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卑怯な三兄は、私との対戦を前にしてまたしても棄権してくれたのだった

 誰がクラウスにヒールをかけるかという問題がクリアされて、私はほっとした。

 クラウスも今はお姉様とピンク頭の膝の上で安らかに寝ていた。


「クラウスも手間ばかりかけさせて、本当にどうしようもないわね」

 私があくびをかみ殺して呟くと、

「ユリア、何を他人ごとにしているのよ」

「元はと言えば、あなたがクラウス様をこんなにした元凶でしょ」

 お姉様とピンク頭が切れだしてくれた。


 そう言えばクラウスを剣で弾き飛ばしたのは私だった。

 元々いやらしい笑み浮かべて私に向かってくるクラウスが悪いのよ!

 私はそう叫びたかったが、キレているお姉様相手に勝てる気がしなかった。

 ここは黙っているに限る。


「少しは手加減をしなさいよ!」

「本当に盛りの付いたメスゴリラじゃないんだから」

「誰が雌ゴリラよ!」

 さすがにピンク頭には反論したけれど……


「クラウス様を大怪我させたのはあなたでしょう。手加減できないのならば動物と同じよ」

「本当よ。動物園に帰れ」

「そんな!」

「本当に信じられないわ!」

「最低!」

 怒り狂って私に文句をいうお姉様には反論できずに……結局タッグを組んだお姉様とピンク頭の二人には言いたい放題言われただけだった……



 そして、副将のクラウスの件が片が付いたので、ついに最後の大将戦だ。


 三年E組の大将はフランツお兄様だ。

 フランツお兄様と言えば前期のハンブルクの剣術競技大会で、私を前にして棄権してくれた飛んでもお兄様だ。

 元はと言えば、お兄様が兄弟が試合で私に負けたらデザート一年分を私に譲らせてくれると約束してくれたのだ。これは全兄に適用されるということだったので、私は俄然やる気になった。


 なのに卑怯なフランツお兄様は私と対戦する前に棄権してくれたのだ。棄権は戦っていないので、戦いで負けたことにはならないとの詭弁だった。


 お陰でフランツお兄様はお兄様の逆鱗に触れたが、私へのデザート1年分は無くなったのだ。

 本当に信じられなかった。


 でも、昨日、お兄様に確認したらこの競技大会もその時のルールが生きているとのことだった。

 私は俄然やる気になった。


 それに今回は団体競技だ。

 フランツお兄様は3年E組の大将なのだ。今回はいくら何でも棄権することはないだろう。

 私は安心していた。

 私の目の前に出てきたフランツお兄様が、デザート1年分がネギを背負って歩いてきたように見えた。


 私は名前を呼ばれて前に進んだ。


 でも、ゲームが再開されるまでに随分長い時間が経っていたような気がした。

 普通は幾らけが人がいたとはいえ、すぐにゲームが進められるはずだったのに……


 私は少し不吉な予感が脳裏に浮かんだ。

 何かおかしい。

 そう言えば先程から私達が聖女と揉めている時に、フランツお兄様は審判の先生と色々と話し合っていた。ルールの確認か何かかと思って私はそんなに気にしていなかったが……

 それがまずかったのかもしれない。


 フランツお兄様の事だ。また良からぬ事を何か考えたのかもしれない。


 どんなユ卑怯なことを考えたんだろう?

 時々フランツお兄様はとんでもないことを考えるのだ。

 それによって私が悲惨な目に合わされなかったことなど無かった。

 私は何を言われるかと身構えた。


 それにフランツお兄様の顔がとても爽やかに見えるのもおかしい。絶対に何か良からぬ事を考えているに違いない。


「フランツ・ホフマンは棄権するとのことで、勝者、ユリアーナ・ホフマン!」

「えっ?」

 私は審判が一瞬何を言ったのか理解できなかった。

「三年E組の大将が棄権を言いだしてくれたのだ」

「ええええ!」

 再度審判の先生が説明してくれた瞬間、私は絶叫したのだ。


「どうしたのだ。君の勝利だからそれで良いだろう?」

 教師が驚いて私に尋ねてきたが、私は納得できなかった。

「フランツお兄様! 一度ならずとも2度までも私の前で棄権するとはどういう事ですか?」

 私は激怒していた。私のデザートが目の前から消えたのだ。これが怒らずにいられることか!


 その瞬間だ。

「や、やばい!」

 なんと卑怯にもフランツお兄様は教師の後ろに隠れてくれた。

「ちょっとフランツお兄様、審判の後ろに隠れるなんてどういう事!」

「先生。だから言ったでしょう。ユリアは食べ物が絡むと性格が更に凶暴になるんです」

「な、なるほど、確かにそうだな」

「ちょっと、フランツお兄様と先生! 食べ物が絡むと私の性格が凶暴になるってどういう事ですか?」

 私は今にも二人に飛びかかろうとしたいた。


「ユリア、試合に勝ったんだから、もう良いでしょう」

「そんな訳ないでしょう!」

飛んで来たマリアに言われたが、私は到底納得できなかった。

「ちょっと、、皆、ユリアを連れて帰るわよ」

マリアの合図にクラスの10人の男達が私を抱えるようにしてクラスに連れて帰ってくれたのだ。


「ええええ! そんな、私のデザート一年分が!」

 私の心の底からの叫びはクラスの連中に無視されて、私は強引に控え席まで連れ帰られたのだった。



ここまで読んで頂いてありがとうございました。

次は決勝戦です。

ユリアと戦うのはお兄様かそれともエックお兄様か?

続きは明朝です


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私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

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