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ヒールの能力だけはあるピンク頭が緑頭に対して面目躍如たるところを見せつけました

 クラス対抗剣術競技、学園の後期のメインイベントだ。

 クラス代表を5人決めて、その代表が勝ち抜き戦を戦うのだ。

 トーナメント方式になっていて最初は同学年同士あるいは一学年上との対戦が組まれたいた。

 我が一年E組は一回戦の相手は同学年の一年A組だった。

 第三皇子や聖女のいるクラスだ。聖女はここも看護室に待機するみたいだった。我がクラスの聖女は私の傍にいるけれど、能力的にこっちの方が高いんだからピンク頭を入れるか緑頭を入れるなら2人必要だと思ったのに、緑頭しか入っていないみたいだった。

 それで回ったら良いけど……希望的観測に過ぎないとおもう。

 どうするんだろう?


 それよりも一回戦だ。

 まあ、貴族のボンボンクラスだ。私は楽勝だと高をくくっていたのだ。


 私達は訓練場の周りに設置されたクラス控え席から順番に出て行くことになっていた。オットー、エアハルト、フィリベルトの3人は結構剣術も出来るはずだ。少なくともハンブルクのボンズ達よりも腕は上だった。

 現実にA組の3人までは楽勝だった。

 顔だけ騎士のフリッツよりはましだと思ったけれど、それに似たような能力だった。

 オットーが2人を倒して、次の伯爵令息には負けたが、それはエアハルトが倒した。

 ついに副将だ。


「キャーーーー、アナスタージウス様よ!」

「アナスタージウス様!」

「素敵!」

 観客席から一斉に歓声が上った。


「誰、アナスタージウスって?」

 私は横にいるマリアに聞いた。

「あなた、相も変わらず調べていないのね。アナスタージウス・ボンベイ侯爵令息よ。確かお父様は近衛騎士団副団長よ」

 マリアが呆れて教えてくれた。

「で、剣術は出来るの?」

「それはあなたの範疇でしょ。ある程度は出来るはずよ。この前あなたのお兄様のアルトマイアー様にボコボコにされたみたいだけど」

「じゃあ大したことはないのね」

 私は即答した。


「あのね。あなたの基準で話さないでよ」

「化け物の基準で見てはいけないわ」

 ピンク頭が横から口を出してきたんだけど、

「誰が化け物よ?」

「あっ始まる」

 ピンク頭が私を無視して会場を指さした。



「ようし、始め」

 審判はA組の担任で新しい剣術のブルーム先生だ。


 2人は同時に剣を抜いて睨みあった。

「ウォーーーーー」

 エアハルトが怒声を上げて斬りかかった。

 それをガキンとアナスタージウスが受ける。

 2人はそれでにらみ合った。

 鍔と鍔の押し合いだ。

 2人はさっと離れた。


 そして、斬り合う。

 ガキン!

 お互いの力と力のぶつかり合いだった。

 ここまでは互角だ。

 エアハルトも頑張っている。

 まあ、声援は圧倒的にアナスタージウスの方が多かったけれど……


「アナスタージウス様!」

「頑張って!」

「キャーーーーー」

 エアハルトが押し勝ったと思ったら、悲鳴が上って、エアハルトが少し躊躇したみたいだった。

 何しているのよ!


 私が叫ぼうとした時だ。


 バシン!

 アナスタージウスのとっさに放った一撃がエアハルトの脇腹を直撃した。


 エアハルトが脇腹を押えて倒れ込んだ。


「勝者アナスタージウス!」

 審判が継げる。


「キャーーーーー」

「凄いわ」

「さすがアナスタージウス様です」

 大声援が起こる。


 クラスの男達が慌ててエアハルトに駆け寄った。

 脇腹を押えてエアハルトは悶絶していた。

「大丈夫か? エアハルト!」

「だ、駄目だ。肋骨をやられたみたいだ」

「すぐに聖女様のところに」

 男達が救護室にいる緑頭の元にエアハルトを運び込んだ。


「聖女様、エアハルトをよろしくお願いします」

「ええええ! 何で私が敵に塩を送らなければいけないのよ」

 緑頭が文句を言ってきた。

「まあ、そうよね。ここの役立たず聖女はヒールできる能力が限られているのよね」

私が馬鹿にしたように言うと、


「誰が役立たずですって!」

緑頭はまなじりを決して叫んできた。


「あなたでしょ。だってこんな簡単なヒールも出来ないなんて」

「今のあなたの言葉で傷ついたから絶対に嫌よ」

「「「ユリアーナ様!」」」

 聖女の言葉に男達が私を非難めいた目で見るが、

「出来ないなら最初から能力が足りないから出来ませんと正直に言いなさいよ」

「何ですって!」

「アグネス! 出番よ」

「ええええ! 何で私がこの男を治さないといけないのよ。この男は絶対に治さないと誓ったのよ」

 ピンク頭が文句を言ってきたが、

「ええええ! あなたも役立たず聖女の仲間入りがしたいの」

「何ですって、私をこんな役立たずと一緒にしないでよ」

「ちょっと何を言ってくれるのよ。私の方が能力はある……」

「ヒール」

 緑頭が文句を言っている間にピンク頭はエアハルトを治してくれたのだ。


「「「えっ」」」

男達はまじまじとピンク頭を見た。今までの胡散臭い者を見る目ではなかった。

その目は尊敬するようにピンク頭を見ていた。


「凄い。アグネスさんってあっという間に治せるんですね」

 皆改めて皆アグネスに感心していた。


「それに比べて聖女様はやるまでがものすごく時間がかかるのに」

「そうだよな。この前なんてヒールするまでの準備に30分くらいかかっていたよな」

「ヒールするのは大変なんだと思っていたけれど」

「アグネスさんはあっという間だったぞ」

「今までのはなんだたんだ!」

皆白い目で緑頭を見た。


「ちょっと、そこまでかからないわよ」

「そうでしょ。アグネスはヒールだけは凄いのよ」

 私が緑頭を無視して言うと

「本当ですね。こんなところまで来て損しました」

「そうよ。皆怪我したら私が治してあげるわ。私は偽聖女と違って本物だから」

「ちょっと誰が偽聖女よ」

 緑頭を無視して私達はピンク頭と一緒にクラス控え室に戻ったのだ。


ここまで読んで頂いてありがとうございます。

ヒール役のピンク頭でしたが、珍しく面目躍如たるところを見せつけてくれました。

ブックマーク、広告の下の評価☆☆☆☆☆を★★★★★して頂けたら嬉しいです(*ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾


次はA組の大将に皇子が登場です。

どうするユリアーナ?

続きは明日です

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私のお話、ここまで読んで頂いて本当にありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
緑頭は番外編の乙女ゲームの記憶はあるみたいだけど、本編の方は知らない?何回もやるなら当然元のゲームもするだろうし、思い出せてないだけかな。頭叩くのが足りないのでは…? 面白いけど最近お兄様不足なので、…
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