金色の魔女視点 想い人にキスされた単細胞男の歓喜の爆発で私の精神はズタズタに引き裂かれてしまいました
私は金色の魔女、グレーテル・ロンバート伯爵よ。
私は元々平民で、それも孤児だった。
孤児院は弱肉強食の世界で、体力の無い私は食べ物もなかなか食べられなかった。
いつも力の強い男の子達に取られていたわ。
その日も男の子が私のパンを取ろうとして手を伸ばしてきたの。
私は抵抗したわ。
「いやあああああ!」
と叫んでいたのよ。
その瞬間だった。
何かカチリと私の中で音がした。
そして、男の子は吹っ飛んでいたのだ。
壁に叩きつけられた男の子はピクリとも動かなかった。
「「「キャーーーー」」」
周りは阿鼻叫喚の光景になったわ。
私はその後すぐに魔塔に引き取られたのよ。
そこで私は魔術の訓練を受けることになったの。
私の得意な魔術は精神干渉魔術だったの。
人の精神に干渉して人を繰るのよ。
単純な人間ほど面白いほど繰れたわ。
私は人を繰るのに熱中したわ。
そんな私に目をつけてくれたのが、ヴィクトールだった。
彼は私の為に色々尽力してくれた。
私はそのお礼に彼のために働いたのよ。
私はヴィクトールに言われて皇太子宮に侍女として入り込んだの。
皇太子宮の情報をヴィクトールに流したわ。
私は相対した相手が何を考えているかも少しは判ったから諜報員としては有用なのよ。
そんな中、私はヴィクトールから皇太子の暗殺を指示されたわ。
皇太子の暗殺は思った以上に簡単だった。
その頃皇太子妃は皇太子の浮気を疑っていたの。
そんな皇太子妃を繰るのは簡単だったわ。
皇太子を毒殺すれば永遠に自分のものになると信じさせたのよ。
皇太子妃は喜々として皇太子を毒殺して自分も服毒して死んでくれたわ。
内々に処理されたけれど、これが皇太子毒殺事件の真相よ。
それからヴィクトールの皇帝就任まで、何人の男女を迷わせて殺したこたか?
単純な男ほど引っかかりやすかったわ。
そんな中で私はヴィクトールに抱かれもした。
愛人の一人になったのよ。
ヴィクトールは何人もの愛人を囲っていたけれど、大半は元政敵の妻とか恋人を脅して無理矢理ものにしていたわ。趣味の悪いことこの上なかった。まあ、私としてはどうでも良かったけれど。
そんな中で、ヴィクトールは今度は元皇女の一人娘を帝国に召喚したのよ。
何でも、アーベルが処分に失敗した女の子という話しだった。
本当にアーベルももう年ね。失敗するなんて。
でも、何故私まで帝国の学園なんて、ガキの遊び場に行かなければいけないのよ。
でも、その女の子は見た目は悔しいことに、私が見ても将来絶世の美女になるのは確実だと思えた。
今までは処分の対象としてしか見ていなかったヴィクトールの雰囲気が変わったのよ。昔その子の母親に懸想して振られて、出奔されたのを根に持っているみたいだし……
皇后がアーベルにその母親だけは何としても処分してきてと頼んでいたのを知っていた私は、皇后が何故そこまで処分を依頼したのかよく判った。
ヴィクトールの目はその子に釘付けだったのだ。
こんな小娘相手に天下の皇帝が何をしているのよ。
私は少し面白くなかった。
だから私は小娘の処分を進言したのよ。残って、皇帝がロリコンになっても困るしね。
皇帝が小娘に狂ってしまって、秩序が崩壊するのも嫌だった。と言うか、あの冷血なヴィクトールが一人に執着するのを見るのは気にいらなかったのよ。
私は小娘の国の王太子が小娘に懸想しているのを利用して焚きつけたのよ。
「その小娘を倒しなさい。そうすれば小娘はあなたのものになるわ」と
単細胞なその王太子は欲望むき出しにして小娘に襲いかかってくれたわ。
あと少しのところで失敗したけれど。
面白かったわ。
そして、今度はその小娘の義兄弟同士の戦いだった。
若い方は私が繰ろうとしても全然出来なかったけれど、年上の方は超単細胞みたいだった。
弟がその小娘を狙っていると思い込ませた後は単純だったわ。
怒り狂った男は弟を本気で殺しにいったのよ。
殺してくれたら、面白かったのに!
うまくはいかなかったわ。
でも、大丈夫よ。
「今度はあなたを思っているお兄様にあなたを殺させてあげる」
私はにやりと笑ったわ。
自分の想い人を殺した後の義兄がどう狂うかとても興味があったのよ。
でも、そんな私のもくろみは小娘が破廉恥な行動に出てくれたお陰で吹っ飛んだわ。
何と小娘は公衆の面前でその義兄にキスしてくれたのよ。
キスよ、キス!
高々キスなんだけど、単細胞な兄には刺激が強すぎたみたいだ。
その一瞬だった。それまでは「その小娘はあなたの小娘の敵よ」と暗示をかけていたのに
両手で顔を挟まれた瞬間、男の感情が飛んでしまったのよ。
小娘に見つめられて大の男が真っ赤になってしまったのよ。
私の精神干渉がその瞬間吹っ飛んでしまったわ。
更にキスされた喜びでその男の全ての感情が振り切れてしまったのよ!
精神干渉していた私を単細胞男の歓喜の爆発が襲ったのよ。
私には到底耐えられなかったわ。
「ギャーーーーー」
私は悲鳴を上げて生まれて初めて気絶したのよ。
頭の中は思い出したくもない青春時代の甘酸っぱい想いで満たされたのよ。
本当にもう最悪だった。
この子娘だけはどんなことがあっても処分すると私は決めたのよ。
ここまで読んで頂いてありがとうございます。
金色の魔女の次の手は?
続きは今夜です。








