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転生者の友人にいろいろと教えてもらっていたら急に馬車が止まりました

 それからまた、マイヤー先生に呼ばれて、

「あなたは一日に何回、私に呼ばれたら気が済むのですか?」

 と怒られたけれど、私は決して問題を起そうとしているわけではないのに!


 今回も俺が稽古をつけてやるってフリッツ先生が余計な事を言うから、お腹が減っていた私はさっさと終わらせようとして、ちょっと力を込めて模擬剣で殴っただけだし……

 お腹がすいていたから少し強く殴ってしまっただけなのよ!

 そんなこと言ったらまたお小言が長くなるから言わなかったけれど……


 やっと解放された時は一時間くらい経っていた。まあ、いつも先生にしたら短かったと思うけれど、お腹の減った私にしてみたらもう地獄だった。



 教室に戻ったら、もう帰ったと思っていたマリアンネが残ってくれていたのだ。私は感激した。

「わざわざ待っていてくれたんだ」

 私が声をかけると、

「あなたが残っていてほしいって言っていたんじゃない。公爵令嬢様に逆らえるほどフルート子爵家は強くないのよ」

 マリアンネはそう言うと、お菓子を出してくれたのだ。

「ありがとう。マリアンネさん。あなたって素晴らしいわ」

 私はお礼を言うとそのお菓子にむしゃぶりついたのだ。

 その様子を残念そうにマリアンネは見ていたけれど、同じ転生者なんだから無視しても良いだろう。

 それにそのお菓子は味も甘すぎもせずに本当に美味しかったのだ。


 私が人心地がついたところでマリアンネが自分の家に来ないかと誘ってくれたのだ。

 考えたら他の人の邸宅なんて行ったことがなかった。私は喜んでお呼ばれすることにしたのだ。私は自分の馭者に断ってからマリアンネの馬車に乗ったのだ。


「ユリアーナ様。お昼休みはお助け頂いてありがとうございました」

 馬車に乗ると早速マリアンネはお昼のお礼を述べだした。

 フルート子爵家の馬車は公爵家の馬車に比べたら小ぶりだったが、飾りもほとんどなくシンプルで実用的だった。


「クラスメートが困っていたら助けるのは当たり前よ。それよりも私のことはユリアって呼んでね。あなたの事もマリアって呼んで良い?」

 私の言葉にマリアは仕方なさそうに頷いた。

「ありがとう。そんなことよりもあなたは私を悪役令嬢って呼んだり、聖女をヒロインって呼んだりしていたんだから、転生者なんでしょ」

 私が質問するとマリアは私の姿を頭の上から足下まで見て、

「なるほど、悪役令嬢のあなたが転生者だったから悪役令嬢っぽくないのね」

 マリアンネはそう言ってくれたんだけど……


「ゴメン。私、前世は病弱で乙女ゲームなんてほとんどやったことなかったのよ。これってゲームの中の世界なの?」

 私が白状して質問するとマリアンネはまじまじと私を見てくれた。

「あなた、あんなに有名な『ハンブルクのピンクの薔薇』を知らないの?」

 完全に馬鹿にされてしまったんだけど……


 マリアによるとこの乙女ゲームは、マリア達のクラスでは皆やっていたほど超有名なゲームだったそうだ。孤児にいたアグネスが聖女の力を発現してヒンデンブルク男爵家に養女として迎えられたあと、王立学園に通うところからゲームが始まるのだそうだ。聖女は持ち前のかわいさと天真爛漫さで攻略対象を虜にしていくゲームで、その中で王太子ルートの時に、その婚約者の悪役令嬢のユリアーナが立ち塞がると聞いて私は驚いた。


「ちょっと待ってよ。私は王太子の婚約者じゃないわよ」

 私が文句を言うと

「そう、そこが変なのよ。あなたは義理の姉のリーゼロッテ様を蹴落として王太子の婚約者になっていないとおかしいのに。ゲームのユリアーナは公爵の隠し子で、公爵にねだって強引に王太子の婚約者になっていたのよ」

 マリアがそう教えてくれた。


「私は王太子の婚約者でもないし、なりたいなんて思ったことはないわよ。それにあの怖いお姉様を蹴落とすなんて絶対に無理。そんなことしたらマイヤー先生と共同前線張られて私が悲惨な目に合わされるのは火を見るよりも明らかだわ」

 私が反論すると、

「変よね。あなたが悪役令嬢にならないためにいろいろ行動したんじゃないの?」

「だからゲームしたことないんだから、行動するって何したらよいか判らないじゃない!」

 私はそう主張したのだ。

「それはそうかもしれないけれど、それと何でアルトマイアー様とあんなに仲が良いの。ゲームの中では敵対していたのに」

「ええええ! だってお兄様は私が公爵家に拾ってもらった時に、最初に御本読んでくれたし、まあ、めちゃくちゃなことにはよく付き合わされるから最悪なんだけど、一番頼りになるもの。私は大好きよ」

「へええええ、なんかゲームと全然違うんだけど。さっきのアルトマイアー様の感じはあなたのことを溺愛しているって感じだったじゃない」

「そうでしょ。私もお兄様に可愛がってもらって私の騎士として守ってもらえるように必死に頑張ったのよ」

 私は日々の死の特訓を思い出してじんわりしたのだ。よく頑張れたわ、私……死なないで良かった……


「そうなんだ。アルトマイアー様ルートではあなたはヒロインの前に立ち塞がって『我が由緒正しき公爵家のお兄様の相手にあなたみたいなどこの馬の骨とも判らない孤児の娘をするわけにはいかないわ』って言い切るのよ」

「そうなの? お兄様も攻略対象なんだ。でも、どこの馬の骨とも判らないって私自身が平民なのにそんなこと言うなんててんでおかしいわね」

 私は自分のことだから笑うことも出来なかったけど、ゲームのユリアーナはどれだけ自分勝手なんだろう?


「ええええ! あなたは公爵様の隠し子じゃないの?」

 マリアが真顔で聞いてきたんだけど、

「違うと思うわ。だってお父様はお母様を本当に愛していたみたいだし、お母様の生きている頃から他の女に手を出すことなんてあり得ないってニーナも言っていたわ」

「じゃあ、あなた本当に平民なの?」

「だと思うわ。なんでお父様が私を養子にしてくれたか判らないけど」

私はそこが疑問だった。別に面倒見るならば公爵家の侍女とかメイドにしても良かったのに、何故わざわざ養子にしてくれたかについては教えてもらっていなかった。


「そうなんだ。じゃあ元々の設定からして違うのかしら。でも、このゲームの一番のヒール役はあなたなのにね。ヒロイン相手にあなたはこれでもかって言うほど酷い事をするのよ」

「でも、私とピンク頭比べたら、絶対にピンク頭の方が酷くない?」

そう、あの性格は絶対に悪役令嬢の性格だ。


「聖女様のことをピンク頭って言えるところからして酷いと思うけれど、攻略対象のフリッツ先生を一発で気絶させるところからも十分に悪役令嬢しているんじゃない」

 マリアは私が忘れたいことを平気で持ち出してくれた。また家に帰ったらお父様に怒られるかもしれない……最悪だ。

 そう思った時だ。


 ヒヒーン

 馬車が急に止まってくれたので、私はマリアに向かって体が投げ出されたのだった。

 

急に止まった馬車、何事が起こったのか?

続きは今夜です

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私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

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