に使うの」

「賄賂を渡すところにはちゃんと渡さないと」

「賄賂って……」

 マリアが絶句したけれど、お姉様と王妃様に渡しておけばなんとかしてくれるだろう。

 私はそう思ったのだ。




「いかんぞ、ボーケナ伯爵家に手を下すことは許さん」

 私が太鼓判を押したのに、なんと、お父様が反対してきたのだ。

 私には信じられなかった。


「父上、なんと言うことを言われるのです。我が公爵家は悪をのさばらせて良いのですか?」

 お兄様が反論してくれた。そうだ。悪は退治しなければいけないのだ!


「伯爵家は今は教会の力を背景に色々やっている。教会は今、聖女が出たことを良いことに、力を伸ばしている。そんな所に手を出してみろ。リーゼの婚約がなくなるかもしれないではないか! 王家と婚約を結ぶことが我が母の悲願だったのだ。ここは問題を起こすところではない。良いな!」

 お父様はそう言いたいことだけ言うと、さっさと自分の部屋に入っていったのだ。

 信じられなかった。


「なんということだ。我が父とあろうものが、そこまで怯えるとは」

「まあまあ兄上、それだけ、ボーケナ伯爵家が力を持っているとの事でしょう。王都騎士団長のキンメル侯爵家がバックについているとの事ですから」

 エックお兄様が教えてくれた。

 

「なんだと、あのキンメル家か、なら、ますます引くわけにはいかないではないか!」

 お兄様が拳を握りしめた。キンメル家とホフマン家は建国以来武を競いあっている名門同士、何故か昔から仲がとても悪いのだ。まあ、我が公爵家が負けたことはないけれど……確か聖女のクラスにその息子がいたはずだ。



「エック、何か良い手がないか考えろ」

「エックお兄様お願い!」

 私もお兄様に頭を下げた。

「ええええ!、なんか面倒くさいんですけど」

 エックお兄様が嫌そうにした。


「このデザート上げるから、お願い」

 私がデザートの皿を差し出すと

「「「えっ?」」」

 皆驚いて私を見るんだけど、何故に?


「明日大雪になるんじゃないか」

「いや、大地震だ」

「津波が王都を襲うかも」

「世界がひっくり返るな」

 皆好き勝手に言ってってくれるんだけど……


「ちょっと、どういう事よ。私もお願いする時は大切なものを差し出すわよ。ねえ、ピーちゃん!」

 私がデザードを食べていたピーちゃんに言うと、ピーちゃんが必死にデザートを守ろうとするんだけど、ペットのデザートなんて取らないわよ! 信じられない!


「いや、判った。やってやるから、ユリアのデザートはいらないから」

「えっ、なんで?」

「そんなの、もしうまくいかなかってみろ。延々といつまでもユリアにこの件を盾に言い立てられるだろう。食い物の怨みは怖いからな。特にユリアは!

 何しろユリアはデザートをかけたら、目の色が変わるからな! 我が家の兄上に次ぐ脳筋で、絶対に無理だと言われた首席にすらデザート1年分がかかったらなってくれたんだから。怖くてそんなものもらえるか!」

 エックお兄様が飛んでもなく失礼な事を言ってくれるんだけど……


「ええええ! でも、デザートを渡さないでけちなお兄様は真面目に考えてくれるの?」

「ユリアと一緒にするな。すでにユリアが化粧水のサンプルはもらってきているんだろう。それを使えばなんとでもなるわ」

 お兄様が太鼓判を押してくれたので私はそれを信じることにしたのだ。


ここまで読んで頂いてありがとうございます

お父様の裏切り、しかしエックお兄様が早速悪巧みをしてくれます。

悪巧みが気になる方はブックマーク、広告の下の評価☆☆☆☆☆を★★★★★して頂けたら嬉しいです(*ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾


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私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

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